RFW|デザイナー鹿子木 隆が語る、新生RFWのクリエイション
RFW|アールエフダブリュー
RHYTHM FOOT WEAR(リズムフットウェア)改め
デザイナー鹿子木 隆が語る、新生RFWのクリエイション(1)
今年15年目を迎えるRHYTHM FOOT WEAR(リズムフットウェア)が、今季コレクションより名前をRFWに改め一新。ブーツコレクションRFW、バッグコレクションRADの3つのラインを統合し、イメージを統一。よりオリジナリティを意識した今後の展開に、期待が高まる。デザイナー鹿子木 隆氏に、新生RFW第一弾となる、2012年春夏コレクションについて聞いた。
Text by FUJITA Mayu(OPENERS)Photographs by TAKADA Midzuho
音楽や生活にリズムが欠かせないように、靴にもリズムが必要
――今季ブランド名が一新されましたが、そもそも“RHYTHM FOOT WEAR”というブランド名の由来とは?
“リズム”といえば、音楽や生活において重要ですが、僕は靴にもリズムが必要だと思っていて。朝のゴミ出しや犬の散歩にいくときに、なに気なサッと履ける――日本では靴の着脱頻度が海外に比べて多いので、その動作のリズムふくめ、日常のリズムにとけ込めるような靴を提案したい。
僕としては、かっこいいことより、365日のなかでどれだけ履いてもらえるか、壊れたときにリピートしてもらえるかが重要。リズムって生きていくうえで必要なもので、RFWもそんな欠かせない存在になれたらいいなと思っています。
――なぜブランド名をRFWに?
“RHYTHM FOOT WEAR”の頭文字をとって“RFW”としたんですが、15年目というきっかけもありますけど、ブランド名をそのままマークのように見せられるかなと思ったんです。読めなくても、カタチとして認識してもらえるでしょう。インソールにプリントしている“RHYTHM FOOT WEAR”の文字も、いずれなくすつもりです。ブランドロゴを見てどこのブランドってわかってほしいとは考えていなくて、靴のカタチだけでどこのものかわかってもらえるものを作っていければいいなと思っています。
デザインがよくても、履き心地が悪ければ成立しません
――ブランドコンセプトにも変化が?
ブランドのコンセプトは変わりません。あまり飾りを付けない、シンプルで、ベーシック、そして見た目にオリジナリティがあるもの。細かいカッティングで見せるより、ひと目でわかる大胆なカッティングを意識しています。見た目がおもしろくないと、なかなか手にとってはもらえませんからね。まずデザインとしておもしろく、そのあと機能性について考えます。靴ですから、やっぱり履き心地が悪ければ成立しません。たとえば朝急いでいる時、思わず足を通す靴って決まってると思うんです。それって履き心地だったり、履きやすさだったり、見た目より感覚的な部分が大きいのではないでしょうか。
だから履き心地のよさについてはこだわっていて、たとえば「サンドウィッチ」は、サイドの羽根の大胆なカッティングがデザイン的におもしろいだけでなく、ちょうど足が屈曲するポイントで羽根を切り返しているんです。また「モカ スエード」「コナ スエード」はワイドが広く、指が自由になるだけでなく、土踏まずのアーチに沿うよう、インソールが盛り上がっています。
アーチを支えることでフィット感が増すだけでなく、歩行も安定します。「モカ スエード」と「サンドウィッチ」を見比べると、「サンドウィッチ」はだいぶ細身のように感じますが、デザイン的にシャープに見せているだけで、むしろワイドは広めの作りになっているんですよ。
ソールにオリジナリティを意識しています
――デザインはシーズンテーマなど設けているのですか?
シーズンテーマはとくに設けていません。シューズやファッションのトレンドもあまり意識していませんね。そのとき自分のなかにあるインスピレーションをもとに、シーズンごとにあたらしい型を2、3型、定番モデルはカラーや素材を変えて展開しています。ロゴを一新するにあたり、ベーシックなカタチにかんしては白・黒でスタートすることにしました。原点回帰というわけではありませんけど、ここからじょじょに色を増やしていきたいと思っています。
アッパーのデザインはボトムスによって隠れてしまうことがありますので、鮮やかなブルーの靴底や、サイドの太いライン、「モカ スエード」の波ラインなど、ソ―ルにオリジナリティを意識しています。この波ライン、色違いのラバーを接着しているのですが、熱を加えるとラインがなかなかきれいに出なくて……とても苦戦しました。
また1足でもちがった雰囲気を楽しんでもらえるように、色ちがいやカタチちがいのシューレースを付属しています。
「モカ スエード」はシューレースをはずしてスリップオンとしてもはけるようになっています。アッパーのゴムと、かかとでホールドするようにできているんです。このゴムはタンの内側に隠すこともでき、またシューレースもボディと同色のものと、配色の2本ありますから、全部で4通りの表情を楽しめます。
世代やスタイルを超えた、普遍的な靴を作りたい
――ウェブで購入するさい、サイズ選びのアドバイスはありますか?
足型は人それぞれですし、履き心地もボトムスとのバランスも好みがありますから、絶対とは言えませんが、「モカ スエード」「コナ スエード」はもともとコンフォートタイプのゆったりとした作りになっていますし、見た目にボリュームもありますから、ジャストサイズで履かれることをお薦めします。「サンドウィッチ」「ベーグル」は、1cmくらい余裕をもってもいいかもしれません。
――今後の展開についてお聞かせください。
いまはファッションマーケットがメインですが、今後は靴の専門店でも受け入れてもらえるようなものを作っていきたいですね。そして、いずれはお洒落な大人から普通の中学生まで、世代やスタイルを超えた普遍的な靴を作れたらいいなと思っています。装飾やテクニックでみせているわけではない、非常にシンプルで普遍的。なかなかむずかしいですが。それから音楽とももっとかかわっていきたいですね。
いまって昔より音楽とファッションの距離が離れてしまっているように感じていて。僕の場合、音楽をとおしてファッションを好きになった部分もあるし、靴作りを学びにイギリスに留学したのも、やっぱり音楽の影響が大きかったから、ちょっと寂しく思うんです。去年も親交のあるミュージシャンと一緒にライブを開催したり、衣装提供というカタチで参加させてもらったりしていたのですが、今後もなんらかのカタチでバックアップしていけたらと思っています。
――ありがとうございました。