リッター90kmのハイブリッドコンセプト「クロスレーン クーペ」|Audi
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2015年1月26日

リッター90kmのハイブリッドコンセプト「クロスレーン クーペ」|Audi

Audi crosslane coupé|アウディ クロスレーン クーペ

未来のアウディを予感させる注目のコンセプトモデル

アウディ クロスレーン クーペ 発表

アウディのSUV、「Qモデル」の将来のデザインと、アウディのクルマづくりの方向性を予告するというプラグインハイブリッドのコンセプトモデル、「アウディ クロスレーン クーペ」がパリモーターショー2012で公開された。今回のショーに出展されるコンセプトモデルのなかでも、もっとも注目すべき、革新的な一台だ。

Text by SUZUKI Fumihiko(OPENERS)Event photographs by MOCHIZUKI Hirohiko

アウディウルトラが進化

全長4.21×全幅1.88×全高1.51メートル、ホイールベースは2.56メートルというサイズに、革新的なテクノロジーを満載した注目のコンセプトSUV「アウディ クロスレーン クーペ」が公開された。将来の「Qモデル」のみならず、将来のアウディ車の姿を予感させずにはいない、その見た目にかんしては、写真をご覧いただくとして、ここでは、ボディ構造とパワートレインをおもにご紹介したい。

まずはそのボディ構造だが、これまで「アウディ スペース フレーム(ASF)」という名称、「アウディ ウルトラ」といったキーワードとともに語られてきた、アウディ自慢の軽量ボディが進化。「マルチマテリアルスペースフレーム」という、あたらしいスペースフレームが採用された。

Audi crosslane coupe|アウディ クロスレーン クーペ

Audi crosslane coupe|アウディ クロスレーン クーペ

このマルチマテリアル スペース フレームは3つの素材からなる。アルミニウム、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)、ガラス繊維強化プラスチック(GFRP)だ。コンセプトカーの重量は約1,390kg。大きなリチウムイオン電池を含めてもこの数値なのだ。

乗員用の部分(セル)は、堅牢なアルミニウムの骨格でまもられ、室内の柱やフロアの構造体、壁面にはCFRPが使用される。その乗員用セルの前後のクラッシャブル部分は、CFRP。表層部はGFRPとCFRPが組みあわせて使用される。

アウディによると、この構造はCFRPのみの場合と同程度に軽量ながら、製造コストと生産から解体にいたるまでのエネルギーの消費量においては、CFRPのみの場合より優秀であり、合理的な将来のボディ構造であるという。

ちなみに、アウディのデザイン上のキーである「シングルフレームグリル」の、外枠にあたる部分は、写真からも明らかなように、このマルチマテリアルスペースフレームの一部として、内部構造に組み込まれている。

リッター90km A1 e-tronとA6ハイブリッドの“いいとこどり”パワートレイン

次にパワートレインだが、こちらは「デュアルモード ハイブリッド」とよばれる、2つのモードをもつ、ハイブリッド方式を採用している。

システム総合最高出力は130kW(177ps)。0-100km/h加速は8.6秒。電気のみで走行した場合は0-100km/h加速9.8秒だ。最高速度は182km/hに達する。リチウムイオン電池の総容量は17.4kWh。86km程度は電気自動車として、エンジンをまわすことなく走行できるという。

そのエンジンは、こういった特殊性のある目的にむけた1.5リッターの3気筒TFSI(ターボガソリン)エンジン。最高出力は95kW(130ps)、最大トルクは200Nmだ。このエンジンは、基本的にはスターターとオルタネーターとしてはたらく、“電気モーター1”と接続されている。この“電気モーター1”は、それ自体で出力は50kW、トルクは210Nmを発揮可能で、エンジンをサポートする役割を担うこともできるが、モーター単独での走行用ではない。

Audi crosslane coupe|アウディ クロスレーン クーペ

Audi crosslane coupe|アウディ クロスレーン クーペ

単独での駆動を担当するのは“電気モーター2”だ。こちらは85kW(116ps)の出力と、250Nmのトルクを発揮する。

肝心の走行モードだが、静止状態から55km/hまでは、バッテリーからエネルギーをえて、“電気モーター2”が走行をうけもつ。この場合、バッテリー残量の低下などに応じて、エンジンが“電気モーター1”を利用して電力を生み出し、バッテリー、あるいは直接“電気モーター2”に給電する。発電用エンジンを搭載した電気自動車、レンジエクステンダーEV、あるいはシリアルハイブリッド車などとよばれるクルマの形式と同一の動作だ。これが1つ目の走行モード。

このモードは、130km/hの速度までを担当できる性能をもつものの、現実的には55km/h以上のスピードでは、エンジンが“電気モーター1”とともに、走行用のパワートレインとなる。130km/hをこえてしまうと、ドライブトレインの主力はエンジンにうつり、“電気モーター1”は、エンジンのサポートに徹する。この、エンジンと“電気モーター1”を使い、“電気モーター2”は使わない走行が、2つ目の走行モードだ。

アウディ的に言えば、低速では「A1 e-tron」のように走り、高速では「A6ハイブリッド」のように走るというわけだ。

走行モードは「クルーズ」と「レース」の2モード。クルーズのほうがより、電気を使った走行を優先する。とはいえ、現在クルマを駆動しているのが、果たしてエンジンなのかモーターなのか、ドライバーには気づくことができないほど、切り替えはスムーズだという。

さて、その環境性能だが、CO2排出量26g/km、燃費1.1ℓ/100km(およそ90km/ℓ)という、驚異的な数値をアウディは公表している。

常時インターネット接続

最後に、室内の特徴だが、映像からもわかるように、センターコンソールにはディスプレーがエアコン用のものしかない。これはディスプレーが、メーターパネル部に集約されているためだ。

Audi crosslane coupe|アウディ クロスレーン クーペ

Audi crosslane coupe|アウディ クロスレーン クーペ

クルマは常にインターネット接続しており、フェイスブックやツイッターといったコミュニティにクルマから簡単に写真やビデオを送信できるという。これを利用した新機能としては、走行ルートの情報を送信して、リアルタイムの道路状況を共有する「エスケープ マネージャー」という機能があるという。

今回の「クロスレーン クーペ」はあくまでも、コンセプトモデル。とはいえ、デザイン、マルチマテリアルフレーム、ハイブリッドパワートレイン、いずれも、何らかの形で今後、市販車にも応用されてくるであろうとおもわせる、具体性をもっているとはいえないだろうか。

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