海外初試乗、メルセデス・ベンツ新型「Cクラス」|Mercedes-Benz
Mercedes-Benz C 250|メルセデス・ベンツ C 250
Mercedes-Benz C 250 BlueTEC|メルセデス・ベンツ C 250 ブルーテック
フルモデルチェンジを果たしたブランドの大黒柱
海外初試乗、メルセデス・ベンツ新型「Cクラス」
昨年末に開催されたデトロイトモーターショーでのデビューからわずかに3ヵ月。はやくも新型「Cクラス」を試す機会を得た。その舞台となったのは南仏、マルセイユ。先代W204にかわるあたらしいCクラス(W205)とは、どんなクルマなのか。その魅力を西川淳 氏が語る。
Text by NISHIKAWA Jun
自動車業界のスタンダードとして
新型「Cクラス」のデビューは、まちがいなく、今年の輸入車界において、早くも最大のニュースのひとつ、である。「Aクラス」や「Bクラス」といったコンパクトモデルの人気が高くなったいまでも、Cクラスはメルセデスブランドの大黒柱的存在であり、自動車業界がスタンダードとしてあがめる存在、であるからだ。
すでに昨年(2013年)来、W205新型Cクラスの概要は、専門メディアなどを大いに賑わわせてきた。特に、内外装の見映え質感の高さは、評判の高い現行「Sクラス」にも迫るものだとして注目されている。年初のデトロイトショーでワールドプレミアを迎えたが、そこでの評判も相当に高かったようだ。
まずは、新型Cクラスの魅力を簡単に報告しておきたい。ついに堂々たるグローバルDセグメントサイズにまで拡大されたボディ寸法から話を進めよう。
アウディ「A3」やBMW「3シリーズ」といったライバルたちが次々とサイズアップしたいっぽうで、これまでCクラスは小さくまとまっていた。日常利用にサイズ制限のある日本のユーザーにとって、それはとても嬉しいことだったわけで、新型Cクラスがサイズアップしたと聞いて、がっかりした方も多いことだろう。
なにしろ新型は、少し前までなら「Eクラス」と言っても通用するほどのホイールベース長と全幅を得るに至ったのだから……。
エンジニアの説明では、ホイールベースの延長は後席のレッグルーム拡大のため、横幅拡大はフロントサスペンション4リンク化と室内スペース拡大のため、という説明である。Cクラスが安心してサイズアップできた背景には、旧型Cクラスサイズとほぼおなじサイズで美しいスタイルの4ドアセダン「CLAクラス」がすでに登場しており、思惑どおり、大人気を博していることもあるだろう。
次に、軽量化だ。ボディ構造のうち、アルミニウム素材の占める割合を実に48パーセントまで飛躍的に高めた。結果、従来型に比べてボディサイズがアップし、さまざまな機能装備が増えているにも関わらず、実に100キロ前後のダイエットに成功している。パワートレインの進化とともに、いっそうの効率化に向けて大きな貢献を果たしているといえそうだ。
空力性能の向上も効率化対策には重要で、CLAほどではないにせよ、Cd値0.24というクラスリーディングな数値を実現した。
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フルモデルチェンジを果たしたブランドの大黒柱
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走りへの期待
パワートレインはどうか。本国仕様では現時点でも悩ましいほどのエンジンラインナップを用意もしくは予定している。たとえばディーゼルターボ(C180、C200、C220、C250の各ブルーテック)、ガソリン(C180、C200、C250、C400)、マイルドハイブリッド(C300 ブルーテック)、プラグインハイブリッド(C350)という具合だ。このうち、今年中に日本市場へ導入されるのは、C180、C200、C250の7ATガソリン仕様で、ディーゼルターボの導入予定はあるものの、グレードは未発表である。同様に、4マチック(4WD)の導入時期も未定。
そのほか、走りの面に関していえば、クラス初となるエアマチックサスペンションの採用(オプション)が話題となるはず。軽量化とともに、走りへの期待が高まるというものだ。
そして、何と言っても、内外装のフィニッシュレベルの高さは新型Cクラス最高の見せ場である。エクステリアデザインはSクラスと見間違うほどに立派で、すれちがっただけでは瞬時に見分けることが難しいほど。初代Cクラスというべき「190シリーズ」が登場したときのことをおもい出させる。
インテリアの仕上げはさらに圧巻だ。ドアトリムやセンターダッシュボード&コンソールのデザインおよび仕上げクオリティは、まさに1クラス上のできばえ。タッチパッド付きのコマンドシステムなど、最新の操作系もそなわって、現行Eクラスを完全に凌駕した。もちろん、安全に関する装備は、上級モデルと同一だ。
南仏はマルセイユを起点に開催された国際試乗会。試すことのできたグレードは、日本にも導入される予定のガソリンエンジンのC250に19インチランフラットタイヤ仕様+エアマチックを装備したAMGラインだった。
AMGラインとは、既存のAMGスポーツパッケージに相当する仕様である。大きく口を拡げたフロントバンパーに、縦スリット入りのスカート付きリアバンパー、さらには広がったサイドスカート、19インチアロイホイールなど、正にAMGモデル級の見応えである。
ちなみにその他の仕様は、従来モデルと同様に、スリーポインテッドスターがグリルにつくアヴァンギャルドと、マスコットとしてフードにつくエクスクルーシブも用意されているが、日本仕様としてはいまのところ、アヴァンギャルドもしくはAMGラインのランフラットタイヤ仕様を導入する予定だという。
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Sクラスとの共通テイスト
青みがかったシルバーの試乗車に乗り込んだ。ワイドなセンターダッシュボード&コンソールによって、全幅が広がったメリットを肌で感じる。ただ空間的に余裕があるばかりでなく、ここが広がってくれていると、コンパクトなサイズでも高級感が増して見えるのだ。
ただし、この部分をピアノブラックでむやみに光らせてしまうと、逆にチープだ。しっとりつや消し系のウッドやメタルのフィニッシュが似合うとおもう。
見渡せば、エアコンの吹き出し口や、ブルメスターのスピーカーカバー、電動シート調整スイッチやその他操作系など、Sクラスとの共通テイストがそこかしこに散りばめられている。
極めつけは、新設となったタッチバッドベースの造詣だ。そのままオブジェとして机に飾っておきたいほど美しい。それは、昔のベンツには、まったくなかった感性の発露である。
クランベリーレッドとつや消しウッドのコンビネーションが艶っぽいインテリアにひとしきりホレボレとしたのち、手触りと握り心地のいいステアリングホイールをなでまわしながら感心しつつ、ゆっくりとアクセルペダルを踏み込んだ。
動き出した瞬間に、軽さとしっかり感が同居した、正にアルミとスチールのいいとこ取りというべきハイブリッドな感覚に包まれた。運転をしはじめてすぐに、「これは、いいぞ、いいぞ」、という気持ちになるのは、現行ゴルフにはじめて試乗して以来のこと。
乗り心地は、エアマチックサスのモードをコンフォートにしても、微低速域で少し突き上げを感じてしまう。速度を上げていけばいくほどに、さほど気にならなくなってゆくけれども、このあたりはランフラットタイヤが主な要因だろうか。事実、250ブルーテックの18インチに試乗した際には、そんな印象をまるで持たなかった。
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静粛性の高さ
2リッターのガソリンターボながら、その加速は強力のひとことだ。わずか1,200回転あたりで最大トルク350Nmを発揮しはじめるというだけあって、80km/hなどあっという間。おなじく250を名乗るディーゼルターボのブルーテックと比べても、0-100km/h加速タイムでは互角であるらしい。もっとも、実際に乗り比べてみると、圧倒的なトルクの盛りで、ブルーテックの方が速い(力強い)と感じてしまうのも事実だけれども……。
静粛性の高さも新型Cクラスの魅力のひとつだ。決して無音というわけではないが、気になる音がほとんど聞こえてこない。非常に快適な空間を保持し続けてくれる(ただし、ディーゼルエンジンでは初動時に多少、うるさく感じる)。
圧巻だったのは、ハンドリング性能だ。
コマンドダイヤル脇にあるエアサス モードスイッチをスポーツ+にして臨んでみれば、ハンドルからの手応えも断然に増して、操縦フィールも一段とアグレッシブになった。結果、ノーズの動きに鋭さがくわわり、ひらりひらりと非常に快活なステアリングフィールをみせてくれる。特に、前輪が路面をくわえてはなさない様子が、文字通り手にとるように分かって、とっても気持ちがいい。
このあたりは、いままでの同クラスDセグメントでは得難い操作フィーリングであり、正にクラストップの走り味である。
ハイスタンダードを持ち込んだCクラスが再び、クラスリーダーというべき存在に躍り出た。
Mercedes-Benz C 250|メルセデス・ベンツ C 250
ボディサイズ|全長 4,686 × 全幅 1,810× 全高1,442 mm
ホイールベース|2,840 mm
エンジン|1,991cc 直列4気筒 ターボ
最高出力| 155 kW(211 ps)/ 1,200-4,000 rpm
最大トルク|350 Nm/ 1,200-4,000 rpm
トランスミッション|7段AT
駆動方式|FR
燃費(NEDC)|5.3 ℓ/100km(およそ18.9km/ℓ)
最高速度|250 km(リミッター制御)
0-100km/h加速|6.6 秒
CO2排出量|123 g/km
Mercedes-Benz C 250 BlueTEC|メルセデス・ベンツ C 250 ブルーテック
ボディサイズ|全長 4,686 × 全幅 1,810× 全高1,442 mm
ホイールベース|2,840 mm
エンジン|2,143cc 直列4気筒 ディーゼルターボ
最高出力| 150 kW(204 ps)
最大トルク|500 Nm
トランスミッション|7段AT
駆動方式|FR
燃費(NEDC)|4.3 ℓ/100km(およそ23.3km/ℓ)
最高速度|250 km(リミッター制御)
0-100km/h加速|6.6 秒
CO2排出量|109 g/km