連載・藤原美智子 2014年3月|断酒と抗糖化と願望、叶うのはどれ?
2014年3月|「私、お酒は飲まないので」と、涼しい顔でお酒を断ってみたい!
「断酒と抗糖化と願望、叶うのはどれ?」
最近、断酒に向けてお酒を飲む回数を減らしている。若いときからお酒を飲むのが好きだったし、よく飲んでもいた。それが数年前から、急にお酒がおいしく感じられなくなった。それでも夕食時にジントニックを一杯とかワインを一杯とか何かしら毎日飲んでいたし、週末にはシャンパンを一本開けることもあった(一人で!)。そして食事に出かけて気分が乗ると何杯も飲んだり、親しい人たちと飲むと杯が進んで陽気になっちゃったりしていた。そのへんは私の周りのひとは良くご存知だと思うのだが(笑)。
そんな私が去年の年末に「もう、お酒を飲むのを止める!」と宣言したところ、皆それぞれから「えー、止めてー! つまんない~!」と大反対されてしまった。その反応は「え~! 何で何で、そんなに皆、ガッカリするの!?」と、私がビックリするほど。そして「止める前に、最後のお酒会をしよっ!」とまで言われた。それだけ私はお酒を飲んで皆を楽しませていたということなのだろう(苦笑)。
Photographs&Text by FUJIWARA Michiko
我慢するくらいなら、飲むのを止める!
さてお酒を止めようと思ったのは、前述のようにお酒がおいしく喉を通っていかなくなったからだが、それなのに「私が飲めないはずはない!」と、ここ数年は無理矢理に押し込むように飲んでいたのである。そして少し酔いが回ってきて味がわからなくなると普通に飲める、ということを繰り返していたのだ。でも、さすがの私も「何も、そこまで無理して飲まなくてもいいか……」と思うようになってきた。それと同時に「飲まない人生というのも味わってみたい!」という気持ちが湧いてきて(大人になってからはずーっと飲んでいるので)、それが年末の断酒宣言へとつながったというわけである。
止めるにあたり、どうしたら止められるのか周りに聞いてみたところ、大抵のひとから「何も無理してキッパリ止めなくてもいいんじゃない? 何かのときには飲むぐらいのスタンスにすれば?」という返事が返ってきた。でも、それは無理! 自分の性格からすると、「飲む」か「飲まないか」のどちらかしかない。それに“減酒”では、飲まないときは我慢しているということだ。我慢するくらいなら、飲むのを止めたほうがいい!
断酒は、瞑想を深めることにあり
実行は今年の正月休み明けから。とはいえ、キッパリ断酒! というのは最初から諦めていたので、少しずつお酒を飲まない日を増やしていって、3月いっぱいで止めるという計画を立てた。その計画通りに1月は週に2、3回の禁酒、2月は週4回、そして3月に入ってからは週5回と順調に進んだ。つまり今現在は、お酒は週2回しか飲んでいないということである。お酒を飲まないひとにとっては「週2回も」ということになるかもしれないが、私にとっては「週2回しか」という最低頻度の回数だ。ところで2回のうちの1回はビールを1杯程度、もう1回は女子会やら食事会やら記念日やらで外食をした日に、周りのペースとおなじように飲むというもの。つまり計らずとも今のところ、皆に諭されたように「何かのときには飲む」というスタンスになっているということである。
では飲まない日はすごく我慢をしているかというと、そうでもない。夕食前に一瞬だけ「飲みたいなー」という気持ちが沸くが、それをサラッと流せて飲みたい気持ちを消すことができている。これは自分にとっては予想外であり、想定内のことでもある。じつは断酒するにあたり、あることを同時進行しているからだ。それは瞑想を深めること。これについては1月の連載に取り上げているが、瞑想をすることによって欲が収まったり、自分の心をコントロールできるようになったりして、お酒に惑わされなくなるのではないか、そんなことも期待しながら毎日おこなっているのである。そして断酒計画は着実に進んでいるのだから、ある意味、瞑想効果は発揮できているといってもいいのではないだろうか。
断酒のかわりに、甘いものを欲するようになった!
しかし順調に断酒に向かって進んでいるうちに、ある問題が勃発した。それは甘いものを欲するようになってきたことだ。私は料理に砂糖は使わないし、いただきものの甘いものは喜んで食べても自分で買ってきてまでは食べない。外食のときもデザートは食べないけれど、食後酒は飲むというひとだった。それがお酒を飲まない日が多くなるにつれ、甘いものを欲するようになってきたのだ。お酒を飲まないひとは甘いものが好きと聞くが、まさにその通りになってきたのである。今までお酒で満たされていたものを、今度は甘いもので満たそうとする本能のあらわれなのだろう。
しかし過多な糖分は美容と健康の敵であることは間違いない。「糖化」という言葉は最近、よく目にすると思うが(女子だけか?)、これは体内にあるタンパク質と食べもので摂り入れた糖が結びついて、糖化したタンパク質となって体内に蓄積されてしまうこと。これの何が怖いかというと、肌の老化がグーンと進むことだ。弾力は失われ、シワやたるみ、黄ぐすみといった老化現象を起こすのだ。
そういえば、お酒を減らしてまだ糖分を欲していないころ、黄ぐすみがなくなったのか冴え冴えとした感じの肌になったときがあった。特別に果物や炭水化物の量を減らしたわけでも、運動量を増やしたわけもでもない。変えたのは飲酒習慣だけ。以前はお酒を夕食前の空腹のときに飲みはじめていたので、それによって血糖値を一気に上げさせていたことが糖化を進ませて、肌の黄ぐすみの原因となっていたのかもしれない。
しかし甘いものは、より強烈な糖化の原因となる。それにお酒とおなじように習慣にもなりやすい。案の定、最近は食後に必ず何かしら甘いものを欲っするようになってきた。そして口にすると、なんという至福感……! そうか、お酒や甘いものはこうした至福感を簡単に手に入れられるからこそ、ひとは欲するのだ。でも瞑想でも至福感は得られる。ということは瞑想で手に入れられるようになったら、お酒も甘いものも欲しなくなるということだ! 甘いもの中毒になる前に、早く瞑想を深められるようにならなければ。 断酒のかわりに、甘いものを欲するようになった!
一難去って、また一難??
でも今日明日にはできるものでもないので、とりあえずの対策として身体に良さそうな甘いものを口にすることにした(問題はそこではないのだが)。お気に入りは、乳化剤などの食品添加物が一切使われていなくてカカオ(90%)と砂糖、各スパイスのみで作られた「アンティカ・ドルチェリア・ボナイユート」のチョコレート。これはいただきもので知ったのだが、ホントにおいしい。上の写真のものはモツィアの塩入りのもの。そして以前から料理にも愛用している「HACCI」の蜂蜜(これはヒアルロン酸入りのもの)を食後に舐めてみたり、バッグの中にはオーガニックのフルーツ&ナッツミックスを常備したりしている。それにしても、なんだか「一難去って、また一難」という感じである。ホント、人間って欲深いものである(私だけか!)。
そうそう、飲酒リミットの3月も終わろうとしているが、今はお酒との付き合いは断酒ではなく、「何かのときには普通に飲む」というスタンスでいこうかな~と思っている。自分が飲みたいからというよりも、そのほうが周りの人たちの喜びにもつながるようなので。……イエイエ、これはホントにマジな理由。何しろ私は、いつでも、どこでも飲まないでいられるってどういう心境なのかを知りたいし、いつかは「あっ、いらないです。私、お酒は飲まないので」と涼しい顔でお酒を断ってみたいという願望があるのだから。「飲めない」のではなく、「飲まない」というのがポイント。何やら、自分をコントロールできて知性のあるひとのような感じで素敵ではないか。つまり私は今、そのようなひとに憧れているということなのである。
※そんな自分になる前に、どこかで飲んでいる私を発見しても「今日は何かのときなのね」と温かい目で見ていただければ幸いです……!