BMW「8シリーズクーペ」に試乗|BMW
CAR / IMPRESSION
2019年7月25日

BMW「8シリーズクーペ」に試乗|BMW

BMWのフラッグシップクーペ「8シリーズクーペ」に試乗(2)

スピード感が麻痺するほどのパフォーマンス

試乗したのは「M850i xDrive」クーペ。搭載する4.4リッターV型8気筒ツインターボエンジンは、最高出力530ps(390kW)/5,500〜6,000rpm、最大トルク750Nm/1,800〜4,600rpmを発生。
初代V12エンジンより149ps、先代より68ps出力が向上したこのエンジンは、ギア比の幅を拡張した8段ATとxDrive4WDシステムを介して4輪を駆動。その加速性能は、停車状態から100km/hまでをたった3.7秒でこなすというスーパースポーツカーレベルのものだ。
確かにそうなのだろう。いつものワインディングに乗り入れると、上りも下りも関係なし。直線で右足に力を込めれば、ワイドレシオとフラットトルク(わずか1,800rpmから750Nm!を発生)のお陰で息の長い加速が楽しめるし、コーナー手前で強いブレーキをかけると、2トンに近い車体はあっという間に車速を落として、狙ったコーナーの頂点に向かってターンを開始してくれる。
その際の姿勢変化は前後左右方向とも驚くほど少なく、この大きなクーペが持つ性能はまだまだこの先があるという余裕が感じられる。そして、あまりの安心感に身を委ねてしまっていると、スピードメーターはとんでもないところに針を持って行ってしまっているので、ドライバーは十分に自重する勇気が必要だ。
こうした走りが楽しめるのは、リア側を重視して駆動配分を行うBMW独自の四輪駆動システム「xDrive」に負うところ大だが、ロール特性を調整する電子制御アクティブスタビライザーとダンパーを組み合わせたアダプティブMサスペンション、後輪操舵システムを取り入れたインテグレイテッド アクティブステアリング最大限のトラクションが得られるMスポーツ ディファレンシャル、強力なMスポーツブレーキなどが、標準で装備されていることで実現しているのだろう。
ゆっくりと走っても、このクーペの良さは十分に体感できる。前245/35、後275/30の20インチという太いランフラットタイヤを装着しているにも関わらず乗り心地が良く、街乗りでも遠出でも乗員は疲れ知らずのドライブが楽しめそうだ。
黒と茶の2トーン仕様だった試乗車のインテリアも、BMWらしくアンダーステートメントな落ち着きがあって、すてきだ。透明なクリスタルの中に数字の“8”が浮かび上がるクラフテッド・クリスタル・フィニッシュのシフトノブは、フラッグシップクーペを操るオーナーのプライドを満たしてくれそうだ。
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