アウディ eトロン|小さくなった2代目EVスポーツ
AUDI e-Tron|アウディ eトロン
小さくなった2代目EVスポーツ
アウディはデトロイトモーターショーにおいて、EVコンセプトスポーツカー「eトロン」の進化型を初披露した。
文=ジラフ
TTより若干小さいボディ
昨年9月のフランクフルトモーターショーで発表されたeトロンは、「R8」をベースに開発されたEVスポーツカーだったが、今回の進化型は前回よりも、コンパクトなサイズとなって登場した。
気になるそのサイズは、全長3930×全幅1780×全高1220mm、ホイールベース2430mmというもの。ホイルベースは「R8」よりも220mm短く、全体的に「TT」より若干小さいサイズであることがわかる。
また「R8」をベースとしていた前回は、前後アクスルに2個ずつ、合計4個のモーターを搭載し、最高出力313ps、最大トルク459kgmというスペックを有し、0‐100km/h加速4.8秒、最高速は200km/h(リミッター作動)という数値を記録していたが、今回の進化型はスペックも控え目。
2012年までに市販化する計画
詳しく見ると、モーター数はリアアクスルに2個と半減し、最大出力204ps、最大トルク270kgmと抑えたほかに、駆動方式をフルタイム4WDの「クワトロ」から、リアドライブへと変更(新たに後輪の左右でトルク配分ができる「トルクベクタリング」を採用)している。
しかしそれに伴い、車重が前回よりも250kg軽い1350kgに抑えられたことから、0‐100km/h加速は5.9秒、最高速でも200km/h(リミッター作動)を記録するという。
EVで気になる最大航続距離は、2次電池に蓄電容量45kWhのリチウムイオンバッテリーを採用したことで、前回と同様の250kmを記録。ちなみ充電は、家庭用の16A、230Vコンセントで約11時間、急速充電器を使用すれば、約2時間で完了する。
アウディは、オリジナルのボディを手に入れたEVスポーツカーを、2012年末までに市販する計画予定だ。
BRAND HISTORY
Audi(アウディ)のエンブレムは“フォーリングス”。その輪ひとつひとつが自動車メーカーのアウディ、DKW(デーカーヴェー)、ホルヒ、ヴァンダラーを表しているのはご存じだろう。いずれもザクセン州に本拠を置き、20世紀のはじめ、ドイツの自動車産業を牽引したブランドである。しかし、第一次世界大戦後に起きた世界恐慌の煽りをくらった4社は、生き残りをかけて、1932年にアウトウニオンを結成。DKWがモーターサイクルと小型車、ヴァンダラーが中型車、アウディが高級中型車、そして、ホルヒがラグジュアリーカーに特化する戦略をとることになった。
しかし、第二次世界大戦の敗戦により旧東ドイツのザクセンはロシアの占領下となり、アウトウニオンは消滅。これを見越して、旧西ドイツのバイエルン州インゴルシュタットに新生アウトウニオンが設立される。BMWやメルセデス・ベンツとちがい、工場のない状況からの苦しいスタートをしいられたアウトウニオンであったが、DKWデリバリーバンなどの生産により徐々に体力をつけていった。
1964年末にフォルクスワーゲン傘下に収まったアウトウニオンは、ほどなくしてアウディの名を冠した新型車を世に送り出す。そして1969年には、ネッカースウルムに本拠を置くNSU(“ヴァンケルエンジン”の開発で知られる)を合併し、アウディNSUアウトウニオンとなり、1985年からはアウディとして現在にいたる。クワトロをはじめとするテクノロジーと、モータースポーツ活動に裏付けられたダイナミック性能、エレガントなデザイン、そして、質感の高い仕上がりが、アウディの人気を牽引している。