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IMPRESSION
2020年10月30日
ボルボ全車電動化へ、マイルドハイブリッドのXC40 B4に試乗|VOLVO
「T」モデルより上質になった「B」モデルの走り
全長4,425×全幅1,875×全高1,660mm、車両重量1,780kg(サンルーフ付き車)の試乗車は、フュージョンレッドメタリック(オプション)のボディカラーにブロンド/チャコール&ブロンドの2トーンインテリアを組み合わせたインスクリプションモデル。
早速スタートボタンを押すと、始動はスターターモーターではなくISGが行うのでノイズやバイブレーションが低減されているのが分かる。さらに走り出しの最初の部分でモーターのトルクがアシストしてくれるので、ススッと車体が動き始め、MHVを搭載したことによるメリットが最初からドライバーに伝わってくるのだ。
目で見てMHVが分かるのが、ブレーキング時にタコメーター内にある小さな電池マークがブルーに光って充電していることを知らせるところだけ。ことさらそれを強調しないところはボルボとしての見識なのだろう。
試乗コースは芦ノ湖スカイラインを中心としたアップダウンのきついワインディング路。そこではさすがにスポーティカーのような俊敏な走りは望めないものの、これはこれで必要十分な感じ。
センターコンソールの端にちょこんと配されたドライブモードボタンでDynamic(高性能)を選ぶか、パワーアップバージョンのB5 Rデザインを選んだりすれば、さらなる走りが提供されるとは間違いないが、ボルボとしてはそれよりも、美しいレザーシートや、ノーベル賞の晩餐会に供される食器で知られた地元スウェーデン・オレフォス社製の輝くクリスタルのシフトノブ、太陽の光を愛する人たちにとって必需品と言ってもいい大型の電動パノラマガラスサンルーフ(オプション)から見える青空など、上質な北欧テイストをしっかりと味わいながらドライブを楽しんでほしいと願っているような気がするのだ。
マニュアルモードを選択したところでパドルシフトは廃されているし、クリッピングポイントを目指してコーナーに突入するような走りをする気がしないところも、このクルマが持つ美点かもしれない。B4インスクリプションではテールパイプも少し奥まった場所に目立たない形で取り付けられているため、後方から撮影したB4の写真を見ると、まるでEV車のように見えるところもグッドアイデアだ。
さすがに高回転まで回すとエンジンの透過音や振動が伝わってくるけれども、音質的には4気筒らしいビートのきいた気持ちの良い音なのでこれもOK。ボルボによると、XC40が使う小型車用プラットフォームCMA(コンパクト・モジュラー・アーキテクチャー)は、将来のフル電動化まで見据えていて、エンジンを必ず搭載することを前提として設計した中・大型車用のSPA(スケーラブル・プロダクト・アーキテクチャー)に比べてその辺りはちょっと負けているのだそうだ。