MOVIE│“生ける伝説” ウディ・アレンのドキュメンタリー『映画と恋とウディ・アレン』
MOVIE│“生ける伝説”の創作過程と人生をはじめて解き明かす
ドキュメンタリー『映画と恋とウディ・アレン』
脚本家、監督、短編作家、俳優、コメディアン、ミュージシャンと、多岐にわたりその才能をいかんなく発揮し、活躍してきた“生ける伝説”ウディ・アレンの人生と創作過程を解き明かすドキュメンタリー『映画と恋とウディ・アレン』が11月10日(土)からTOHOシネマズ シャンテほかでロードショーされる。
Text by YANAKA Tomomi
ウディ・アレン作品を彩る俳優や監督にもインタビュー
10代でコメディライターとしてデビューし、スタンダップ・コメディアンとして活躍した1960年代から、その後40年以上にわたり平均年間1本以上の新作映画を発表するなど、輝かしいキャリアを築いてきたウディ・アレン。そんな彼が公認した自身“初”のドキュメンタリー映画が完成した。
あふれんばかりの才能をもち、名作を次つぎと生み出す一方、かたくなにプライベートの取材や撮影などを拒むことでも知られるアレンを、1年半にわたり撮影、名言の数かずを引き出して、これまでにない伝記映画をつくりあげたのは、エミー賞受賞歴をもつ監督のロバート・B・ウィード。
さらに、ウィード監督は、アレンの作品に出演したぺネロペ・クルスやスカーレット・ヨハンソン、ショーン・ペンら豪華俳優、コラボレーションしたことのあるマーティン・スコセッシ監督ら彼の作品を彩る人たちへの取材も敢行。カンガルーとボクシングに興じたり、テレビ番組でのネタ見せなど、貴重なアーカイブ映像を盛り込みながら、ショービズ界デビューの経緯、執筆スタイルや演出法、俳優との関係性、尽きぬ創作意欲を猫写している。
また、映画ではアレンの経歴のみならず、彼を伴って訪れたブルックリンの生家と母校、アレン自身が撮影した実母から息子へのコメント、いまでも愛用している16歳のときに購入したタイプライター、引き出しに溜め込んだ映画のアイディアを記したメモなど、私的な場所や小道具までも披露。プライベートな領域にまで踏み込み、彼自身を紐解いてゆく。これまで謎に包まれていた比類なきフィルムメーカーの哲学や人生観をも反映することに成功した前代未聞の作品へと昇華されているのだ。
近年も『ミッドナイト・イン・パリ』や12/1(土)よりTOHOシネマズ シャンテ、新宿武蔵野館他全国で公開となる『恋のロンドン狂騒曲』など衰えを知らぬ情熱で名作をつぎつぎと生み出してきたウディ・アレンの映画と恋と人生が詰まったドキュメンタリー。映画史を彩る彼の姿、その創作の源となるバックボーンをぜひ垣間見てほしい。
『映画と恋とウディ・アレン』
11月10日(土)よりTOHOシネマズ シャンテほかにて全国ロードショー
監督・脚本・共同編集・制作│ロバート・B・ウィード
出演│ウディ・アレン、ペネロペ・クルス、スカーレット・ヨハンソン、ダイアン・キートン、ショーン・ペン
配給│ロングライド
2011年/アメリカ/1時間53分