新型ミニ クロスオーバーに試乗|MINI
MINI Crossover|ミニ クロスオーバー
1台でなんでもできるクルマ
ガソリンエンジンの導入を中止し、ディーゼルとハイブリッドのみという構成も話題の中心となった、新しい「ミニ クロスオーバー」。ボディサイズもひとまわり大きくなった、第2世代のミニ クロスオーバーのディーゼルモデルに小川フミオ氏が試乗した。
Text by OGAWA Fumio
新型クロスオーバーはディーゼルのみ
MINI「クロスオーバー」がフルモデルチェンジ。2017年2月に日本発売が開始されている。新型の特徴はサイズが大きくなったことと、エンジンがディーゼルに一本化されたことにある。
試乗したのはMINI「クーパーD クロスオーバー」。110kWと140kWと2種類用意される2リッター4気筒ディーゼルのうち前者を搭載している。
パワフルなMINI「クーパーSD クロスオーバー」はALL4と呼ばれるフルタイム4WDとの組み合わせ。それに対してMINIクーパーDクロスオーバーは前輪駆動とALL4の2本立てだ。
もう間もなく、ガソリンエンジンに電気モーターを組み合わせたプラグイン ハイブリッドモデルが導入される。純粋なガソリンエンジンモデルは(日本では)廃止された。
大胆といえば大胆な方針を打ち出した背景には市場の動向があると輸入元のBMWジャパンではする。
「従来のMINIクロスオーバーのセールスで9割をディーゼルエンジン車が占めていたため、今回の決定となりました」。広報担当者の説明だ。
全体の印象は従来型の美点を継承。とりわけ市場でのライバルと一線を画すスタイリングは、新型になってもひときわ眼を惹く。
すべてブラックアウトしたピラーを使ったスタイリング手法も引き継いでいる。その上に前後長をしっかりとったルーフが浮かぶように載る。
ボディサイズはひとまわり大きくなった。全長で195mm、全幅で30mm、全高で45mm、それぞれ拡大しているのだ。
街中では存在感がある。いっぽう単体で見ていると全体のまとまりがいいせいか、コンパクトなクルマであるような印象すらある。
といっても、とりわけMINIクーパーSD専用のグリルなど独特の形状が印象的。そこにエアダムが大きく下に延びたバンパーユニットが組み合われてスポーティだ。
変型ヘッドランプも緊張感のあるカーブで構成され、MINIという制約のなかで多様な形状が実現できるデザイン部門の力量に感心する。
乗ってみると、MINIは新しくなった、と強く感じた。
MINI Crossover|ミニ クロスオーバー
新型ミニ クロスオーバーに試乗 (2)
新世代のディーゼルエンジンの出来のよさ
試乗したのはMINIクーパーD クロスオーバー。2リッターディーゼルの110kW(150ps)とパワーを抑えめにしている仕様だ。
控えめといっても、最大トルクは330Nmもあり数値的には十分すぎる。実際の走りも実用的には十分以上のものがあった。
何より感心するのは新世代のディーゼルエンジンの出来のよさだ。美点のひとつは低回転域から力がたっぷり出ること。
回転マナーはスムーズ。アクセルペダルを踏み込んでいくと気持ちよくトルクが立ち上がり、ぐんぐん加速していく気持ちよさがしっかりある。
振動や騒音がきわめて低いことも美点。ガラガラとかカリカリとかまったく聞こえない。ディーゼルと気づかない人もいるだろう。上等な質感だ。
燃費は先代より大きく向上と輸入元では謳う。メーカー発表の数値によるとリッターあたり21.3kmという。おそらく実際も近いところにいきそうだ。
ボディは大きくなったが、走りには影響していない。エンジンは1,500rpmと2,000rpmのあいだで十分なトルクを発生。非力さはみじんもないのである。
中間加速もするどい。アクセルペダルを軽く踏むだけで市街地では流れをリードするのに十分。さすがディーゼル一本槍と決めただけのことはあると思った。
MINI Crossover|ミニ クロスオーバー
新型ミニ クロスオーバーに試乗 (3)
1台でなんでも出来るクルマ
新しい世代のMINIだなあと感じたのはステアリングだ。MINI「5ドア」に近い。つまりかつてMINIが売り物にしていた「ゴーカートフィーリング」は抑えられている。
ステアリングホイールを中立位置から切り込んだときの車体の動きは、かつてのモデルほどクイックでない。車体のロールもそれなりに感じられた。
MINIに慣れている人だと意外な印象を受けるかもしれない。でもMINI未体験の人にも門戸を開放するなら、この“やわらかい”感じもアリだろう。
ボディサイズが大きくなった分、後席の居住性が増している。ヘッドルームとレッグルームがかなり拡大して居心地が向上しているのだ。
荷室も容量が100リッターも大きくなった。そこにはオプションだがピクニックベンチが備わり、アウトドアに出てひと息なんていうときに便利だと謳われる。
かつてMINIは都会派のクルマというイメージが色濃かった。新型のクロスオーバーは宣伝写真に北欧の田園地帯の風景などを使う。クルマも変わり、マーケット戦略も変わったのだ。
「従来のMINIはセカンドカー的な位置づけでした。でも新しいMNIクロスオーバーは1台でなんでもできるクルマです」
輸入元では位置づけが変わったことをこう説明する。たしかにアウトドアスポーツが好きな人などフルタイム4WD仕様を買えば、家族で通年どこでも行けるだろう。
価格はベースモデルのMINIクーパーDクロスオーバー(前輪駆動)が386万円。同ALL4が414万円。パワフルなMINIクーパーSDクロスオーバーALL4が483万円。
MINI Cooper D Crossover|ミニ クーパーD クロスオーバー
MINI Cooper D Crossover ALL4|ミニ クーパーD クロスオーバー オール4
ボディサイズ|全長 4,315 × 全幅 1,820 × 全高1,595 mm
ホイールベース|2,670 mm
車両重量|1,540 kg(ALL4は1,610 kg)
エンジン|1,995 cc 直列4気筒ディーゼルターボ
圧縮比|16.5
エンジン最高出力|110 kW(150 ps)/4,000 rpm
エンジン最大トルク|330 Nm/1,750-2,750 rpm
トランスミッション|8段AT
駆動方式|FF(ALL4は4WD)
タイヤ 前/後|225/55R17
燃費(JC08モード)|21.2 km/ℓ(ALL4は21.3 km/ℓ)
トランク容量|450 リッター
価格|386万円 (ALL4)414万円
(2017/7/1より CooperDが393万円、CooperD All4は421万円)
MINI Cooper SD Crossover ALL4|ミニ クーパーSD クロスオーバー ALL4
ボディサイズ|全長 4,315 × 全幅 1,820 × 全高1,595 mm
ホイールベース|2,670 mm
車両重量|1,630 kg
エンジン|1,995 cc 直列4気筒ディーゼルターボ
圧縮比|16.5
エンジン最高出力|140 kW(190 ps)/4,000 rpm
エンジン最大トルク|400 Nm/1,750-2,500 rpm
トランスミッション|8段AT
駆動方式|4WD
タイヤ 前/後|225/50R18
燃費(JC08モード)|20.8 km/ℓ
トランク容量|450 リッター
価格|483万円(2017/7/1より493万円)
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