MOVIE|昨年のカンヌ国際映画祭審査員賞を受賞した『天使の分け前』
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2015年1月5日

MOVIE|昨年のカンヌ国際映画祭審査員賞を受賞した『天使の分け前』

MOVIE│名匠ケン・ローチ監督によるスコットランドを舞台にしたハートフルコメディ

昨年のカンヌ国際映画祭審査員賞を受賞した『天使の分け前』

“イギリスの至宝”といわれる名匠ケン・ローチ監督による、スコットランドを舞台にしたハートフルコメディ『天使の分け前』が銀座テアトルシネマなどで公開されている。昨年のカンヌ国際映画祭審査員賞を受賞した、笑って泣けるストーリーは必見!

Text by YANAKA Tomomi

ローチ作品最大のヒットを記録

これまでにも『ケス』や『SWEET SIXTEEN』などで厳しい現実から抜け出そうともがく若者を描いてきたケン・ローチ監督。『天使の分け前』は、行き場のない若者が師や仲間との出会いをつうじて、自らの手で“人生の大逆転”をたぐり寄せようとする、痛快で、感動的なヒューマンコメディだ。本国イギリスでは、ケン・ローチ作品史上最大のヒットとなっている。

脚本は、1996年の『カルラの歌』以来、ローチ監督の盟友であるポール・ラヴァディが執筆。そして、主人公のロビー役を演じるポール・ブラニガンがリサーチ中のラヴァディと出会ったのをきっかけに演技の才能を見出され、ロビーさながらのラッキーボーイとなったことも大きな話題となった。

『天使の分け前』 02

『天使の分け前』 03

ウイスキー・テイスティングの才能に目覚めるロビー

スコッチウイスキーの故郷、スコットランド。グラスゴーに暮らす若者ロビーは、育った環境のせいで喧嘩沙汰が絶えず、トラブルを起こしてしまう。しかし、恋人との間に子どもが生まれることに免じて、刑務所送りの代わりに300時間の社会奉仕を命じられる。

社会奉仕をとおして、指導者として働くウイスキー愛好家のハリーと、おなじく奉仕を命じられた仲間に出会うロビー。ハリーからウイスキーの奥深さを教わるうちにテイスティングの才能に目覚めたロビーは、100万ポンド(約1億4000万円)以上という信じられないような高値がつく樽入りのスコッチウイスキーの存在を知り、人生の大逆転を賭けて、仲間たちと一世一代の大勝負に出る!

ウイスキーが樽のなかで熟成されている間に年に2パーセントほど蒸発して失われる分を指す“天使の分け前”。10年もの、20年ものと年数を重ねるごとにウイスキーは味わいを増し、それとともに天使の分け前も増してゆくのだ。本作を締めくくる鮮やかなエンディングに触れたとき、わたしたちはこのタイトルを反芻し、幸せな余韻に浸ることだろう。

『天使の分け前』
銀座テアトルシネマで公開中
監督│ケン・ローチ
出演│ポール・ブラニガン、ジョン・ヘンショー、ロジャー・アラム、ガリー・メイトランド
配給│ロングライド
2012年/イギリス・フランス・ベルギー・イタリア/101分

© Sixteen Films, Why Not Productions, Wild Bunch, Les Films du Fleuve,
Urania Pictures, France 2 Cinéma, British Film Institute MMXII

           
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