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2021年8月31日
ボルボのフラッグシップSUV「XC-90」でロングドライブへ|VOLVO
VOLVO XC-90 B6 AWD R-Design |ボルボXC-90 B6 AWD Rデザイン
ボルボのフラッグシップSUV「XC-90」でロングドライブへ
2014年、新世代のデザインや軽量・高剛性プラットフォームを採用して登場したボルボのフラッグシップSUV「XC-90」。48Vマイルドハイブリッドシステムと電動スーパーチャージャーを搭載したその最新モデル「XC-90 B6 AWD Rデザイン」で、東京から仙台まで試乗した。
Text & Photographs by HARA Akira
新世代ボルボのトップバッター
ボルボのSUVシリーズで、フラッグシップの座を務めるのがXC-90だ。まずは2014年、新世代ボルボのトップバッターとしてワールドプレミアした2代目XC-90についておさらいしてみると……



・フォルクスワーゲンからデザイン担当として移籍してきたトーマス・インゲンラート上級副社長が手掛けた最初の量産モデル
・スケーラブル・プロダクト・アーキテクチャー(SPA)」と呼ぶ新開発の軽量・高剛性モジュラープラットフォームを初採用
・パワートレーンは、2.0リッター4気筒エンジン(ガソリン、ディーゼル、ターボチャージャー、スーパーチャージャーなど仕様は様々)が上限
・3列シート採用と北欧デザインによる上質な室内空間
これらが高評価を受け、欧米をはじめとする世界各国で50以上の賞を受賞している。
日本では少し遅れて2016年に販売を開始。当初はT6やT8 TwinEngin(PHEV)というガソリンエンジン搭載モデルのみでスタートし、遅れて2.0リッター4気筒ディーゼルのD5を追加している。
日本では少し遅れて2016年に販売を開始。当初はT6やT8 TwinEngin(PHEV)というガソリンエンジン搭載モデルのみでスタートし、遅れて2.0リッター4気筒ディーゼルのD5を追加している。



2020年には、「全車電動化」(内燃機関のみの搭載モデル廃止)というボルボ社の方針に則ってマイナーチェンジを敢行。T6、D5がディコンとなり、新たに48Vマイルドハイブリッドシステムを搭載した「B5」、電動スーパーチャージャーによるパワーアップ版の「B6」、2モーターPHEVシステム搭載で「Twin Engine」から名称を変えた「リチャージプラグインハイブリッドT8」という3つのグレード構成となっている。
「これ、本当に2.0リッターの4気筒?」と思わせる軽快な走り
そんなXC-90の中から、今回の試乗に供されたのは「XC-90 B6 AWD R-Design」。限定モデルだったこのスポーティグレードは、マイナーチェンジでカタログモデル化され、1千万円をわずかにオーバーする1,004万円というプライスラグが下げられた。




標準装備のharman/kardonプレミアムサウンド・オーディオシステムやヘッドアップディスプレイ、テイラードダッシュボードのほか、チルトアップ機構付電動パノラマサンルーフ(23万円)、メタリックペイント(9万2,000円)、電子制御リア・エアサス/ドライビングモード選択式FOUR-Cアクティブパフォーマンスシャシー(31万円)、純正ドライブレコーダー(8万9,650円)を装着した今回の試乗車の価格は1,076万1,650円となっている。
ボディはペブルメタリックと呼ばれるシックなブロンズカラー。インテリアのパーフォレーテッド・ファインナッパレザーを表皮とした3列シートは、これまでR-Designが用いていたブラック一色の精悍なカラーから、ブロンド–チャコール/ブロンドのクリームがかった明るい色に変わっていて、なかなか好ましい仕上がりになっている。



パワートレーンのB6ユニットは、最高出力220kW(300ps)、最大トルク420NmのDrive-E2.0リッター4気筒直噴ターボ+電動スーパーチャージャーのガソリンエンジンに、10kW/40Nmの電気モーターを組み合わせた48Vハイブリッドシステムで、8段ギアトロニックによって電子制御のAWDを駆動するもの。




ISGM(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーターモジュール)によって、モーターによる回生ブレーキで発電した電力を48Vのリチウムイオンバッテリーに蓄電し、そのパワーでエンジンの始動や、低回転域からのレスポンスに優れる電動スーパーチャージャーを作動させる。そして、その効果は走り出してすぐに分かる。「これ、本当に2.0リッターの4気筒?」と思わせるほど、大柄なXC-90の車体(ボディは全長4,950×全幅1,960×全高1,775mm、車重2,150kg)を軽々と発進させることができ、車速がグングンと上がっていくからだ。
得意分野はロングトリップ
そうして都内をスタートしたXC-90が目指す目的地は、東北の仙台。途中の立ち寄り地はドライバー任せというので、まずは福島県の猪苗代湖あたりをナビにセットした。SENSUS(センサス)という名前のダッシュ中央にセットされた大型ディスプレイは、左右にスワイプしてさまざまなセッティングを行うことができるというもので、慣れれば使いやすく、縦型なのでナビ画面の場合は先のルートや目的地が分かりやすい。


東北道では、ステアリング左ポストに起動ボタンがある「パイロットアシスト」を、ほぼ全線で使用。スピードメーター内に緑色に光るステアリングマークが出れば、楽ちんなレベル2相当の追従運転をしてくれる。作動中は車間とレーンキープをきっちりと行う感覚がドライバーに伝わってくるので、常に安心して任せておけるのだ。
クルージング中は気筒休止機構が働いて2気筒走行に切り替わっているはずだけれども、その気配を伝えることはなく、100km/hでは1,500rpmあたりで粛々と走り続ける。マイナーチェンジ後のボルボ各シリーズは、180km/hが最高制限速度となったほか、任意の最高速度を設定できるケア・キーが導入されたことがニュースになったことなどを思い出しながら、白河ICまで走って高速を降り、一般道の294号で猪苗代に向かう。



山から続くなだらかな傾斜地に、田んぼが階段のように広がるこのあたりの景色は、東北らしくて好きだ。途中で農道に分け入り、XC-90の勇姿を撮影。こうした狭い道に気負いなく入っていけるのは、見切りの良い四角いボディと、パノラマビューを映し出してくれる先進システムのおかげ。22インチのワイドタイヤで凹凸道に入るのは少し気が引けたけれども、ドライブモードを「Off Road」にして車高調整できる電子制御のエアサスと、AWDシステムがあるので安心だ。
ちょっとしたワインディングがあったので、モードを「Dynamic」に。ステアリングの遊びがなくなるとともにアクセルの付きがよくなるので、大きなボディでもスポーツ走行が楽しめる。山道を抜けたところでは、伐採した杉の木を荷台に積み込むトラックを発見。並んで写真を撮らせてもらった。雄大な猪苗代湖に到着し、ここでは独特の姿を見せる磐梯山もバックに入れて撮影を行った。


磐越道から東北道へ合流し、仙台まであと50kmに迫った国見SAで休憩。メーターをみると、ここまで350km走って燃費は10.9km/Lを表示。ワインディングでハイオクガソリンを結構消費したにもかかわらず、WLTCモード燃費の10.5km/Lをオーバーする数値をキープしてくれていることに感心する。さらに、残りの航続距離は420kmとまだ半分以上が残っているので、XC-90が持っているロングレンジのポテンシャルはなかなかのものだ。熟成の域にある上質なエクステリアと上品なインテリアの3列シートに、人と荷物を満載してロングトリップに向かうのは、XC-90が最も得意とする分野だろう。
問い合わせ先
ボルボ・カスタマーセンター
Tel.0120-922-662(9:00-18:00)
https://www.volvocars.com/jp