ショートインプレッション アウディ A6 ハイブリッド|Audi
Audi A6 hybrid|アウディ A6 ハイブリッド
ショートインプレッション アウディ A6 ハイブリッド
先日、日本発売のニュースをお伝えしたアウディジャパン初のハイブリッドモデル「Audi A6 hybrid」。じつは、発表にあわせてOPENERSは短時間の試乗の機会を得た。そこで、ステアリングを握ったのは、小川フミオ氏。Sモデルの同時試乗の際には、「S6」を高く評価した氏は、ハイブリッドの「A6」をどう感じた?
Text by OGAWA FumioEvent photographs by SUZUKI Fumihiko(OPENERS)
戦略性を感じる
アウディ ジャパンが2012年9月24日より発売したアウディA6ハイブリッド。ナチュラルで、乗り心地もよく、かつ燃費はガソリンエンジンよりはるかにすぐれる。しかも690万円という価格は、既発のドイツのライバルをだいぶ下まわる。「日本のハイブリッド車の市場は大きいので、そこでアウディも存在感を増していきたい」(アウディ ジャパン)というだけに、戦略的なモデルといえる。
A6ハイブリッドは、211psの2リッター4気筒ターボである「2.0TFSI」エンジンに電気モーターをパラレル式に組み合わせたもの。トルクコンバーターの代わりに電気モーターとクラッチが一体化したハイブリッドユニットを搭載している。それによって、システム合計では245psの最高出力と、480Nmの最大トルクを発生する。
もうひとつ、A6ハイブリッドで注目すべき点は、前輪駆動仕様であること。価格を抑える目的もあったのだろう。商品戦略的には、2013年導入予定の「Q5」で、クワトロのハイブリッド版の存在感を際立たせるためとも考えられる。
Audi A6 hybrid|アウディ A6 ハイブリッド
ショートインプレッション アウディ A6 ハイブリッド (2)
ハイブリッドだとは気づかない
A6ハイブリッドは、ひとことで言うと、これで充分、とおもわせるクルマだ。アクセルペダルをあまり踏みこまない低負荷の状態では電気モーターのみでの走行で、この領域でも充分トルクがある。1,850kgの車重に2リッターガソリンエンジンの組み合わせのため、「低回転域でのトルクを効果的に補うには電気モーターは有効」とアウディ ジャパンの説明どおりの印象だ。
エンジンの始動と停止はスムーズで、運転していてもほとんど気づかない。加速性はよく、アクセルペダルの踏み込みにリニアに反応して、加速量が多いときはエンジンが動き、速度をあげていく。アクセルペダルから足を離すとエンジンは停止し、電気モーターは電気をリチウムイオンバッテリーに蓄電する回生システムとして働きだす。これらの動きは、回転計の代わりに備わった「パワーメーター」で目視することができる。しかしドライバーが意識しなければ、A6ハイブリッドは、ごくふつうの上質のセダンである。
A6ハイブリッドのハイブリッド システムにはパワーブースト機能が備わる。これは電気モーターのトルクを、加速のために使うもの。パワーメーターでは、エンジンと電気モーターの負荷が表示される。そこでエンジン負荷が「100」に達すると、電気モーターが作動する。速度域にかかわらず、アクセルペダルの踏み込み量によって、大径のターボチャージャーが作動するような、段付きの加速をもたらしてくれる。これはこれでクセになりそうな、楽しい感覚だ。
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ショートインプレッション アウディ A6 ハイブリッド (3)
選択肢として存在感がある
これまで日本に導入されてきたハイブリッドモデルは、フォルクスワーゲン「トゥアレグ ハイブリッド」(898万円)や、BMW「アクティブ ハイブリッド5」(850万円)など、トヨタ「プリウス」(217万円~)に代表される国産ハイブリッドとはことなり、高級車セグメントに属していた。ユーザーにとってみれば、ハイブリッドも付加価値のひとつといってもいいかもしれない。
しかしアウディA6ハイブリッドはさきに書いたように690万円と価格を抑え(それでも安くはないが)、従来の「A6」や「S6」とはまたことなる操縦感覚によって、独自の存在感を持っている。従来からの軽量ボディや、エンジンのスタート ストップシステムなどの燃費技術、上質なインテリアなど、継承すべき美点は備えているうえに、エアコンの使用量を抑えられるという名目で電動スライディングルーフや、電気の使用量が控えめということでLEDヘッドランプと、省エネ装備は標準となるのはユニークな(だがうれしい)点。
燃費はJC08モードでリッター13.8kmと発表されているが、バッテリーがフル充電状態でEVモードを多用した市街地走行では、「軽く20km/ℓを超えました」と、今回の試乗会のインストラクターを務めてくれたプロのドライバーが教えてくれた。モニターに表示される燃費記録を見ると、それもさもありなんとおもう。いろいろな意味でよくできたハイブリッドモデルであるA6ハイブリッド。これからA6クラスの車両の購入を考えているひとにとって、選択肢のひとつに組み込んでもいいモデルだとおもう。
ボディサイズ|全長4,930×全幅1,875×全高1,465mm
ホイールベース|2,910mm
トレッド 前/後|1,625/1,615mm
最低地上高|150mm
重量|1,850mm
トランク容量|375リットル(VDA値)
駆動方式|前輪駆動
燃費|13.8km/ℓ(JC08モード)
CO2排出量|168g/km
エンジン|1,984cc直列4気筒DOHCインタークーラー付ターボ
エンジン最高出力|155kW(211ps)/4,300-6,000rpm
エンジン最大トルク|350Nm(35.7kgm)/1,500-4,200rpm
モーター最高出力|40kW(54ps)
モーター最大トルク|210Nm(21.4kgm)
トランスミッション|8段ティプトロニック
ブレーキ 前/後|ベンチレーテッドディスク/ディスク
タイヤ|245/45 R18
価格|690万円