S60/V60 T4 ポールスター パフォーマンス パッケージをテスト|Volovo
Volvo S60/V60 T4 R-DESIGN Polestar Performance Package|
ボルボ S60/V60 T4 R-DESIGN ポールスター パフォーマンス パッケージ
ポールスターパフォーマンスパッケージを設定したボルボ S60 T4をテスト
昨年末に登場した、3.0リッター直列6気筒ターボのT6エンジンにむけたポールスター パフォーマンス パッケージは、エンジンのコンピュータチューンをメーカーが公式におこなってくれるという、一風変わったオプションパッケージ。人気を博した、このパッケージが、今度は1.6リッター直列4気筒のT4エンジン搭載モデルにも設定された。今回は、このT4向けポールスター パフォーマンス パッケージを設定した、「S60」を塩見智氏が試した。
Text by SHIOMI Satoshi
Photographs by ARAKAWA Masayuki
波に乗るボルボ
2013年のここまでで、輸入車にかんしてもっとも大きな話題は、もしかするとボルボ「V40」の日本デビューかもしれない。
ハイパワーかつ高効率なエンジン、スタイリッシュなデザインと実用的なパッケージの両立、そして戦略的な価格設定と、いくつものトピックを盛り込んだハッチバックは、発売直後からセールスが好調のようで、ボルボ・カーズ・ジャパンは「数年のうちに1997年以来となる年間2万台を突破したい」と鼻息が荒い。
そのボルボのもっともあたらしい商品は、新型車ではなく「ポールスター パフォーマンス パッケージ」というエンジンをパワーアップさせるチューニングキットだ。
12年11月に直6エンジン用のパッケージを発売したが、今回は直4エンジン用。
対象はV40、V60、V70が搭載する1.6リッター直噴直4ターボのT4エンジンで、装着すると、パワースペックがノーマルの最高出力180ps/5,700rpm、最大トルク240Nm(24.5kgm)/1,600-5,000rpmから、同200ps/5,750rpm、285Nm(29.1kgm)/2,000-4,250rpmと、最高出力が約10パーセント、最大トルクが約19パーセントアップする。
ポールスターは、ボルボのオフィシャル レースパートナーで、ボルボとともにWTCC(世界ツーリングカー選手権)、BTCC(英国ツーリングカー選手権)などに参戦してきた。
V60に同パッケージを装着したモデルに試乗した。
Volvo S60/V60 T4 R-DESIGN Polestar Performance Package|
ボルボ S60/V60 T4 R-DESIGN ポールスター パフォーマンス パッケージ
ポールスターパフォーマンスパッケージを設定したボルボ S60 T4をテスト(2)
パワーだけが自然にあがる
T4エンジンは、元々、1.6リッター直4ターボエンジンのなかでは、最高出力、最大トルクともにトップクラスの性能を有する。このため、街中を周囲の交通に合わせて走る程度の負荷では、パッケージの効果を感じにくい。
が、箱根ターンパイクの料金所で支払いを済ませ、上りの直線でアクセルを踏み込んだ瞬間、V60が力強く加速するのが体感できた。最大トルクの発生回転域が狭まっているが、ピーキーというわけではなく、幅広い回転域でトルキーなエンジンの一部のみかさ上げされたのがわかる。
このパッケージは、エンジンの物理的なパーツを変更するのではなく、エンジンのマネジメントをつかさどるコンピューターのマッピングを変更する、いわゆるROMチューンなのだが、低負荷の街中でも高負荷の山道でも不自然な挙動を見せることはなく、自然なまま、パワーだけが上がる。燃費悪化はないというが、パワフルになったV60が面白くてアクセルを踏み過ぎれば、結果として燃費は悪化するかもしれない。でもそれはこの商品の責任ではない。
インストールは正規ディーラーならどこでも可能で、もちろん装着後も新車保証は継続される。現在は2013年モデルのみが対象だが、まもなく11年モデル、12年モデルも対象となり、後付けも可能だ。価格は20万円。コンピューターのメモリを増設するような感覚でクルマのパフォーマンスを上げられるボルボオーナーが羨ましい。