河瀨直美監督の最新作『2つ目の窓』
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2015年6月10日

河瀨直美監督の最新作『2つ目の窓』

奄美大島の豊かな自然を舞台に少年少女の恋をとおして描く命の奇跡

河瀨直美監督の最新作『2つ目の窓』

日本を代表する河瀨直美監督の最新作『2つ目の窓』が7月26日(土)より公開。奄美大島の豊かな自然を舞台に少年少女の恋をとおして、“命の奇跡”が描かれる。

Text by YANAKA Tomomi

島の高校生を繊細かつ力強く演じる村上虹郎と吉永淳

1997年『萌の朱雀』でカンヌ国際映画祭カメラドール(新人監督賞)を史上最年少で受賞し、2007年には『殯の森(もがりのもり)』でおなじくカンヌでグランプリ(審査員特別賞)を受賞するなど、生きとし生けるものに等しく向けられたまなざしに支えられた独自の世界観を生み出してきた河瀨直美監督。

今年のカンヌのコンペティション部門に選出された彼女の最新作『2つ目の窓』もまた、いまなお自然と神が共存し、河瀨監督のルーツでもあるという奄美大島を舞台に、命の源である海と深い森が放つ濃密なエネルギーがみなぎる作品となった。

河瀬直美監督

これまでも演技経験の有無ではなく、“映画を生き切る”可能性を秘めた才能を選んできた監督が今回見出したのが吉永淳と、本作にも出演する村上淳と歌手UAの間に生まれ、本作が映画デビューとなる村上虹郎。奄美大島の高校生、界人と杏子を繊細かつ力強く演じた。また、二人を見守る家族には杉本哲太、松田美由紀、渡辺真起子、村上淳ら演技派が脇を固める。

島の自然に包まれ、寄り添う界人と杏子

琉球列島の北端に位置する奄美大島では、いまなおユタ神様が祭祀をつかさどり、ひとびとは自然と神への畏敬の念とともに暮らしている。旧暦8月、島を挙げておこなわれる8月踊りの満月の晩、高校生の界人(かいと)は溺死体を発見する。衝撃を受け、その場から走り去った彼を同級生の杏子(きょうこ)は見ていたのだった。

いっぽうユタの神様として島人の心のよりどころでもある杏子の母イサは病のため死期を悟り、残り少ない時間を杏子と親子3人で穏やかに過ごしていた。そして、多感な界人はいつも男の影を感じさせる母・岬の女の部分に汚らわしさを感じてしまう自分をもてあまし、幼い頃に分かれた父を東京に訪ねていくのだった。

それぞれの胸のうちを知り、互いを想いながらも、いまはただ島の自然に包まれ、寄り添う界人と杏子。しかし、ある晩些細なすれちがいから岬の言動を激しくなじった界人が家に戻ると、岬がいなくなっていて――

河瀨監督自らが「最高傑作であり、自身のターニングポイントである」と語る『2つ目の窓』。生と死をあるがままに受け入れ、命をつないでいく、目に見えないけれど、そこにたしかに“在る”ものを映し出している。

『2つ目の窓』
7月26日(土)よりロードショー
監督・脚本│河瀨直美
出演│村上虹郎、吉永淳、杉本哲太、松田美由紀、渡辺真起子、村上淳、榊英雄、常田富士男
配給│アスミック・エース
2014年/日本・フランス・スペイン/120分/R15+
http://www.futatsume-no-mado.com

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