キャデラックの最上級SUV「エスカレード」が新世代に移行|Cadillac
Cadillac Escalade|キャデラック エスカレード
キャデラックの最上級SUVが新世代に移行
キャデラックは11月19日、LAモーターショーで、キャデラックのフラッグシップSUV新型「エスカレード」を公開した。新型「キャデラック エスカレード」は、10月9日にニューヨークの発表イベントで全米公開をおこなったが、モーターショーにはこれが初出展となる。会場には標準モデルよりもホイールベースが14インチ(355mm)長い「エスカレード ESV」が展示されていた。
Text by SAKURAI Kenichi
Photographs by WATANABE Shinsuke
圧倒的なボディサイズを持つ「エスカレード ESV」
ご存知のように「キャデラック エスカレード」は、日本でも販売されているキャデラック ブランドのフルサイズSUVで、今回登場した新型は4世代目にあたる。「エスカレード」は、GMCの「ユーコン デナリ」をベースに1999年に初代モデルが登場。新型は、2013年9月に発表された新型シボレー「タホ」や「サバーバン」(ロングホイールベース)、新型GMC「ユーコン」や「ユーコン XL」(ロングホイールベース)、GMCのフラッグシップモデルとなる「ユーコン デナリ」、「ユーコンXL デナリ」(ロングホイールベース)の各車とこれまでどおりプラットフォームを共用している。
キャデラックのデザイン言語となっている「アート&サイエンス」を進化させたエクステリアを持つ新型エスカレードは、大きなフロントグリルと、LED化された縦型のヘッドライトがほかのキャデラック同様にラグジュアリーなイメージをもたらす。シンプルな、こちらも縦型デザインのテールライトを採用したリアビューは、これまでのエスカレードを知るひとにとって、正常進化といえるデザインを採用。どこから見ても、ひと目で「エスカレード」だとわかるキープコンセプトのエクステリアデザインである。
標準のエスカレードは2,946mmのホイールベースを採用し、エスカレード ESVでは、14インチ(355mm)ホイールベースを延長。全長はそれぞれ5,180mmと5,698mmにおよぶ。エスカレード ESVにおける延長されたスペースは、3列目の乗員用シートと、エスカレードよりも60パーセントあまり拡大されたラゲッジスペースにあてられている。エクステリア上で両車のサイズ差は明確で、とくにエスカレード ESVのリアドア後端が、ホイールハウスにかからず垂直に下ろされていることでも、両車の大きさのちがいが理解できる。ちなみに、エスカレード ESVは最大8人乗車が可能である。
ボディサイズは、標準のエスカレードが全長5,180×全幅2,044×全高1,889mm、エスカレード ESVは全長5,698×全幅2,044×全高1,880mm。後車は標準車にたいして、ホイールベースが356mm、全長が518mm長く、その差は歴然。エスカレード ESVは、フルサイズSUVが珍しくないアメリカで見ても、まさに圧倒的な迫力だった。
ドライブトレインは、2WDと4WDを用意。搭載されるエンジンは、新型の6.2リッターV型8気筒エンジンで、気筒休止システム付きのフレックスフューエル対応ユニットになっている。
最高出力は420ps(313kW)/5,600rpm、最大トルク623Nm(63.5kgm)/4,100rpmという、それぞれ従来比5パーセント、10パーセントアップの実力で、これにティップシフト(MTモード)付き6段ATを組み合わせる。
キャデラックの電子制御サスペンション「マグネティック ライド コントロール」も上級モデルに搭載した。
Cadillac Escalade|キャデラック エスカレード
キャデラックの最上級SUVが新世代に移行
贅を尽くしたインテリア
エクステリアの特長ともいえるLEDヘッドライトを採用した先進的なイメージにたいして、インテリアは贅を尽くした本革とウッドを多用した、オーソドックスなラグジュアリー空間にデザインされている。より強化された吸音材やボーズ アクティブノイズ キャンセルテクノロジーの採用で、劇的に静かなキャビンを構築したという。
センターコンソールには、キャデラック「ATS」の採用でもお馴染みの最先端のインフォテイメントシステム、CUE(キャデラック ユーザー エクスペリエンス)を搭載。モバイルデバイスやタブレットPCなどとの接続をおこなうことで、ハンズフリー電話や、音楽などが手軽にたのしめる。モニターはタッチコントロール機能を搭載した8インチサイズで、音声認識ももっている。
また、運転席前のメーターナセル内には、これまでのアナログメーターのかわりに、高解像度の12.3インチデジタルドライバ情報センターディスプレイをそなえた。これはフロントガラス上に4つのメニューを出力するヘッドアップディスプレイと組み合わせられ、ドライバーに走行情報などを表示する。29インチ画面を持つブルーレイ&DVDリアエンターテイメントシステムも組み合わせることが可能だ。
最新のモデルらしく、安全装備も充実している。新型エスカレードには車体前後に短距離レーダーと超音波センサーを搭載し、低速衝突を防止するアラート機能や、完全停止を行う自動ブレーキを完備した。この安全装備には、前方衝突警告、車線逸脱警報システム、潜在的な衝突の可能性をドライバーに警告する、振動システム内蔵の安全警告シートが含まれている。さらに、オフセットクラッシュのさいに、対角線上の乗員も保護するように設計された、フロント中央マウントエアバッグも初採用している。
空力特性向上や燃費改善のために、ボディサイドには開口部を設けず、速度によって閉じるラジエーターのアクティブエアシャッターや、軽量アルミフロントフードとリフトゲートパネルを採用。リアウィンドウワイパーは、リアスポーラー内に収容できるような機能を有している。このあたりはラグジュアリーブランドのキャデラックとしてのこだわりといえる部分だろう。
ホイールは、標準仕様が20インチ、オプションで22インチサイズを組み合わせることができる。ブレーキは、耐用年数を最大2倍に引き上げるデュラライフ ブレーキローターを採用したあたらしい4輪ディスクブレーキシステムを搭載。侵入センサー、傾斜センサー、ガラス破損センサーをふくむ、高いセキュリティ機能をそなえた盗難防止システムを標準採用したのは、さすが高級車といったところである。
今回LAモーターショーに登場した2015年モデルのエスカレードは、テキサス州アーリントン工場で来春からはじまる予定。日本への導入時期は未定だが、2014年末から2015年初頭にかけての導入を期待したい。