CO2排出量0のアウディ A3|Audi
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2014年12月5日

CO2排出量0のアウディ A3|Audi

Audi A3 Sportback g-tron|アウディ A3 スポーツバック gトロン

CO2排出量

A3 スポーツバックにg-tronを

持続可能なモビリティの実現にむけてアウディが大きな一歩を踏み出す。コンパクト5ドアモデル、「Audi A3 スポーツバック」をベースに、アウディは、CO2排出量を事実上、0に抑える、「e-gas」をエネルギー源とするパワートレインを搭載した「アウディ A3 スポーツバック g-tron」を発表した。

Text by SUZUKI Fumihiko(OPENERS)

基本的にはA3

OPENERSではすでに、大谷達也氏によるリポートとして、アウディの、CO2排出量0を実現するモビリティに向けた計画を紹介している。ここで予告されていた新型「Audi A3」に「e-gas」とよばれるメタンガスをソースとするパワートレインを搭載したモデルが、ついに正式に発表された。その名は「Audi A3 スポーツバック g-tron」。

この「A3 スポーツバック g-tron」は、ひとつのガソリンタンクにくわえて、ラゲッジルーム下に200バールの圧力で7kgのガスを封入している2つのガスタンクを搭載。いわゆる天然ガスとガソリンのバイフューエル車と同様のクルマだ。

まずは、クルマの方を紹介すると、基本的には、新型「Audi A3 スポーツバック」。

エンジンは、新型「ゴルフ」などでも採用される、MQBプラットフォームにあわせた、環境性能にすぐれる4気筒のターボエンジン「1.4 TFSI」をベースとして、ガスとガソリンの両方を使用可能にしたもの。

最高出力は81kW(110ps)、最大トルクは200Nmを発生するとされ、A3 スポーツバック g-tronの最高速度は190km/hとなる。0-100km/h加速に必要な時間は、11秒。

Audi A3 Sportback g-tron|アウディ A3 スポーツバック gトロン

上述のように、ガソリンとガスの両方を利用可能だが、電子制御の2段階ガス圧制御システムを搭載し、高圧のガスを、5から9バール程度まで減圧。運転で要求される適切なガス圧を常に供給できるという。タンク内のガス圧が10バール以下になった場合は、エンジンマネージメントシステムが自動でガソリン駆動に切り替える。

こういった仕組みによって、A3 スポーツバック g-tronのパワートレインは、2つのエネルギーソースから、まったく同様の出力を引き出すことができる。つまり、それぞれのエネルギーソースの残量をしめすため、2つの燃料計がメーターパネルに存在しているほかは、ドライバーはエネルギーソースに特に注意を払うことなく、普通のA3のように、このクルマを運転できる。

Audi A3 Sportback g-tron|アウディ A3 スポーツバック gトロン

Audi A3 Sportback g-tron|アウディ A3 スポーツバック gトロン

ガスによる走行可能距離は約400km。ガソリンでさらに900kmほど走行可能。あわせて1,300kmもの航続走行可能距離をほこることとなる。

また、ガスの補給直後や、低温の環境では、まずガソリンでスタートし、可能な限り早いタイミングでガス駆動に切り替えるという。

一般的な同等のタンクより27kgも軽量だというガスタンクは、不浸透性ポリアミド、CFRP(カーボン強化ポリマー)、GFRP(ガラス繊維強化ポリマー)で3層構造とし、それらを強力なエポキシレジンで組みあわせることでダメージに強くしている。

その環境性能

エネルギーソースとなるガスは、天然ガス、あるいはAudi e-gasを使用。燃費は3.5kg/100km以下。CO2排出量は95g/km以下とされる。とはいえ、Audi e-gasを使用すれば、ガスの製造時にCO2を使用しているため、それと相殺して、事実上のCO2排出量は0だ。

Well-to-wheel分析という、クルマが走行中にうみだす環境負荷にくわえ、燃料の生産から供給までのエネルギーの流れ全体の環境負荷を考慮して計測しても、このe-gasを生み出すための、CO2排出量は、原則的に0。

Audi e-gasについておさらいすると、風力発電などでうみだした電気をもちいて、水を酸素と水素に電気分解。この水素自体も「Audi e-hydrogen」というクルマのエネルギーソースとしての利用が見込まれているが、水素をクルマの燃料とするためのインフラはいまだ未発達なため、工場でこの水素を二酸化炭素と反応させることでメタンガスをつくる。化学的には、こうして完成したメタンガスは、地下資源の天然ガスとおなじ働きをするため、従来の天然ガスと同様のインフラにのせられる。

二酸化炭素は、工場などから排出されるものを利用するが、1,000トンのe-gasを生み出すのに使用する二酸化炭素は2,800トン。

ドイツのヴェルルテという場所で、現在完成間近のe-gas工場からは、1,500台のA3スポーツバック g-tronを年間1万5,000km走らせるだけのe-gasを生産できるとされる。

このe-gas工場と、そこで利用する電気を供給する風力発電所の建設で発生するCO2排出量まで考慮する計測法であっても、「A3 スポーツバック g-tron」のCO2排出量は30g/km以下だという。

この「A3 スポーツバック g-tron」、「A3 スポーツバック e-tron」とともにジュネーブモーターショーで登場する可能性も高い。

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