祐真朋樹が新型911を語る|Porsche
Presented by PORSCHEPorsche 911 Carrera S & 4S|ポルシェ 911 カレラS & 4S
祐真朋樹が新型911を語る
ポルシェ911の機能美より肝心なもの
7世代目へと進化したポルシェ911(992型)が、7月5日からついに日本でも発売される。歴代モデルで進化に次ぐ進化を重ね、「最新の911は最良の911」と評され、スポーツカーとしてひとつの頂点を極めた911。その最新モデルのジャパンプレミアイベントに参加した祐真朋樹が同車の魅力を語る。
Photographs by SATO YukiText by NANYO Kazuhiro
911はデザイン優先のクルマだ
5月29日、都下で行われた新型ポルシェ911(992型)のジャパンプレミア。スモークが焚かれる会場でヴェールの下から姿を現した911カレラ4Sと同カレラSに、じっくりと熱い視線を投げかけつつ、祐真朋樹はこう述べた。
「911と言えば、ポルシェのアイコン的存在ですよね。僕にとっても、やはりポルシェと言えば911です!」
新型911へのファーストインプレッションは、わりと冷ややかなようでいて、911というクルマ自体には、意外なほど熱い。そもそも、ポルシェ911にはどんな印象をもっていたのだろう?
「ポルシェ911は…憧れでした。僕はスーパーカーブーム世代で、印象に残っているのは、漫画『サーキットの狼』です。あのころ驚いたのは、何よりあのカエルみたいなデザインでした。それが、歳をとるごとになぜか美しいと思えるようになったんです。写真家の繰上和美さんやミュージシャンの高橋幸宏さんといった先輩たちがお洒落に乗りこなしている姿にもシビれました」
“初代から続くRRレイアウトの普遍的なデザイン”とは、これまでずっと911に対するホメ言葉として使われてきたが、祐真はそうは見ていなかった。
「僕は、いわゆる“機能美”というものに、世間が騒ぐほど魅力を感じません。今回の911は、実車を前にポルシェジャパンマーケティング部のアレクサンダーさんの話をうかがい、この新型911がいかにエンターテイメント性を重要視して造られたデザイン優先のクルマであるかがよくわかりました」
Page.2 遊びやムダなものを内包しているのが911
Porsche 911 Carrera S & 4S|ポルシェ 911 カレラS & 4S
編集大魔王、祐真朋樹が新型911を語る
ポルシェ911の機能美より肝心なもの (2)
遊びやムダなものを内包しているのが911
昔ながらのポルシェ乗りやスポーツカー好きが共有してきた911観をひっくり返すような私見を述べる祐真。そのココロはなんだろうか?
「“普遍性の有る無し”以前に、長く続かないデザインとは、そもそもオリジナルの造形に魅力がなかったということです。911はポルシェが長年に渡り造りつづけ、ユーザーもファンでありつづけているから、誰もが普遍的な機能美をいう側面を謳いたがるけれど、そういった話には“創造性”という視点が抜けているのではないでしょうか。
創造性があるものとは、何かしらのストーリーを感じさせるものであり、機能性ではくくれない遊びやムダなものを内包している。911はデザインのみならず過剰なまでのパフォーマンスも含めて、そこが魅力なのだと思います」
では、今回の992型のどんなところに、遊びやムダを感じるのだろうか?
「なぜこのデザインなのだろう? と見た人に感じさせるものがあるかどうか、つまり美学があるか、ということです。記者会見後の懇親会ディナーで七五三木社長やデザイナーの山下周一さんのお話をうかがったのですが、新しい911をどのようなデザインにするか開発チームでブレインストーミングした結果、911らしさを表現するために昔の911から色々な要素を採っているのだそうです。
フロントのボンネットに入っている2本のラインや、左右のラインを強調したインストルメントパネルも、なるほど初代911(910型)にあったもので、デザイン的にいえばリバイバルです。では直近の911とどう変わった? と観察すると、当然、よりモダンに見えます。フロントのヘッドライトは、前より角度が立っているという意味では、昔寄りの顔に戻っているはずなのに、なぜ新しく見えるのか? 近づいて眺めると、フェンダーのラインとライト面のつなぎがすごく微妙なエッジになっているんですね」
Page.3 あえて着たいとか乗りたいとか思わせるものの魅力
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編集大魔王、祐真朋樹が新型911を語る
ポルシェ911の機能美より肝心なもの (3)
あえて着たいとか乗りたいとか思わせるものの魅力
そうしたデザイン上のディテールが、祐真が言う“遊び”を感じさせるものなのだろうか。
「そこに至る必然性はあったのかもしれませんが、便利さや機能性を追求した結果ではなく、単純に美しいから、ということです。例えばリアから見た時の、横一文字のテールランプなんて、すごくキレイじゃないですか。だからポルシェは、むしろ普遍的で変わらないものを作ろうとはしていないんだ、と感じました。
リアにシートがあること自体、スポーツカーとしてはムダでしょう? 後席があるのに、逆にリアに向かってウインドウがスラントして、ルーフは低く傾斜している。矛盾とはいいませんが、そんなひとクセある何かを備えているところが、カッコいいんです」
では、ファッションでいうと、ポルシェ911に相当する、普遍的なようで矛盾をはらんだアイコニックなアイテムとは何だろうか?
「造り手の意思が表れるという点では一緒かもしれないけれど、大前提として僕はファッションとクルマを同じ目線で語ることはできないと考えています。ファッションで僕が面白いと思うアイテムは、たいていは “不機能”とでもいうか、着づらくて不便なことが多いものです。そういうものでもサラッと着こなせる自分でありたい。もちろん、それは911も同様、とはいいません。
それにしても、機能的だからではなく、あえて着たいとか乗りたいとか、そう思わせるものの魅力とは何だろう? 先ほども話した通り、僕にとって911は憧れの1台だからこそ、いつかは乗りたい、実現させたい、そう思っています」
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