フェイスリフトした新型Aクラスのあらたな魅力|Mercedes-Benz
Mercedes-Benz A-Class|メルセデス・ベンツ Aクラス
フェイスリフトしたAクラスのあらたな魅力
2012年にデビューを飾ったメルセデス・ベンツ「Aクラス」が、今回初のフェイスリフトを受けた。登場から3年、メルセデスはこのクルマをどう進化させたのか。ルックスからでは分からない細部の進化を、お披露目の場となった英国ブルックランズ サーキットから、小川フミオ氏が解説する。
Text by OGAWA Fumio
2位になったら敗者
メルセデス・ベンツ「Aクラス」が、先頃マイナーチェンジを受けて、英国ブルックランズ サーキットに建つメルセデス ワールドでお披露目された。フロントマスクを中心に手を入れられた新型Aクラス。とりわけ注目は、馬力が上がったメルセデスAMG「A45 4MATIC」だ。
「私たちは王座に安閑と座っているわけではありません。つねに製品をよりよくしているのです」。発表会場でそう述べたのは、メルセデスAMG社のトビアス・モアーズ会長だ。世界でもっともパワフルなコンパクトスポーツを標榜するA45 4MATICに手を入れて、先代からさらにパワーアップした背景には、「いつ強力なライバルが現れるかわからない。2位になったら敗者」という考えがあるとした。
新型A45 4MATICは、最高出力が従来より21psあがり381ps(280kW)に、最大トルクは25Nm増して475Nmになっている。驚くべき数字だ。これにより静止から100km/hまでの加速に要する時間はコンマ4秒短縮されて4.2秒になった。またスペシャルパッケージを組み込むことで250km/hに抑えられている最高速のリミットが外され、結果、270km/hをマークするという。
「スーパーカーやスーパーバイクなみ」とモアーズ会長が胸を張る高性能は、エグゾーストカムシャフトの変更やバルブタイミングの見直しなどで実現したそうだ。ただし「おおげさなことはなにもやっていない。ターボ圧もそのまま。効率をよくしただけ」(同会長)とする。
Mercedes-Benz A-Class|メルセデス・ベンツ Aクラス
フェイスリフトしたAクラスのあらたな魅力 (2)
コンセプトモデルに立ち戻る
「革新的でないかもしれません。しかし従来とは明らかにちがう」。メルセデスAMG社のモアーズ会長がそう説明するA45 4MATICの外観。具体的にはフロントエプロン、ヘッドランプ、グリルまわり、そしてリアエプロンなどの形状が見直されている。
Aクラス全体も、外観に手がくわえられた。フロントバンパーは、メルセデスの表現する「アロー(矢)シェイプ」となり、2011年に発表されたコンセプトAクラスに立ち戻ったという。評価が高かったとはいえ、コンセプトモデルに立ち戻ってマイナーチェンジが行われたのは、興味ぶかいことだ。
快適性の分野では、シート機能が見直されクッションの調整幅が大きくなったことがあたらしい。同時に、「Apple CarPlay」「Connect me」「MirrorLink」などスマートフォンをはじめとしたモバイル機器とのコネクティビティの高さも、このクルマに興味を持つ層には、強くアピールする点だ。
メルセデスが強調するのは、ドライブセレクト。「コンフォート」「スポーツ」「エコ」にくわえ、「インディビデュアル」と4つのモードを備えた。A45 4MATICでは、「コンフォート」「スポーツ」「スポーツ+」「インディビデュアル」そして5つめのモード「レース」で構成される。
モードによってはダンパーの油圧流量を制限し、コーナリング時のステアリングの角速度などをパラメターに使い、ドライブが積極的に楽しめるようにしているのが特徴だ。
Mercedes-Benz A-Class|メルセデス・ベンツ Aクラス
フェイスリフトしたAクラスのあらたな魅力 (3)
日本には今秋上陸
環境性能も見直されている。とりわけ「A180d ブルーエフィシエンシーエディション(ディーゼル)」では、100km走るのに3.5リッターの燃料しか消費せず(リッター28.6km)、走行キロあたりのCO2排出量は89グラム。2020年の目標値95グラム/kmを下回っている。
Aクラスのラインナップもあたらしくなった。本国ではエントリーモデルとして、75kW(102ps)の「A160」が設定されたのはニュースだ。さらに「A250」と「A250スポーツ」にはマニュアル変速機モデルが追加された。A250スポーツおよびA250スポーツ 4MATICは、従来の155kW(211ps)から出力が引き上げられ、160kW(218ps)になっている。
発表会場となったブルックランズ サーキットのメルセデス ワールドは、日本にも欲しい複合型ショールームだ。新車のショールームとレストランにくわえ、小さなミュージアム、それに有料で好きなモデルを選べるミニサーキットまで併設されている。ここでのサーキットは未体験だが、長い直線もあり、「SLS AMG」(も乗れる!)など非日常的なモデルから、実際の購買対象となるAクラスやCクラス、それにSUVなどをじゅうぶんに検討できるだろう。
「クラスでもっとも先進的なモデル」と謳われるAクラスのマイナーチェンジにおける自信ぶりは、このような場所を使えば、消費者にもそれが真実だと理解してもらえるということなのだ。本国で2015年9月の発売という新型Aクラス。日本にもこの秋、上陸すると思われる。
Mercedes-Benz A160|メルセデス・ベンツ A160
ボディサイズ|全長 4,299 x 全幅 1,780 x 全高 1,433 mm
ホイールベース|2,699 mm
トレッド 前/後|1,553 / 1,552 mm
車両重量(乾燥)|
(6段MT)1,370 kg
(7段AT)1,395 kg
エンジン|1,595cc 直列4気筒ターボ
最高出力| 75 kW(102 ps)/ 4,500-6,000 rpm
最大トルク|180 Nm / 1,200-3,500 rpm
トランスミッション|6段MTまたは7段AT(7G-DCT)
駆動方式|FF
サスペンション 前|マクファーソンストラット
サスペンション 後|マルチリンク
ブレーキ 前|ベンチレーテッドディスク
ブレーキ 後|ディスク
タイヤ 前/後|195/65R15
0-100km/h加速|
(6段MT)10.6秒
(7段AT)10.4秒
最高速度|190 km/h
燃費(複合)|
(6段MT)5.4-5.6 ℓ/100 km
(7段AT)5.1-5.4 ℓ/100 km
CO2排出量|
(6段MT)124-128 g/km
(7段AT)119-126 g/km
Mercedes-Benz A180d BlueEFFICIENCY
メルセデス・ベンツ A180d ブルーエフィシエンシー
ボディサイズ|全長 4,299 x 全幅 1,780 x 全高 1,433 mm
ホイールベース|2,699 mm
トレッド 前/後|1,553 / 1,552 mm
車両重量(乾燥)|1,385 kg
エンジン|1,461cc 直列4気筒ディーゼルターボ
最高出力| 80 kW(109 ps)/ 4,000 rpm
最大トルク|260 Nm / 1,750-2,500 rpm
トランスミッション|6段MT
駆動方式|FF
サスペンション 前|マクファーソンストラット
サスペンション 後|マルチリンク
ブレーキ 前|ベンチレーテッドディスク
ブレーキ 後|ディスク
タイヤ 前/後|195/65R15
0-100km/h加速|10.6秒
最高速度|190 km/h
燃費(複合)|3.5 ℓ/100 km
CO2排出量|89 g/km
Mercedes-AMG A45 4MATIC|メルセデスAMG A45 4マチック
ボディサイズ|全長 4,299 x 全幅 1,780 x 全高 1,433 mm
ホイールベース|2,699 mm
トレッド 前/後|1,553 / 1,552 mm
車両重量(乾燥)|---- kg
エンジン|1,991 cc 直列4気筒ターボ
最高出力| 280 kW(381 ps)/ 6,000 rpm
最大トルク|475 Nm / 2,250-5,000 rpm
トランスミッション|7段AMG スピードシフト DCT
駆動方式|4WD
サスペンション 前|マクファーソンストラット
サスペンション 後|トレーリングアーム
ブレーキ 前|ベンチレーテッドディスク
ブレーキ 後|ベンチレーテッドディスク
タイヤ 前/後|235/40R18
0-100km/h加速|4.2 秒
最高速度|250 km/h
燃費(複合)|6.9-7.3 ℓ/100 km
CO2排出量|162-171 g/km