次期TTのデザインを予告するコンセプトカー|Audi
Audi allroad shooting brake|アウディ オールロード シューティングブレーク
次期TTのデザインを予告するコンセプトカー
アウディはデトロイトモーターショーで、コンパクトなクロスオーバーコンセプトカー「オールロード シューティングブレーク」を発表した。2モーターを採用するハイブリッドシステムや、2ドアのクロスオーバーフォルムが目をひくが、じつはこのモデルは、次期「TT」のデザイン プロポーザルであるとの見方が強い。
Text by SAKURAI Kenichi
これからのアウディデザインをしめす
クロスオーバーコンセプトカー「オールロード シューティングブレーク」は、RVスポーツモデルのあたらしいデザイン提案であると同時に、アウディデザインのあたらしい方向性を示唆する重要なモデルである。
ロードクリアランスをじゅうぶんに確保した高い車高や、2トーンに塗り分けられたボディの上下カラーリングなどでクロスオーバーとしてのニューモデルをイメージしがちだが、このモデルの各パートには次期アウディ「TT」を知るヒントがいくつか隠されているというのが、関係者からの証言でわかる。
アウディAGの技術開発役員であるDr.ウルリッヒ・ハッケンは、「われわれは、このショーカーで、ちかい将来発表するニューモデルのディテールを、とても具体的に表現しています」と語っているが、そのニューモデルこそ、次期「TT」であるというのが大筋の予想である。
もちろん、次期「TT」が流麗なクーペボディを捨てて、クロスオーバーモデルに変更されるという意味ではない。たとえば、彫刻的なフォルムや、ソリッドなフロントグリル形状、フロントのボンネット上部にまで迫ろうとする明確なフェンダーアーチやドア形状、そして4分割されたLED式フロントヘッドライトやテールライトの形状などに、次期TTを重ね合わせることができそうだ。
クロスオーバー コンセプトカー、オールロード シューティングブレークの車高を下げ、クーペらしいキャビンをあたえたら、そこに次期TTの姿がうっすらと見えてこないだろうか。もしかすると、TTの唯一の欠点であった後席の居住性を確保するために、リアウィンドウがなだらかに寝たこれまでのクーペスタイルから、オールロード シューティングブレークのようなCピラーが立ちぎみのスタイリングがあたえられるのかも知れない――などかんがえるのもたのしい。
Audi allroad shooting brake|アウディ オールロード シューティングブレーク
次期TTのデザインを予告するコンセプトカー (2)
クワトロシステムもいよいよ電動化
いっぽう、今回デトロイト モーターショーで発表されたクロスオーバーコンセプトカー、オールロード シューティングブレーク本体は、2,510mmのホイールベースを持ち、全長4,200×全幅1,850×全高1,410mmというCセグメント相当のディメンション。ホイールは19インチサイズで、255/40R19サイズのタイヤを組み合わせた。
車高の高さや、大きなサイズのタイヤがもたらす走破性の高さが、タフなクロスオーバー然とした印象をもたらすが、アルミとCFRPのボディ外板を採用することもあり、車重は約1,600kgにとどまっている。
エンジンは2リッターの4気筒ターボであるTFSIに、2つのモーターと8.8kWhのバッテリーを組み合わせたプラグインハイブリッド。215kW(292ps)の2リッター直4エンジンと、フロント駆動用の40kW(54ps)を発生するモーターにくわえ、後輪専用の85kW(115.5ps)の出力をもつモーターで構成された、まったくあたらしいユニークなクワトロシステムを採用する。システム総合出力は300kW(408ps)で、650Nm(66.3kgm)の最大トルクを発生。0-100km/h加速を4.6秒でこなす実力の持ち主だ。
こうしたパフォーマンスを発揮するいっぽうで、約50kmのEV走行を可能とし、リッター52.6kmという低燃費性能を誇っている(ECEスタンダード計測)。総航続距離は820km、CO2排出量が、わずか45g/kmにおさえられた環境適合性能高さも特徴である。
注目すべきは、オールロード シューティングブレークでは常にEVモードが優先されるという点だ。そのEVモードではフロント駆動ユニットを使用せず、リアアクスル専用モーターを使用し、強力なトルクを後輪にのみ供給。130km/hまで加速することができるのだ。
ちなみにドライブモードは、EVモードの他、ハイブリッドモード、スポーツモードの3つ用意され、それらは、ステアリングホイールにあるマルチファンクションスイッチで簡単に選択可能である。ハイブリッドモードは効率的にエンジンとフロントのモーターを組み合わせた走行をおこない、スポーツモードではエンジンと前後輪2つのモーターを同時に駆動させるとともに2リッターTFSIエンジンもブーストモードに移行し、フルパワーを発揮する。
ショーカーとしての演出が強いエクステリアにくらべ、インテリアは、次期TTをおもわせるスポーティで現実的なデザインにまとめられている。
立体的なダッシュボードと、ブリッジ上のセンターコンソールデザインは、アウディの新時代のインテリアを予感させるもので、躍動感に満ちあふれている。丸形を基本としたエアコンの吹き出し口にもスイッチを配置し、機能性とデザインを見事に融合させている。
オールロード シューティングブレークは、内外装のデザインが注目されるのはもちろんのこと、パワートレーンやボディマテリアルなどにも、アウディの最新テクノロジーが満載され、コンセプトカーとしての見どころは少なくない。これが本当に次期TTの予告編のひとつだとすれば、まもなくその姿を現わすはずの次期「TT」への期待が、否が応でも高まるというものである。