フェラーリのハイブリッドシステム「HY-KERS」を発表|Ferrari
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フェラーリのハイブリッドシステム「HY-KERS」を発表
フェラーリは40パーセントのエミッション削減を実現するというハイブリッドシステム「HY-KERS」の実験段階が終了したと発表した。公開されたシステムのイメージはリアミッドにV12エンジンを搭載する車種にむけたものだ。
Text by SUZUKI Fumihiko(OPENERS)
F1由来のハイブリッドシステム
北京国際モーターショーにて、フェラーリ「F12ベルリネッタ」がついにアジアプレミアを果たした。同時に、2010年にジュネーブモーターショーで発表された「HY-KERS(ハイ・カーズ)」の進展も報告されている。
「HY-KERS」は2010年当時、同社の「599」にハイブリッドシステムを搭載するプロジェクトとして発表された。今回の北京での情報公開はその続報だ。
「HY-KERS」は軽量コンパクトなハイブリッドシステムで、40パーセント以上のCO2排出量削減という環境性能の向上だけでなく、「KERS(運動エネルギー回生システム)」というF1技術由来の名称がしめすように、トルクマネージメント、トラクションコントロール、制動力の分配を実現することで、車両の力学的バランスも改善する。さらに、ロードカーとしてみた場合は、乗員のスペースを犠牲にしないハイブリッドシステムという利点もある。
2010年当時は「599」、つまりFR車への搭載だったが、今回はリアミッドレイアウトの12気筒エンジン用のものが発表された。現在のフェラーリに、このレイアウトを採用した車種はないため、同システムが搭載されるのは、「エンツォ」の後継車種になるのではないか、と噂されている。
バッテリーの搭載位置は車両によるが、電気モーターはひとつがデュアルクラッチギアボックスに、もうひとつがエンジンの前方に取り付けられる。このうち、エンジン前方のものは、発電による負荷が動力性能に影響しないようにするための補助的なモーターだ。車両全体では、ハイブリッドシステムの搭載による重量増、1kgあたりにたいして1kWの出力増加を目標にしているという。
電気モーターのパワーはデュアルクラッチのうちのひとつに伝えられるため、すばやいレスポンスと、継続的な出力がえられる。専用のECU(エンジンコントロールユニット)は、モーターだけでなく、パワーステアリング、ブレーキサーボモーター、エアコン、オンボードシステムの制御も担当。
フェラーリによれば、このスポーティなハイブリッドシステムは実験段階を終了。今後、開発段階にうつる。