メルセデス・ベンツ CLA シューティングブレークに試乗|Mercedes-Benz
Mercedes-Benz CLA Shootingbrake|メルセデス・ベンツ CLA シューティングブレーク
メルセデス・ベンツ CLA シューティングブレークに試乗
「Aクラス」ファミリー第5のモデルとしてメルセデス・ベンツにくわわった「CLA シューティングブレーク」。スポーティでスタイリッシュなワゴンボディをもつ新型メルセデスにドイツで試乗した。佐藤久実氏によるリポートをお届けする。
Text by Sato Kumi
デザインとスポーティさでフレッシュをアピール
メルセデス・ベンツはプレミアムブランドであり、実際、「敷居の高いブランド」というイメージがずっと強かった。乗ると豪華だけど値段も高い。
ところが、“高級車はFRの駆動方式を採る”、という常識を覆し、FFコンパクトの「Aクラス」や「Bクラス」が登場したことで、ちょっと身近な存在となった。2代目AクラスのテレビCMで、アニメーションを使っていたのはかなりインパクトがあった。明らかに、ターゲットユーザーの低年齢化を狙ったものだろう。乗れば気に入って固定化するユーザーは多いが、ロイヤルティが増えることにより、一時、「Cクラス」の平均年齢が50歳を超える状況となり、メルセデスにとって、ユーザーの若返りが大きな課題となっていたのだ。
その後、Aクラスをよりダイナミックなハッチバックとし、Bクラスはスペース ユーティリティに優れたモデルとすることで明確に差別化、さらに流麗な4ドアクーペの「CLA」、そしてコンパクトSUVの「GLA」が登場した。コンパクトクラスにおいても、さまざまなセグメントのモデルを作ることで、ユーザーニーズを満たしている。これら4モデルはすでにグローバルで100万台以上を販売しており、メルセデス オーナーの若返りに大きく貢献している。そして5モデル目としてコンパクトファミリーにくわわるのが、今回の試乗モデル「CLAシューティングブレーク」だ。
兄貴分の「CLSクーペ」&「CLSシューティングブレーク」、そして「CLA」のクーペがすでに発売されているが、“質実剛健で実用性の高い”メルセデスにおいて、最初に“デザインコンシャスで官能的”なCLSが登場した時には、センセーショナルでさえあった。
今回のCLAシューティングブレークも、CLS、そしてCLAのデザインを踏襲している。キャラクターラインが際立ち、彫りの深い面構成。そして、伸びやかでクーペライクなルーフラインが特徴的だ。クーペよりスポーティな雰囲気となっている。
Mercedes-Benz CLA Shootingbrake|メルセデス・ベンツ CLA シューティングブレーク
メルセデス・ベンツ CLA シューティングブレークに試乗 (2)
CLA 250 4MATICシューティングブレークを試す
シューティングブレークはワゴンを意味するが、いわゆる実用的な「ステーションワゴン」とはネーミングから差別化している。つまり、ワゴン形状とはいえデザインを優先させる、メルセデスも確信犯なのだ。
とはいえ、3サイズはクーペとおなじながら、スペース ユーティリティはシューティングブレークが勝る。ルーフラインがクーペより長いため、リアシートのヘッドルームが40mm拡大している。ニースペースもじゅうぶんで、リアに大人2名が乗っても窮屈さはない。ドアの開口部も広がったため、乗降性もクーペに比べて向上している。
さらに、リアシートのシートバック角度が調整可能で、シートを倒せば広いラゲージルームになるし、リアシートに人も座り荷物も載せたい時は、シートバックをカーゴポジションにすればラゲージ容量が増やせる。
いっぽう、クーペに対してワゴンスタイルはリアの整流が難しく、空力的には不利となる。が、CLAシューティングブレークのCd値は、クーペの0.23に対して0.26で、このクラスのワゴンとしての最高値を達成。走行性能のみならず、燃費にも貢献している。
国際試乗会は、フランクフルトで開催された。試乗モデルはCLA 250 4MATICシューティングブレーク。直列4気筒2リッターターボにデュアルクラッチトランスミッション7G-DCTが組み合わされる。
フランクフルトの慣れない街中を、ナビを頼りに走ったが、日常使いにジャストサイズのボディは取り回し性に優れ、スイスイと小気味良く走れる。わずか1,200rpmからピークトルクの350Nmを発揮するため、出だしからじゅうぶんなトルク感がある。とはいえ、もて余すようなトルクの出方ではなく、メルセデス流の躾がなされているため扱い易い。
高速道路でも、加速や巡行など、どんなシチュエーションでもゆとりをもって走れた。とくに4WDであることを意識させるシーンはなかったが、高速安定性の良さに陰ながら寄与しているだろう。スポーティな雰囲気ながら乗り心地も快適で、日常からレジャー、アクティブなライフスタイルまでオシャレなパートナーとなってくれるだろう。
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メルセデス・ベンツ CLA シューティングブレーク (3)
コンフォート志向のCLA 45 AMG
そして、AMGモデルの「メルセデスAMG CLA 45 4MATIC シューティングブレーク」も同時発表された。
フロントをハニカムグリルとし、スタンダードモデルと差別化を図っている。インテリアはブラック基調で、ドアトリム、シート、ステアリング、ダッシュの縁に施されたステッチや、エアコン吹き出し口など随所に赤がアクセントカラーとして使われている。スタンダードモデルよりさらにスポーティ感、質感が高められている。ただし、レザーシートやインパネ周りはAMGクオリティだが、センターコンソールなどのマテリアルはやや質感に欠け、上級モデルと差別化されているのがちょっと残念。
搭載されるエンジンは、すでに発売されているコンパクトファミリーのAMGモデルとおなじ、直列4気筒 2リッターターボエンジンが搭載され、7G-DCTが組み合わされる。市販車の4気筒ターボ最強パワーを誇るエンジンは、最高出力265kW(360ps)/6,000rpm、最大トルク450Nm/2,250-5,000rpmを発揮する。そして、これだけのハイパワーゆえ、4MATICが採用される。
走り出すと、派手なエンジンサウンドを奏で、アクセルを戻すとパンパンと勇ましいサウンドが轟く。これだけでもかなりアドレナリンが出てきそうな演出だ。
が、乗り心地はおもったほど尖っていない。というのも、「A 45 AMG」は、かなり締め上げられたサスペンションを備え、路面条件によっては許容範囲ギリギリの乗り心地、という印象だったが、それに比べてCLAは、快適性も保たれている。
試乗後、開発エンジニアに確認したところ、クルマのキャラクターに合わせA、CLA、GLAの順に、コンフォート志向にチューニングしているとのことだった。
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メルセデス・ベンツ CLA シューティングブレークに試乗 (4)
欲張りなニーズに応える
フランクフルトから小1時間も走ると山間部に辿り着く。ワインディングでも、街中から高速道路での好印象が裏切られることはなかった。むしろ、水を得た魚のように、コーナーも気持ちよく走れる。最高出力265kW、最大トルク450Nmのパワーが炸裂し、レブリミットまでストレスなく回転の上昇を楽しめる。
シューティングブレークは、クーペに対して重量が30kg増しているが、リア寄りの重量増となっているため、前後重量配分としては、クーペの60:40に対して改善されている。ハンドリングは安定志向ではあるが、強いアンダーステアを感じることもなく、ステアリングを切った分だけ素直に曲がってくれた。
ドライブモードが装備されないなど、上級モデルとのちがいはあるものの、パワフルなエンジン、快適性とハンドリングがバランスされたサスペンションには妥協のないAMGテクノロジーが注がれており、AMGの入門モデルとして納得の走りが味わえる。
CLAシューティングブレークは、ジャストサイズでスタイリッシュ、スポーティでラグジュアリーなクルマに乗りたい、そんなちょっと欲張りなニーズに応えてくれるクルマだ。
Mercedes-Benz CLA 250 SPORT 4MATIC Shooting Brake
メルセデス・ベンツ CLA 250 スポーツ4MATIC シューティングブレーク
ボディサイズ|全長 4,685 × 全幅 1,780 × 全高 1,435 mm
ホイールベース|2,700 mm
トレッド 前/後|1,555/ 1,555 mm
重量|1,580 kg
エンジン|1,991 cc 直列4気筒ターボ
ボア×ストローク|83.0 × 92.0 mm
圧縮比|9.8:1
最高出力| 155 kW(211 ps)/ 5,500 rpm
最大トルク|350 Nm(35.7 kgm)/ 1,200-4,000 rpm
トランスミッション|7段AT(7G-DCT)
駆動方式|4WD
サスペンション 前|マクファーソンストラット
サスペンション 後|マルチリンク
ブレーキ 前|ベンチレーテッドディスク
ブレーキ 後|ベンチレーテッドディスク
タイヤ 前/後|235/40 R18
価格│545万円
Mercedes-AMG CLA 45 4MATIC Shooting Brake
メルセデスAMG CLA 45 4MATIC シューティングブレーク
ボディサイズ|全長 4,690 × 全幅 1,780 × 全高 1,435 mm
ホイールベース|2,700 mm
トレッド 前/後|1,555 / 1,555 mm
重量|1,660 kg
エンジン|1,991 cc 直列4気筒ターボ
ボア×ストローク|83.0 × 92.0 mm
圧縮比|8.6:1
最高出力| 265 kW(360 ps)/ 6,000 rpm
最大トルク|450 Nm(45.9 kgm)/ 2,250-5,000 rpm
トランスミッション|7段AT(7G-DCT)
駆動方式|4WD
サスペンション 前|マクファーソンストラット
サスペンション 後|マルチリンク
ブレーキ 前|ベンチレーテッドディスク
ブレーキ 後|ベンチレーテッドディスク
タイヤ 前/後|235/35R19
価格│862万円
(日本では現在、オレンジアート エディションのみ)
メルセデスコール
0120-190-610