気鋭のイギリス人監督が贈る不条理スリラー『嗤う分身』|MOVIE
MOVIE|ドストエフスキーの名作『分身』を映画化
気鋭のイギリス人監督が贈る不条理スリラー『嗤う分身』
ロシアの文豪ドストエフスキーの名作『分身』を、気鋭のイギリス人監督リチャード・アイオアディが映画化した『嗤う分身』。11月8日(土)より、シネマライズほかでロードショーされる。
Text by YANAKA Tomomi
若手実力派、ジェシー・アイゼンバーグとミア・ワシコウスカが共演
昨年の東京国際映画祭コンペ部門で『ザ・ダブル/分身』のタイトルで上映され、大きな注目を集めた『嗤う分身』が、1年のときを経てついに解禁。ドストエフスキーの不条理文学と、鬼才によるダークユーモアとロマンスをふんだんに効かせた奇想天外なエキセントリック・ワールドが繰り広げられる。
メガホンを取ったのは、コメディアンや俳優としても活躍し、本作が長編2作目となるリチャード・アイオアディ監督。デビュー作『サブマリン』は2011年の第24回東京国際映画祭でも上映され、そのユニークな世界観が日本はもちろん、国際的にも高く評価され、フィルムメイカーとしての名声を一躍確立。そんな英国が生んだ新世代の鬼才の新作として『嗤う分身』は生み出された。
主演は『ソーシャル・ネットワーク』(2010年)のジェシー・アイゼンバーグ。本作で自身初の一人二役に挑み、容姿はおなじでありながら、性格は正反対という難しい役どころを見事に演じ分けた。いっぽう、ヒロインには『アリス・イン・ワンダーランド』(2010年)『イノセント・ガーデン』(2012年)のミア・ワシコウスカという若き実力派のタッグが実現している。
おなじ容姿の“デキる男”が現れ、思いもよらぬ事態へ飲み込まれるサイモン
内気で要領が悪く、存在感も薄いため、会社の上司にも同僚にもバカにされ、冴えない毎日を送っているサイモン。同僚のハナに恋をしているが、まともに話しかけるのもせきないのだった。
そんなある日、期待の新人ジェームズが入社してきた。驚くべきことに彼は、サイモンとまったくおなじ容姿をもつ男だったのだ。なにひとつさえないサイモンに対し、要領が良く、モテ男のジェームズ。容姿はおなじでも性格は正反対の二人だったが、サイモンは次第にジェームズのペースに翻弄され、やがて思いもよらぬ事態へと飲み込まれていく。
テリー・ギリアムやデヴィッド・リンチを彷彿とさせるレトロで奇妙な世界に、坂本九やジャッキー吉川とブルー・コメッツなどの1960年代の昭和歌謡を挿入するなど、独特の世界観を生み出したリチャード・アイオアディ監督。気鋭監督とハリウッドの若手実力派のタッグが繰り広げるエキセントリックな不条理スリラーの世界は、鑑賞後も大きな余韻となって観る者を包み込む。
『嗤う分身』
11月8日(土)より、シネマライズほか全国公開
監督・共同脚本│リチャード・アイオアディ
出演│ジェシー・アイゼンバーグ、ミア・ワシコウスカ、ウォーレス・ショーン、ヤスミン・ペイジ、ノア・テイラー
配給│エスパース・サロウ
2013年/イギリス/93分
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