「知る」は、おいしい！　星のや軽井沢｜TRAVEL

TRAVEL｜星のや軽井沢

このひと皿と出合うために、星のや軽井沢へ（２）

「星のや」のブランドコンセプトは「現代を休む」。「星のや軽井沢」では、さらに「もうひとつの日本、谷の集落に滞在する」というキャッチフレーズを掲げています。総支配人の金子さんは、「知的好奇心に刺激を受けながら、現代を休んでいただくのが私たちのテーマ。嘉助では、休息のための食事を提供したい。満腹でも翌日、胃に持たれない料理を目指しています」と言います。

さて、ゲストが最初にアクセスするのは別棟のレセプション。銅鑼（どら）やりんなどを配した「やぐら」と呼ばれるオリジナルの楽器の幻想的な演奏のなかでチェックイン。「星のや軽井沢」の世界へと誘われます。

これ、ちょっとした“儀式”と言えそうです。「ゆたに」と呼ばれるウェルカムドリンクは、この地域で作られる甘酒をベースにしたもの。温めたり、柑橘を入れたり、季節や天候によって内容を変えているそうです。

そしてここからは、敷地内を専用車で移動です。

レセプションから、「星のや軽井沢」のある「谷の集落」までクルマを使って2、3分。敷地の中央には、千曲川水系の湯川が流れ、自然のままの地形や自生していた木々には極力手を加えず、軽井沢の原風景である「谷の集落」を再現しています。

客室数は77室。ご存じの方も多いと思いますが、客室には、「テレビ」も「時計」もありません。とことん非日常に浸ってもらうための演出です。

客室のタイプは、水波（みずなみ）・山路地（やまろじ）・庭路地（にわろじ）の3つ。池を囲むように配されているのは「水波の部屋」。ゆるやかに流れる水の音や鳥の声が天然のBGMとなる客室です。初めての滞在ならこちらがおすすめかもしれません。

リピーターに受けがいいのは、「山路地の部屋」。集落の中でも山側に位置し、鳥の囀りや風の音がBGMとなる客室です。案内してくれたスタッフが、「窓をあけると、音が迫ってくるんですよ」と、教えてくれました。秋には栗がバサっと落ちる音が聞こえることもあるとか。

庭路地の部屋

そして「庭路地の部屋」は集落の中心から一筋入った路地に佇む、戸建てのタイプ。薪ストーブを備えた棟などバリエーション豊富ですが、なかでも愛犬と泊まれる棟は超人気。この部屋はなかなか空きが出ません。

歴史ある名湯・星野温泉に端を発したリゾートということで、敷地内には宿泊者専用の温泉施設「メディテイションバス」があります。で、これがかなり攻めているんですよ。「瞑想」をテーマとしていて、「光の部屋」と「闇の部屋」と名付けらえた内湯があるのですが、度肝を抜かれること必至です。90cmもの深い浴槽、文字通り真っ暗闇の「闇の部屋」など、きっと温泉のイメージが覆されると思います……。ぜひご自身の目でお確かめください（なので、あえて写真は掲載していません）。

集落からウッドチップの散策路を徒歩5分ほど歩いたところには、日帰り入浴施設「星野温泉トンボの湯」もあります。軽井沢の四季を存分に感じられる岩の露天風呂、大きな窓を備えた開放感溢れる内風呂、どちらも極楽。「星のや軽井沢」宿泊者専用の時間帯も設けられています。

日常から乖離した「谷の集落」で、刺激を受け、体中の細胞を覚醒させる──。「星のや軽井沢」を後にしてしばらくして、現世を生き抜くエネルギーのようなものが身体を満たしていることに気づきました。多幸感、と言い換えてもいいかもしれません。

フロントのある「集いの館」。2階のラウンジは、24時間自由に利用できる。

そして、こんな考えに思い至ったのです。メディテイションバスも、毎朝行なわれている「のびのび深呼吸」も、水行灯がゆらゆら揺れる風景も、その行灯はひとつひとつ人の手で灯していることも、そして「嘉助」の食事も、どれも皆、自然の恵みと山の叡智を生かし、創出されたものなんだな、と。

ふと、総支配人の金子さんのこんな言葉が甦ってきました。

「伝統をそのまま提示するわけではありません。その財産を最大限にいかし、今の時代に合った見せ方をすることが私たちの役割だと思っています」

星のや軽井沢
住所｜長野県軽井沢町星野
客室数｜全77室
パブリック施設｜温泉、ダイニング、スパ、ラウンジ
チェックイン／チェックアウト｜15:00／12:00
宿泊料｜1泊1室8万4000円〜（税・サ・食事別）
交通｜東京より北陸新幹線で軽井沢駅下車、タクシーまたはシャトルバスで約15分
　　　碓氷軽井沢 IC よりクルマで約 25 分

問い合わせ先

星のや総合予約
Tel.0570-073-066
https://hoshinoya.com/