美食大陸オーストラリア、美食とワインをめぐる旅へ|ニューサウスウェールズ州 シドニー|特集
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2015年10月21日

美食大陸オーストラリア、美食とワインをめぐる旅へ|ニューサウスウェールズ州 シドニー|特集

特集|美食大陸オーストラリア、美食とワインをめぐる旅へ

3. ニューサウスウェールズ州 シドニー

ボンダイビーチでレイドバックな休日とグルメを楽しむ

特集|美食大陸オーストラリア、美食とワインをめぐる旅へ|ニューサウスウェールズ州 シドニー

高級住宅街ダブルベイはシドニーの中心から車で10分ほど

オーストラリア最大の都市シドニー。20代のころ、ここで暮らしていた。トラベルライターとして日本を拠点にしてからも、何度となく公私にわたって訪れてきた私にとっては、世界中のどこよりも思い出にあふれた忘れがたい場所。今回は久しぶりの滞在だけに期待も高まる。国内線ヴァージンオーストラリアのウィンドーシートから窓の外を望む。美しいフォルムの世界遺産オペラハウスとハーバーブリッジが見えてくると、懐かしい想いがこみ上げてきた。

シドニーの空港で私を出迎えたのはBMWとリムジンドライバー。目指すはシドニーサイダー(シドニーに暮らす人たちをこう呼ぶ)が愛するボンダイビーチだ。空港からボンダイビーチまでは約30分。この時は11月中旬、南半球では春だが初夏を思わせる快適な気候とみずみずしい新緑のストリートをリムジンがゆっくりビーチへと駆っていく様子が心地いい。

ボンダイビーチでの滞在先はAdina Apartment Hotel, Bondi Beach。ボンダイビーチまでは歩いて数分という好ロケーション。客室はすべてキッチン、ランドリーなどを備えたアパートメントで、実はオーストラリアにはこういったタイプのアコモデーションが多い。長期滞在向けに最高の環境・施設が整い、まさに「暮らすように滞在する」ことができる(1泊から滞在OKのものも多い)。

ここもそんなゲストが多く、スタイリッシュな空間とフレンドリーなスタッフの対応も好感がもて快適な滞在となった。階下には今回、食事をした大人気ピッツェリア、グルメスーパー、カフェがあるほか、周辺にはコンビニやドラッグストアがあり利便性もいい。なによりもビーチまですぐ、というのが嬉しい。シドニーの中心部まではバス、タクシーなどで20~30分という近さもボンダイの魅力。シドニーサイダーに愛される理由はそこにある。

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アディナ・アパートメント・ホテルの階下には、グルメなスーパーやカフェなどがあり便利

ボンダイビーチはビーチサイドのグルメスポットとしても評価が高い。日本でも人気の「世界一の朝食」で知られるビルズの最新店Bills Bondiも登場。また、連日満席の薪窯ピッツェリア、極上のオーシャンビューとシーフードを味わえるダイニングスポットなども。レイドバックしたビーチサイドのゆるやかなムードのなか、ローカルたち御用達のグルメスポットをめぐる楽しさは格別。とびっきりの美食を味わったあとは、罪悪感をはらすべくビーチランやコーストラインのトレイルウォークBondi to Bronte Coastal Walk、絶景のパブリックプールBondi Icebergs Clubでひと泳ぎ、というオプションが待っている。

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ボンダイビーチ沿いのコースタルウォーク

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ボンダイビーチの絶景プールに感動

Adina Apartment Hotel, Bondi Beach(アディナ・アパートメント・ホテル、ボンダイビーチ)
https://www.tfehotels.com/brands/adina-apartment-hotels/adina-apartment-hotel-bondi-beach

Bondi to Bronte Coastal Walk(ボンダイ・トゥ・ブロンテ・コースタル・ウォーク)
http://www.waverley.nsw.gov.au/recreation/beaches_and_coast/bondi_to_bronte_coastal_walk

Bondi Icebergs Club(ボンダイ・アイスバーグ・クラブ)
http://icebergs.com.au/

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3. ニューサウスウェールズ州 シドニー

シドニーCBDでは華やかなホテルライフとガストロノミー体験を

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当時のままの外観の1888 ホテル

ボンダイビーチステイのあとは、シドニー中心に移動。CBD(セントラル・ビジネス・ディストリクト)と呼ばれる中心にあるメジャーホテルはすでに宿泊経験があるので、今回は最新でちょっとユニークなホテルに泊まりたいとリクエスト。そこで選ばれたのが1888 Hotel。場所はカジノやハーバーサイドの観光スポット、ピアモント。名前の由来は使用する建物が1888年に建てられた、つまり19世紀の開拓時代のものだから。外観はレンガ造りのクラシックさだが中はすこぶるヒップ。そこに当時の壁や木材の梁などを一部、アクセントに遊び心を演出。“エース・ホテルのシドニー版”といったところでクリエイターから観光客まで幅広く人気がある。

もうひとつ、滞在したのはCBDのど真ん中にあるQT Sydney。こちらもデザインホテルだが、やはり古い建物を使用。ゴシックスタイル、アールデコなど演出が施されグラマラス。ここはぜひ、カップルで泊まってもらいたい。周辺は有名デパート、ショッピングセンター、高級ブランドが立ち並ぶシドニー最大のショッピング&観光エリア。ロケーションも申し分ない。おなじように歴史的な建物を使ったスタイリッシュなホテルとしては、旧市街ザ・ロックスのHarbour Rocks Hotelがある。フランス系ホテル、アコー・グループのあたらしいブランドでストーリー性のある空間がコンセプト。シドニーの歴史が色濃く残るザ・ロックスのヒストリカルな建物と周囲の史跡をたっぷりと味わうことができる。

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ユニークかつグラマラスな演出のQT シドニーのレセプションエリア

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1887年の建物を活かしたハーバー・ロックス・ホテルはザ・ロックス観光に最適

最新のホテルとして話題なのは、Intercontinental Hotel Sydney Double Bay。シドニーCBDから車で10分、近郊のスーパー高級住宅街ダブルベイに2014年末にオープン。かつてザ・リッツカールトンだった瀟洒な建物をリニューアル。ダブルベイ唯一のインターナショナルなシティホテルとして蘇った。ゲストオンリーのルーフトップのプール&バーからはシドニー湾とダブルベイの美しすぎる眺望をゴージャスに堪能。CBDの活気とは異なりリゾートライクな開放感とエレガントさが秀逸だ。

ホテルライフとあわせて世界屈指の美食体験ができるのがシドニーだ。今回の「美食大陸オーストラリア」のハイライト、タスマニアでのグルメディナーで腕をふるったニール・ペリーのRockpool、ピーター・ギルモアのQuayもここシドニーにある。オーストラリアで最も有名なシェフとして知られる和久田哲也氏のTetsuya’sもマストビジットのレストランのひとつ。最近、急速に知名度が上がっている「世界ベストレストラン50」にも過去ランクイン。2015年度は和久田シェフに「The Lifetime Achievement Award」が贈られている。

また、マルチカルチュラルなシドニーらしく、チャイニーズ、タイ、ベトナミーズ、日本食といったアジアンフレーバーも本格的。また、英国式アフタヌーンティーやパブ文化、さらにカフェカルチャーも豊かで味わう楽しさは尽きない。世界遺産のオペラハウス、ザ・ロックス、ハーバーブリッジなどの名所を見ながら世界最上質の美港シドニーの食の魅力をたっぷりと感じるには最低3泊はしてほしい。

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オペラハウスと並ぶシドニーの名所ハーバーブリッジ

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QVBは19世紀の建物を使用した一大ショッピングセンター

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2000年のシドニーオリンピックではビーチバレー会場になったボンダイ

そして今回最大のミッションでもあった、オーストラリアの美食ぶりをここシドニーでも実感することとなった。オーストラリアというとカジュアルでビーチや大自然のイメージが強いが、いまではライフスタイルが驚くほどに成熟し、あたらしい施設やトレンドスポットも続々と増えている。もちろんナチュラルでのびやかなオージーライフ気質は健在。くつろぎながら成熟したフード&ワイン、ホテルライフが満喫できるのがいまのオーストラリアだといえる。

20代のころの想い出を重ねながらの久しぶりのシドニー滞在。実はボンダイビーチにも少し住んでいたことがあり、その場所を訪ねてみたりもした。残念ながら記憶も薄れ、暮らしていた家を見つけることはできなかったけれど、あのころの自分を思い出しながら、ここまできたことをしみじみと感じる少しセンチメンタルな旅でもあった。

昔の自分を思い出す場所があるというのは幸せなことかもしれない。旅というのは思い出を作り、思いを呼び戻すものなのだということを感じる。美食を味わいつつ、極上のワインを傾けながら、オーストラリアが旅人たちのそんな場所になってくれることを心から願っている。

1888 Hotel(1888 ホテル)
http://www.1888hotel.com.au/

QT Sydney(QT シドニー)
http://www.qtsydney.com.au/

Harbour Rocks Hotel(ハーバー・ロックス・ホテル)
http://www.harbourrocks.com.au/

Intercontinental Hotel Sydney Double Bay(インターコンチネンタル・ホテル・シドニー・ダブルベイ)
http://www.ihg.com/intercontinental/hotels/jp/ja/sydney/sydic/hoteldetail

Rockpool(ロックプール)
http://www.rockpool.com/

Quay(キー)
http://www.quay.com.au/

Tetsuya’s(テツヤズ)
http://tetsuyas.com/

保存版:シドニーのおすすめスポット5選

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3. ニューサウスウェールズ州 シドニー

シドニーのおすすめスポット5選

Da Orazio Pizza + Porchetta(ダ・オラッツイオ・ピッツァ + ポルケッタ)

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窯とゲスト席が一体になっているので職人が焼き上げる様子を見るのも楽しい

いま、最も勢いのあるレストランと評判のピッツェリア。滞在していたアディナ・アパートメント・ホテルの階下というロケーション。ランチ(土曜・日曜のみ)もディナーも常に満席。ファミリーからビジネスマン、カップルなど地元ボンダイの常連をはじめ、シドニーサイダーたちに絶大な支持を得ている。ナポリスタイルのピッツアはすべてホームメイドの薪窯焼き。48時間寝かせた生地は小麦の香りも豊かにもっちりと。薪で焼く香ばしさとの相乗効果は驚異的。本場を凌駕するおいしさにしびれる。

32センチサイズのピッツアはA$18~25。私のチョイスは熟成感たっぷりのサンダ二エーレのプロシュートとルッコラ、パルミジャーノが贅沢に乗った「プロシュート」(A$25)。また、店名にもなっている「ポルケッタ」(A$24~)はイタリアで愛される子豚の丸焼きのことでこちらも名物。毎日、焼き上げ売切れ必至なので早めにゲットすること。パンにはさんだ「フォッカチア・コン・ポルケッタ」(A$28)も人気。テイクアウトも可能なので、ホテルの部屋で食べることもできる。繁忙なためスピーディではあるが、テーブルごとに丁寧にサービスする姿勢もオーストラリアらしい。人気店なので予約はマスト。それをクリアすれば幸せな時間を心から味わえるとてもステキな場所だ。

Da Orazio Pizza + Porchetta
75-79 Hall Street, Bondi, NSW 2026, Australia
http://daorazio.com/


Bills Bondi(ビルズ・ボンダイ)

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ビルズといえばコレ。「リコッタ・ホットケーキ・ハニカムバター添え」

お台場、表参道、七里ヶ浜、横浜赤レンガ倉庫と支店をもち、すっかり日本でもおなじみのビルズ。「エッグマスター」の異名をとるビル・グレンジャーが、シドニーの瀟洒(しょうしゃ)な住宅街ダーリングハーストに一号店をオープンしたのが1992年。良質な卵、ミルクなどを使い焼き上げたホットケーキなど朝食のクオリティは、瞬く間にシドニーサイダーたちをとりこに。トム・クルーズ、ディカプリオなど、映画撮影のためシドニーを訪れたハリウッドセレブたちもビルズの朝食に夢中になった。

そのビルズの最新店がボンダイビーチに登場。こちらもアディナ・アパートメント・ホテルの隣という立地。

7時半からのオープンと同時に満席。お目当てはビルズのシグネチャー「リコッタ・ホットケーキ・ハニカムバター添え」(A$19.50)。ふわふわのホットケーキにハニカムバターをたっぷりと。リコッタチーズの風味と卵、ミルクの甘みが口いっぱいに広がる幸福感は格別。ビルズファンはぜひ、本場でこの幸せを味わってもらいたい。もうひとつの人気メニューは「スイートコーンフリッター」(A$21.50)。ローストトマト、ホウレンソウ、ベーコンを加えてサックリとフリット。クリスピーなテクスチャが絶妙。追加料金A$4でアボカドサルサのトッピングができ、これもまたさわやかでお薦め。

ボンダイで早朝の波乗りを楽しんだサーファーたちには、超絶ボリューミーな「フルオージー」(A$24.50)が定番。オーガニックでフレッシュな卵を使ったビルズ名物のスクランブルエッグにサワードゥのトースト、クミンで香りづけをしたローストトマト、ベーコン、味噌で味付けをしたマッシュルーム、ポーク&フェンネルソーセージがプレートに盛り込まれ迫力たっぷりだ。

Bills Bondi
79 Hall Street, Bondi Beach NSW 2026, Australia
http://www.bills.com.au

North Bondi Fish(ノース・ボンダイ・フィッシュ)

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ヨーロッパと異なり、シドニーでは通年ロックオイスターを味わえる

ボンダイビーチの北にある人気シーフードレストラン。目の前にはボンダイブルー(初代iMacのボンダイブルーはここから命名)の水平線と白砂のビーチが広がり、開放的。外のテラスは夏の絶好のダイニングスポットとなる。メニューは迷うほどに充実。シドニー周辺で水揚げされる魚介類をバリエーション豊かな個性ある料理に仕上げている。

まずは、シドニー名物「ロックオイスター」(1個=A$4)。日本のものよりも小ぶりだが、ミルキーな甘みとコクがある。これはシンプルにレモンで、あるいはそのままでスルリと。レストランスタッフのおすすめは「ガーフィッシュ・タコス」(2個=A$22)。

ガーフィッシュ(さより)をクリスピーにフライにし、そこにレッドキャベツコールスローとハラペーニョを。淡泊なガーフィッシュに酸味のあるコールスローとスパイシーなハラペーニョでツイストされパンチのある一品に。ひねり過ぎない定番としては「チャコールグリルしたキングプロウン」(A$35)、「スナッパー」(A$32)、「バラマンディ」(A$62)などをぜひ。

シーフードといえばワインが欠かせないが、オーストラリアワインのリストもなかなかに充実。グラスでA$10前後、ボトルでA$50~70。私が選んだのはシドニーのあるニューサウスウェールズ州を代表するワインの産地、ハンターヴァレーの「Thomas ‘Braemore’ Semillon」(グラス=A$13)。クリスピーでフレッシュな味がシーフードを引き立ててくれた。オリジナルカクテル類もそろっている。カジュアルでハートフルな若いスタッフによるサービスもいい。

North Bondi Fish
120 Ramsgate Avenue, North Bondi NSW 2026, Australia
http://www.northbondifish.com.au

Nomad(ノマド)

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11月、春のオーストラリアで旬を迎えたアスパラを味わう

最近、急速にオシャレで勢いのあるダイニングスポットが増えているのがサリーヒルズ。シドニーのCBDの南、シドニー中央駅の東側にあたる。開拓時代の古い建築、住宅が数多く残り、それらが最先端のガストロノミーやカフェに変身し、注目されている。そのムーブメントを牽引するレストランのひとつがここ。

オープンキッチンを囲むようにカウンターを備え、そのまわりにはグループ対応もできるロングテーブル。高い天井にソリッドなむき出しの空間。いま流行りのレストラン形態だといえる。オーナーのアル・ヤズベクとレベッカ・リトルモアがこだわるのは生産者から厳選したベストなローカルプロダクトを使うこと。

また、隣接してワインセラーも設けられ、オーストラリア全方位のワインリストを用意しているのも特徴。シェフ、ネイサン・サシのコンセプトは地中海のフレーバーにオーストラリアの食材を重ねてダイナミックさを与えたオリジナリティあるもの。季節感あふれる食材を使ったメニューは一見シンプル。しかし、スパイスやハーブ、ヨーグルトなどが絶妙なバランスでまとめていて、うならされる。

春にあたる11月のメニューから、「新アスパラガスのソテー」(A$18)を。ジャージーバターとパプリカを好みでふりかけて食べるプレゼンテーションが楽しい。メインには大好物のラムをチョイス。「BBQラム・ランプ」(A$38)は、ラム肉にモロッカン・エッグプラントのサラダ、羊のチーズのソースがかかったボリューミーな一品。ジューシーなラムの風味にエスニックでさわやかなソースがマッチング。多様性のあるオーストラリアそのものを思わせる万華鏡のような味わいがみごとだ。

ワインは個性的な料理にあうようにビクトリア州キングヴァレーのPfeifferの2014年の「ピノグリ」(グラス=A$11)で。どのメニューも量がたっぷりなのでできれば数人で来てあれこれとシェアしながら食べるのが楽しい。あるいはカップルならばぜひ、シズル感たっぷりのカウンターのリザーブを。3名以上なら大皿をテーブルで分け合う8コースの「デギュスタシオンメニュー」(A$65)も味わえる。

Nomad
16 Foster Street, Surry Hills NSW 2010, Australia
http://nomadwine.com.au

Sepia(セピア)

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薄くスライスしたマッシュルームのなかに、日本のカレー粉で香りづけをした西オーストラリア産スカンピを詰めた一皿

いま、シドニーで最も人気が高く、予約困難なレストランといえばここ。毎年、発行されるシドニー版ミシュランともいえるシドニー・モーニング・ヘラルド紙の「Good Food Guide 2015」で「レストラン・オブ・ザ・イヤー」に輝いた話題のガストロノミー。シェフのマーティン・ベンは名店「Tetsuya’s」でヘッドシェフを務めた経験をもち、そこでシェフ和久田哲也氏の薫陶を受けることになる。2009年にセピアを開業以来、日本食のテクニック、哲学を踏襲しながらシェフ独自のカリナリーマインドとオーストラリア産の食材を活かしたメニューのクオリティ、斬新さは食通、フードジャーナリストたちに強いインパクトを与えている。

ディナーは5コースメニュー(A$160)か、9コースのテイスティングメニュー(A$190)のいずれかでアラカルトはない。シェフの料理哲学を堪能するためにもぜひテイスティングメニューを。料理にあったマッチングワインメニューはA$120とA$160。これには日本酒なども含まれているので試すのもいい。

料理は仕入れによって異なるが、ウェルカムシャンパンと共に手渡されたメニューを見ても食材と調理法が簡単に列記されているのみ。どんな料理となって出てくるか正直、想像できない。しかも、組み合わせる食材は極めてユニークだ。日本料理、フュージョン、コンテンポラリーといった概念をさらりとクリアした、独自の世界観こそがセピアの真骨頂だ。「Tetsuya’s」が日本料理との融合を表現した料理を提供するレジェンドならば、セピアはハイブリッドな次世代のレストランだといえる。

ディナーの最後、マーティンがあいさつに出てきてくれた。そして、「特別にもうひと皿、デザートを食べてほしい」と言ってきた。そこで出されたのが彼のシグネチャーになった「Japanese Stone」と名付けられたデザートだった。見た目はまさに日本の河原にありそうな漆黒の石のよう。まわりはチョコレートのコーティング。それをコツンとスプーンで割ると、中にはチェリーやココナッツのフレーバーのフィリング。苔や砂は抹茶、ユズ、胡麻といった食材で表現している。2011年3月11日の日本の震災にマーティンは非常に大きな衝撃を受けたという。自分になにができるのか考えた末、なにか日本のために料理を作ろう。そう思い考案したのがこの「日本の石」。料理だけでなく日本という国に信頼と愛情をもつシェフの思いがミニマルで美しいひと皿に込められていることに感動せずにはいられなかった。

Sepia
201 Sussex Street, Sydney NSW 2000, Australia
http://www.sepiarestaurant.com.au/

           
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