MOVIE|鬼才エドワード・ヤンの傑作が19年ぶりに日本公開
MOVIE|鬼才エドワード・ヤンの傑作が19年ぶりに日本公開
幻の傑作『恐怖分子』がデジタルリマスター版で蘇る
数々の傑作映画を世に放った台湾の鬼才エドワード・ヤンの名前を一躍知らしめた、幻の作品『恐怖分子』が、デジタルリマスター版でスクリーンに復活。3月14日(土)より、シアター・イメージフォーラムほかで全国順次ロードショーされる。
Text by KUROMIYA Yuzu
坂本龍一氏や四方田犬彦氏、富田克也氏ら著名人も絶賛
ホウ・シャオシェンとならび1980年代、90年代の台湾ニューシネマを牽引した映画監督エドワード・ヤン。2007年に59歳の若さで亡くなるまで、『カップルズ』(1996)『ヤンヤン 夏の想い出』(2000)など、作品ごとにまったく異なる作風で計7本の長編と1本の短編を監督した。
なかでも長編第3作となる『恐怖分子』は彼の出世作であり、無軌道に犯罪へと向かう10代の少女の心理を繊細にとらえながら、謎の多いストーリーと精緻な構成でファンを魅了。少女の何気ない行為が、見知らぬ人びとの平穏な日常生活を破壊するように、だれもが知らぬ間に他人を傷つける「恐怖分子」になり得るという、現代社会が抱える危機を描き出している。
そんな日常のなかに潜む狂気と孤独を描き出したミステリー群像劇である一方、現代に生きる人たちすべてに通じる普遍的な人間ドラマに仕上げ、カンヌ国際映画祭などで絶賛された。日本では1996年以来、19年ぶりの劇場公開となる。
1980年代の台北、人びとの抱える狂気と孤独が浮き彫りに
舞台は1980年代の台北。銃声が響き渡る朝。警察の手入れから逃げだした混血の少女シューアン。その姿を偶然カメラでとらえたシャオチェン。上司の突然の死に出世のチャンスを見出す医師のリーチョンと、執筆に行き詰まる小説家の妻イーフェン。何の接点もなかった彼らだが、シューアンがかけた一本のいたずら電話が奇妙な連鎖反応をもたらし、やがて悪夢のような悲劇が起こる。
シアター・イメージフォーラムでは3月14日(土)から4月10日(金)までの4週間限定でロードショー。なお期間中は、エドワード・ヤンの監督デビュー作をふくむオムニバス映画『光陰的故事』も併映される。
『恐怖分子』
3月14日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次ロードショー
監督・脚本|エドワード・ヤン
キャスト|コラ・ミャオ、リー・リーチュン、チン・シーチェ、クー・パオミン、ワン・アン、マー・シャオチュン、ホアン・チアチン
1986年/香港・台湾/109分/原題『恐怖份子』
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