MOVIE|スパイク・リー監督が描くハリウッド版『オールド・ボーイ』
MOVIE|原作コミックとも韓国版とも異なるあらたな結末を見逃すな
スパイク・リー監督が描くハリウッド版『オールド・ボーイ』
土屋ガロンと嶺岸信明による日本のコミックをスパイク・リー監督が映画化した『オールド・ボーイ』。20年にわたり監禁されていた男が、人生を復讐に捧げる物語が6月28日(土)より、新宿バルト9ほかで全国公開される。
Text by YANAKA Tomomi
ジョシュ・ブローリンが魅せる気迫あふれる復讐劇
2003年に発表されたパク・チャヌク監督による『オールド・ボーイ』。カンヌ国際映画祭で審査員特別賞を受賞したこの作品は、多くのクリエイターの創作意欲を刺激してきた。その一人であり、社会派の巨匠として知られるスパイク・リー監督が挑んだハリウッド版『オールド・ボーイ』は、舞台をアメリカの架空都市へと変更。9.11同時多発テロ、イラク戦争、オバマ大統領誕生へと至る1993年から2013年を背景に、新解釈をふんだんに織り交ぜ、あらたな世界を創出させる。
ハリウッドの実力派を配したキャスティングも本作の大きな魅力のひとつ。主人公ジョーに扮するのは『ノーカントリー』のジョシュ・ブローリン。前半の約20分にわたって一人芝居で表現する監禁部屋のシークエンス、さらに30人以上の敵と闘う長回しのシーンなど、気迫あふれる演技は必見だ。
またジョーの心のよりどころとなるソーシャル・ワーカーのマリー役には、映画デビュー作『マーサ、あるいはマーシー・メイ』で賞賛を浴びたエリザベス・オルセン。このほかにもシャールト・コプリー、サミュエル・L・ジャクソンの怪演も見逃せない。
20年の監禁を経て、娘との再会を夢見て復讐にのめり込むジョー
1993年10月、広告代理店重役のジョー・ドセットの人生は、果てしない悪夢にのみ込まれた。真夜中の街をさまよっていた彼は、泥酔して意識が混濁するなか、見知らぬ一室に閉じ込められてしまったのだ。
何者かの監視下に置かれ、ひたすら単調に流れる時間に精神を蝕まれる絶望の生活。理由もわからない監禁生活がついに20年目に突入したある日、ジョーは突然外界に解放されるのだった。監禁中に妻殺しの汚名を着せられたジョーは、休む間も惜しんで猛然と動き出す。
愛娘ミナとの再会を果たす前に、なんとしても自分を陥れた男を捜し出し、復讐を誓うジョー。やがて彼の前に姿をあらわした犯人は、あらゆる人間の良心を捨てた冷酷非情な男だった。
娘との再会を夢見て、父親としての情愛に駆られてますます復讐にのめり込んでいく悲劇。オリジナル版とはまたちがう、複雑怪奇に絡み合うミステリーの真実を映画館で確かめたい。