独身でちょっぴり太めのシルヴァンを巡るふたつの物語

エリック・ロメールやジャック・ロジエら巨匠らの良心を受け継ぐと高く評価され、本国フランスでは異例のロングランを達成した、ギヨーム・ブラック監督による『女っ気なし』。フランス北部ピカルディ地方の小さな海辺の町を舞台に、独身でちょっぴり太めのシルヴァンが美しい母娘と過ごす夏の日々を描いたドラマが日本でも劇場公開される。

これまでに公開された作品は『女っ気なし』と、乗ってきた自転車がパンクした男をシルヴァンが助けようとするブラック監督のデビュー作であり、今回同時上映される『避難者』の2本のみ。しかしながら、溢れんばかりの才能を発揮してきたのが、この1977年生まれのギヨーム・ブラックである。フランス国立映画学校在学中から短編を監督し、2014年には長編第一作となる『Tonnerre（原題）』の公開が控えている、フランスが誇る期待の若手だ。

そして、主演のシルヴァンを演じたのはブラック監督の友人でもあり、フランスで現在もっとも注目される俳優の一人のヴァンサン・マケーニュ。『避難者』でもおなじ人物を演じ、独特の雰囲気のあるシルヴァンという人物を浮かび上がらせ、映画に大きな味わいをもたらしている。

シルヴァンの管理するアパートにやってきた美しい母と娘

夏の終わり。地元の青年シルヴァンが管理するアパートに、バカンスに来た美しい母と娘がやってきた。明るくて奔放な母と、少し内気な娘。3人は海水浴や買い物をして仲良く過ごしていたが、やがてバカンスの終わりが近づき――。

今後さらなる活躍が約束されたブラック監督よるシルヴァンという男性を巡るふたつの物語。甘く切なく、極上の短編小説を読んだかのような味わいが心のなかに広がってゆく。

『女っ気なし』

11月2日（土）より、ユーロスペースでロードショー

監督│ギヨーム・ブラック

出演│ヴァンサン・マケーニュ、ロール・カラミー、コンスタンス・ルソー、ロラン・パポ

配給│エタンチェ

2011年/フランス/58分/原題『Un monde sans femmes』

© Année Zéro - Nonon Films - Emmanuelle Michaka

併映短編『避難者』

監督│ギヨーム・ブラック

出演│ジュリアン・リュカ、ヴァンサン・マケーニュ、アデライード・ルルー

配給│エタンチェ

2009年/フランス/25分/原題『Le Naufragé』

© Année Zéro - Kazak Productions