トム・ハーディが人間らしい生き方に目覚める捜査官を熱演

2008年にイギリスで出版され、世界を席巻したトム・ロブ・スミスの小説『チャイルド44』。英国推理作家協会から最高賞の「イアン・フレミング・スチール・ダガール賞」が贈られるなど、世界が絶賛。いっぽうで、旧ソビエト連邦で実際に起きたアンドレイ・チカチーロ連続殺人事件から着想を得た本作は、国家がいまもなお認めないソ連時代の闇を暴いたがために、ロシアでは発禁書となっている問題作でもある。

この作品に出版前から目をつけ、映画化に手を挙げていたのが、映画界の巨匠リドリー・スコットだった。当初は本人がメガホンを取るつもりだったというが、スウェーデン映画史上最高の興行収入をあげた『イージーマネー』の新鋭ダニエル・スピノーサ監督の才能にほれ込んで大役を託し、自身は製作としてサポートに徹した。

出演は、主人公のレオに『マッドマックス 怒りのデス・ロード』でも主演を掴んだトム・ハーディ。非情な捜査官として国家にすべてを捧げた男が人間らしい生き方に目覚め、成長していく姿を演じきった。また名優ゲイリー・オールドマンやリドリー・スコット監督の『プロメテウス』にも出演した、ノオミ・ラパスら演技派俳優がキャスティングされている。

エリート捜査官から転落したレオが連続殺人の事件解明に乗り出す

1953年、スターリン政権下のソ連で、全裸で、胃は摘出され、死因は溺死という猟奇的な特徴が共通する子どもたちの変死体がつぎつぎに発見された。しかし、“理想国家に殺人はない”というスターリンの教えのため、すべてが事故として処理されてしまう。

そんななか、スパイ容疑をかけられた妻を守ろうとして、エリート捜査官から転落し、地方に送り込まれたレオは、親友の息子の死をきっかけに、事件解明に乗り出すことに。だが、捜査が進むほどに国家に行く手を阻まれ、さらに愛する妻も危険にさらしてしまう。真相が容易にゆがめられてしまうこの国で、レオは犯人にたどり着けるのか……。

原作の世界観を再現するために、ソビエト様式の建物が残るチェコで撮影されたという本作。連続殺人の真相を追いながら、裏切り、スターリン政権下の国家の闇、そして当時の重く不穏な空気までもが忠実に描かれている。

『チャイルド44 森に消えた子供たち』
7月3日（金）より、TOHOシネマズ みゆき座ほか全国順次ロードショー
監督｜ダニエル・エスピノーサ
出演｜トム・ハーディ、ゲイリー・オールドマン、ノオミ・ラパス、ジョエル・キナマン、パディ・コンシダイン、ジェイソン・クラーク、ヴァンサン・カッセル
配給｜ギャガ
2015年/アメリカ/137分
http://child44.gaga.ne.jp

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