7シリーズのPHV「740e iPerformance」に試乗|BMW
CAR / IMPRESSION
2016年10月14日

7シリーズのPHV「740e iPerformance」に試乗|BMW

BMW 740e iPeformance|ビー・エム・ダブリュー 740e iパフォーマンス

7シリーズのPHV「740e iPerformance」に試乗

今年7月、ドイツ本国においてBMW「7シリーズ」に、外部充電可能な大容量バッテリーをもつプラグイン ハイブリッド モデルが追加された。日本へも導入されるこの「740e iPerformance」に、島下泰久氏が海外でひと足先に試乗。サブブランドBMW iでクルマの電動化についての技術を高めたBMWは、フラッグシップサルーンにどようなフィードバックをもたらしたか。

Text by SHIMASHITA Yasuhisa

新たなサブネームの意味するところ

BMWは、プラグインハイブリッド車の車名に「iPerformance」のサブネームを付け加えることを決めた。究極のスポーツ性を体現する“M”と、そのエッセンスを注ぎ込んだ“M Performance”モデルの関係と同様に、電気駆動の“i”で得たノウハウを注ぎ込んだ存在という位置づけである。

新登場の740e iPerformanceは、その名を関する第一弾。すでに発売されている「330e」「225xe アクティブツアラー」、「X5 xDrive40e」といったモデルにも、今後はこのサブネームが追加されることになる。

BMW 740e iPeformance|ビー・エム・ダブリュー 740e iパフォーマンス

BMW 740e iPeformance|ビー・エム・ダブリュー 740e iパフォーマンス

740e iPerformanceのパワートレインは、最高出力258ps、最大トルク400Nmを発生する、7シリーズでは初の直列4気筒2リッター ターボエンジンと、同113ps、250Nmの電気モーター、そして8段ATを組み合わせ、後輪または4輪を駆動する。

走行モードがいくつも用意されるのは、この手のプラグイン ハイブリッド車に共通。通常用いるハイブリッド走行用の“AUTO eDrive”のほか、最高140km/hまで、そして最長48kmにわたって、可能な限り電気モーターだけで走行する“MAX eDrive”、さらにバッテリーに充電しながら走行する“BATTERY CONTROL”、電力を極力使わない“SAVE BATTERY”といったモードが用意され、任意で選択できる。

それだけじゃない。センターコンソールには“Driving Experience Control switch”もあり、BMWオーナーならおなじみの“SPORT”、“COMFORT”、“ECO PRO”に、さらにドライバーの運転パターンに合わせる“ADAPTIVE”の各モードを選ぶことも可能だ。ここまで選択肢が多いと、ちょっと煩雑だが ――

BMW 740e iPeformance|ビー・エム・ダブリュー 740e iパフォーマンス

7シリーズのPHV「740e iPerformance」に試乗(2)

2リッター直4でも不満はない

試乗車はロングホイールベース、4輪駆動の「740Le xDrive iPerformance」。デフォルトの“AUTO eDrive”モードでの動力性能は十分以上と評せる。絶対的なトルクに不満はないし、電気モーターのアシストは俊敏だから、軽快感すら覚えるほどだ。

気になる4気筒エンジンのフィーリングは、走り出してしばらくのあいだこそ、7シリーズらしくない気もしたものの、絶対的な音量が小さく、クルマ全体も静かなこともあり、次第に存在を忘れてしまっていた。BMWで、エンジンの存在を忘れてしまうことが、果たしてポジティブなのかどうかは微妙だが。

BMW 740e iPeformance|ビー・エム・ダブリュー 740e iパフォーマンス

BMW 740e iPeformance|ビー・エム・ダブリュー 740e iパフォーマンス

このモードでも、必要がなくなればエンジンは自動的に停止し、電気モーターでの走行に切り替わる。市街地などでは、ほとんどこの状態で走ることになるが、30km/hがせいぜいの状況なら、不足を感じることはない。アクセルの踏み込みが深くなれば、エンジンは自動的に始動する。

もちろん、自ら“MAX eDrive”にセットして、電気モーターだけで走らせることも可能だ。その場合、バッテリー充電量に余裕があれば最高140km/hまで出せるが、これはまあ出そうと思えば出せますという程度。さすがに加速は鋭いとは言えない。キックダウンさせれば自動的にエンジンがかかるが、“MAX eDrive”に自らセットしている時には、できればエンジンにはかからないでほしいのだ。

BMW 740e iPeformance|ビー・エム・ダブリュー 740e iパフォーマンス

7シリーズのPHV「740e iPerformance」に試乗(3)

ハードウェアとしての出来は上々

フットワークも、よくまとまっている。車重は7シリーズのなかでも最重量級となるが、身のこなし自体はそれでもまだ十分に軽快と感じられる。

これには、構造部材にまでCFRPを用いたカーボン コアと呼ばれるボディの貢献も小さくないはず。しかも740e iPerformanceは、通常は後席下にある燃料タンクを小型化してで後方へ移し、代わりに重量のかさむリチウムイオン バッテリーを後席下に積み込んでいる。おかげで実現した重心低く、また重量物が車体中央に寄せられたパッケージングが、走りにも快適性にも大いにプラスになっているのだ。

BMW 740e iPeformance|ビー・エム・ダブリュー 740e iパフォーマンス

BMW 740e iPeformance|ビー・エム・ダブリュー 740e iパフォーマンス

このレイアウトの恩恵はラゲッジスペースにも及んでいる。容量は420リッター。床面は低くフラットだし、奥行きも十分取ることができているのである。

そんなわけで、ハードウェアとしてはよく考えられ、完成度も上々と言える740e iPerformanceなのだが、果たしてユーザーはどんな人なのだろうか。7シリーズに個人で乗るような人が、街中の充電器で頻繁にプラグを繋ぐというのは想像し難いし、かと言って40kmそこそこの電気モーターでの走行のために、自宅車庫に充電器を設置するかというのも微妙なところだろう。しかし、外部充電を行なわないプラグイン ハイブリッド車の燃費は、決して目を見張るようなことにはならないものだ。

よって、すでに家に「i8」や「i3」などがあり、充電器の用意もあるBMWユーザーか、あるいは新しいものに目がないが、使用環境的にまだピュアEVは選択肢とできないという人などが、最有力のユーザー候補となるだろうか。BMW iの技術で生まれたバッテリーや電気駆動技術、そしてやはりBMW iが先鞭をつけたCFRP技術を使ったボディを使った、高効率ラージクラス サルーン。中国、アメリカに次ぐ台数を日本で売りたいと考えているBMW本社の思惑通りに事が運ぶかどうか、注目である。

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BMW 740e iPeformance|ビー・エム・ダブリュー 740e iパフォーマンス
ボディサイズ|全長 5,098 × 全幅 1,902 × 全高 1,467 mm
ホイールベース|3,070 mm
トレッド前/後|1,617 × 1,646 mm
車両重量|1,900 kg
エンジン|1,998cc 直列4気筒DOHC ターボ
エンジン最高出力|190 kW(258 ps)/5,000-6,500 rpm
エンジン最大トルク|400 Nm/1,550-4,400 rpm
モーター最高出力|83 kW(113 ps)/3,170 rpm
モーター最大トルク|250 Nm/0-3,170 rpm
システム統合最高出力|240 kW(326 ps)
システム統合最大トルク|500 Nm
駆動用バッテリー|9.2kWh リチウムイオン
トランスミッション|8段AT(ステップトロニック)
駆動方式|FR
最小回転半径|6.15 メートル
トランク容量|420 リッター
ブレーキ前/後|ベンチレーテッドディスク / ベンチレーテッドディスク
タイヤ 前/後|225/60R17
0-100km/h加速|5.4 秒
最高速度|250 km/h
モーターのみ最高速度|140 km/h
燃費(EUハイブリッド用計測値)|2.0 ℓ/100km(およそ50km/ℓ)
CO2排出量|45 g/km
電力消費量|12.5 kWh/100km
モーターのみの最長航続距離|48 km

BMW 740Le iPeformance|ビー・エム・ダブリュー 740Le iパフォーマンス
ボディサイズ|全長 5,238 × 全幅 1,902 × 全高 1,479 mm
ホイールベース|3,210 mm
トレッド前/後|1,617 × 1,646 mm
車両重量|1,940 kg
エンジン|1,998cc 直列4気筒DOHC ターボ
エンジン最高出力|190 kW(258 ps)/5,000-6,500 rpm
エンジン最大トルク|400 Nm/1,550-4,400 rpm
モーター最高出力|83 kW(113 ps)/3,170 rpm
モーター最大トルク|250 Nm/0-3,170 rpm
システム統合最高出力|240 kW(326 ps)
システム統合最大トルク|500 Nm
駆動用バッテリー|9.2kWh リチウムイオン
トランスミッション|8段AT(ステップトロニック)
駆動方式|FR
最小回転半径|6.4 メートル
トランク容量|420 リッター
ブレーキ前/後|ベンチレーテッドディスク / ベンチレーテッドディスク
タイヤ 前/後|225/60R17
0-100km/h加速|5.5 秒
最高速度|250 km/h
モーターのみ最高速度|140 km/h
燃費(EUハイブリッド用計測値)|2.0 ℓ/100km(およそ50km/ℓ)
CO2排出量|45 g/km
電力消費量|12.6 kWh/100km
モーターのみの最長航続距離|48 km

BMW 740Le xDrive iPeformance|ビー・エム・ダブリュー 740Le xドライブ iパフォーマンス
ボディサイズ|全長 5,238 × 全幅 1,902 × 全高 1,479 mm
ホイールベース|3,210 mm
トレッド前/後|1,617 × 1,646 mm
車両重量|2,000 kg
エンジン|1,998cc 直列4気筒DOHC ターボ
エンジン最高出力|190 kW(258 ps)/5,000-6,500 rpm
エンジン最大トルク|400 Nm/1,550-4,400 rpm
モーター最高出力|83 kW(113 ps)/3,170 rpm
モーター最大トルク|250 Nm/0-3,170 rpm
システム統合最高出力|240 kW(326 ps)
システム統合最大トルク|500 Nm
駆動用バッテリー|9.2kWh リチウムイオン
トランスミッション|8段AT(ステップトロニック)
駆動方式|4WD
最小回転半径|6.45 メートル
トランク容量|420 リッター
ブレーキ前/後|ベンチレーテッドディスク / ベンチレーテッドディスク
タイヤ 前/後|225/60R17
0-100km/h加速|5.3 秒
最高速度|250 km/h
モーターのみ最高速度|140 km/h
燃費(EUハイブリッド用計測値)|2.1 ℓ/100km(およそ47.6km/ℓ)
CO2排出量|49 g/km
電力消費量|13.2 kWh/100km
モーターのみの最長航続距離|45 km

※上記スペックはすべて本国仕様

           
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