受け継がれる初代LSのDNA──レクサス30周年イベント「LEXUS MILESTONES」リポート|Lexus
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2019年12月24日

受け継がれる初代LSのDNA──レクサス30周年イベント「LEXUS MILESTONES」リポート|Lexus

初代LSの圧倒的な静粛性

最初に試乗したのは、レクサスの歴史の幕開けを担ったフラッグシップサルーン「LS 400」である。LSといえば、優れたNVH(ノイズ・バイブレーション・ハーシュネス)性能をアピールすべく、なみなみと注がれたシャンパングラスをボンネット上にピラミッドのように積み上げ、シャシーダイナモ上でエンジンを回転させるビジュアル(北米向けCM)に、当時インパクトを受けた記憶があるが、走り出してまず印象的だったのは、やはりNVH性能の高さだった。
例えば、コスタリカのカントリーロードを100km/h前後で走っていても、エンジンや駆動系、そしてタイヤが発するノイズが極めて低く抑えられている。現在の基準からみても十分なレベルといえるほどの静粛性なのだ。乗り心地もなめらかで、路面からの突き上げを優しくいなしてくれる。当時、この初代LSの快適性に、欧米の競合たちは大きなインパクトを受けたと伝え聞くが、なるほど、実際に試乗してみるとそれも理解できる。バランスのとれた上質な乗り味は、まさに現在のレクサスの礎になっていると感じた。
実は試乗前に、レクサス30年の歴史を、AR(拡張現実)による映像で振り返るプレゼンテーションが行われたのだが、そのなかで初代LSの開発ストーリーが紹介された。
当時トヨタには、メルセデスやBMW、キャデラックといった欧米のプレミアムブランドに比肩する高級車が存在していなかった。そんな状況下で、北米市場からの富裕層向けラグジュアリーカーを求める声を受け、豊田英二社長(当時)は「他に類を見ない世界最高の自動車を作り上げる」ことを決定。15名の精鋭エンジニアによりプロジェクトがスタートしたのが1984年のことだった。
開発チームを任された鈴木一郎チーフエンジニアは、当時としては実現が困難といわれるほどの技術目標──最高速度250km/h、燃費22.5mpg(マイル・パー・ガロン)、空気抵抗値0.28、そして100km/h走行時の騒音58〜59デシベル──を設定した。
鈴木氏自身が“とてつもなく高い”と語った目標値をクリアする、まったく新しいフルサイズサルーンを開発するために、のべ1400人のエンジニアが動員され、製作されたプロトタイプは450台、実施されたロードテストは地球100周分の距離に相当する2700万マイルに達したという。こうした高い志と、エンジニアたちによるたゆまない努力があったからこそ、初代LSは欧米の競合メーカーにインパクトを与えるほどの存在になり得たのだろう。
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