MOVIE|孤高の名優、フィリップ・シーモア・ホフマンが遺した最後の主演作『誰よりも狙われた男』
MOVIE|孤高の名優、最後の主演作にして最高傑作!
極上のスパイサスペンス『誰よりも狙われた男』
アカデミー賞受賞俳優フィリップ・シーモア・ホフマンが遺した最後の主演作。スパイ小説の大家『裏切りのサーカス』のジョン・ル・カレが、現代の諜報戦をリアルに描き出す『誰よりも狙われた男』が10月17日(金)より全国ロードショーされる。
Text by KUROMIYA Yuzu
混沌とした複雑な現代のスパイを描き出す
今年2月、まだ46歳の若さで急逝したフィリップ・シーモア・ホフマン最後の主演作となるスパイサスペンス『誰よりも狙われた男』。原作は『裏切りのサーカス』の大ヒットが記憶に新しいスパイ小説の大家、ジョン・ル・カレの傑作ミステリーだ。
“9.11”以降の複雑ないまの時代。冷戦時代の東西対立といったわかりやすい構図ではなく、テロ対策を軸にした現代の諜報戦をリアルに描き出し、従来のスパイ映画と一線を画すスリリングで緊迫感溢れる物語を生み出した。
フィリップ・シーモア・ホフマンが演じるのは、ドイツ・ハンブルクの小さなテロ対策スパイチームを率いる男、ギュンター・バッハマン。酒とタバコを手離さず、組織との軋轢と闘いながら、己の信念を貫こうとするバッハマンの孤高の凄みや哀愁を、ホフマンはこれ以上ない深みで見事に演じきった。そのほか、ウィレム・デフォー、ロビン・ライト、レイチェル・マクアダムスなどハリウッドの実力派の俳優たちが集結。
監督は『コントロール』『ラスト・ターゲット』のアントン・コービン。スタイリッシュな映像感覚と、伏線に伏線を重ねた繊細なストーリーテリングでル・カレの世界を独自に昇華。知的で上質なエンターテイメントに仕立てた。
疑惑、利用、真実を欺く。そして誰も予想できない結末
ドイツの港湾都市ハンブルク。諜報機関でテロ対策チームを率いるスパイ、ギュンター・バッハマンは密入国したひとりの若者、イッサに目をつける。イスラム過激派の容疑をかけられ国際指名手配されている彼は人権団体の若手弁護士の女性を介して、銀行家のトミー・ブルーと接触。彼の経営する銀行に、イッサの目的とする秘密口座が存在しているらしい。ドイツの諜報界はイッサを逮捕しようと動き出すが、バッハマンはイッサをあえて泳がせ、彼を利用することでテロリストへの資金支援に関わる“ある大物”を狙おうとしていた。
『誰よりも狙われた男』
10月17日(金)よりロードショー
監督|アントン・コービン
出演|フィリップ・シーモア・ホフマン、レイチェル・マクアダムス、ウィレム・デフォー、ロビン・ライト、ニーナ・ホス、ダニエル・ブリュール
配給|プレシディオ
2014年/アメリカ・イギリス・ドイツ/122分/原題『A MOST WANTED MAN』
http://www.nerawareta-otoko.jp
© A Most Wanted Man Limited / Amusement Park Film GmbH © Kerry Brown