MOVIE|名匠ジャ・ジャンクーが送る衝撃作『罪の手ざわり』
MOVIE|中国で実際に起きた4つの事件を映画化
名匠ジャ・ジャンクーが送る衝撃作『罪の手ざわり』
中国映画界が世界に誇る巨匠ジャ・ジャンクー監督が、中国で実際に起きた事件をもとに映画化した衝撃作『罪の手ざわり』。5月31日(土)より、Bunkamuraル・シネマほかで全国順次公開される。
Text by YANAKA Tomomi&
昨年のカンヌ国際映画祭では脚本賞を受賞
ベルリン、ベネチア、カンヌの世界三大映画祭すべてで受賞を果たした名匠ジャ・ジャンクー監督。北京電影学院の卒業制作として発表した長編デビュー作『一瞬の夢』(1998年)でベルリン国際映画祭の最優秀新人賞を受賞し、世界に華々しくデビュー。『長江哀歌』(2006年)はベネチア国際映画祭でグランプリとなる金獅子賞を、そして本作『罪の手ざわり』では昨年のカンヌ国際映画祭で脚本賞に輝いた。
急激に変化する中国の現代社会で実際に起こった事件をもとにジャンクー監督が脚本を書き上げたという『罪の手ざわり』で主人公となるのは中国の地方に住む、一見普通の男女4人。ひたむきに生きる彼らだが、あることをきっかけに犯罪へと手を染めてしまうのだ。
そんな、どこにでもいるような男女を演じたのは、ジャン・ジャンクー監督のミューズとして知られるチャオ・タオ。さらに、娯楽映画でスターとして活躍しているチァン・ウーやワン・バオチャンも、これまでとは一味ちがう見事な演技を見せている。
日々をひたむきに生きる男女はなぜ、罪に触れてしまったのか
村の共同所有だった炭鉱の利益が実業家に独占されたことに怒り、天誅を下す山西省の男ダーハイ。妻と子には出稼ぎだと偽って強盗を繰り返す重慶の男チョウ。妻子のいる男との叶わぬ恋になかば諦めながらも、返り血を浴びながらナイフを振り回すシャオユー。ナイトクラブの年上ダンサーとの恋に苦悩する広東省の男シャオホイ。
中国の片隅で日々をひたむきに生きる人たちはなぜ、罪に触れてしまったのか。なぜ、私たちは犯罪者である彼らに心を寄せてしまうのか。
デビュー以来、いまを生きる人々を、彼らとおなじ目線で描いてきたジャ・ジャンクー監督の新境地ともいえる本作。中国のいまを繊細に描きながらも、衝撃的なバイオレンス描写で葛藤や信条の爆発を表現し、荒ぶる魂を活写する衝撃作だ。
『罪の手ざわり』
5月31日(土)より、Bunkamuraル・シネマほか全国順次ロードショー
監督・脚本│ジャ・ジャンクー
出演│チャオ・タオ、チァン・ウー、ワン・バオチャン、ルオ・ランシャン
配給│ビターズ・エンド、オフィス北野
2013年/中国・日本/129分
http://www.bitters.co.jp/tumi/
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