特集|ドバイのラグジュアリートラベル最前線|Chapter 3「ドバイ一“美味い”ホテル」
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ドバイのラグジュアリートラベル最前線
Chapter 3|ドバイ一“美味い”ホテル(1)
「ワン&オンリー・ロイヤルミラージュ」のバーラウンジ「ジェティー・ラウンジ」からシャトルボートに乗り込み、わずか数分でパームジュメイラの「ワン&オンリー・ザ・パーム」に到着する。おなじワン&オンリーでも、プライベートな空間が広がるこちらはファミリーよりカップルに人気。ドバイの最高級ビーチリゾートとも称されるその中身とは?
Photographs by MATSUI HiroText by OBARA YukikoEdited by TANAKA Junko (OPENERS)
絶好のロケーション×完璧なプライバシー
パームジュメイラは世界最大の人工島で、パームツリー(ヤシの木)を模した3つの人工島、パームアイランドのひとつ。高級住宅、別荘、ホテル用地として開発されたこの島は、ベッカムファミリーやビル・ゲイツが別荘を購入した場所として話題を呼んだ。2008年に完成したアトランティス・ザ・パームを皮切りに、パームジュメイラには世界的なブランドホテルが続々とオープンしている。
ヤシの木を囲むように位置する三日月型防波堤の南西側先端で、本土にほど近く位置するのが「ワン&オンリー・ザ・パーム」だ。2010年のオープン時には、ドバイの最高級ビーチリゾートとして注目を浴びた。ダイナミックなドバイのスカイラインを臨む絶好のロケーションにありながら、完璧なプライバシーと静寂に包まれた、スタイリッシュでコンテンポラリーなラグジュアリーリゾートだ。
目の前には白砂のプライベートビーチが広がり、美しい庭園に囲まれた広大な敷地ながら、わずか90室の客室、プライベート・ビーチヴィラ4邸からなるブティック・リゾートだ。ムーア、スペイン、アンダルシアのスタイルとアラビアン様式が調和した、コンテンポラリーでシックなデザインは、ラグジュアリーな別荘を想わせる。メインは3階建てのマナーハウスで34室(ミニマムサイズは65平方メートル)。6棟からなる低層階のローライズマンションは56室を擁し、2ベッドルーム(325平方メートル)と3ベッドルーム(425平方メートル)、ラッププール(=スイミングプール)付きのプライベート・ビーチヴィラは4邸ある。
決してハイシーズンではない時期にもかかわらず空室はわずか。250平方メートルと、マナーハウスで一番大きいグランド・パームスイートを見ることができた。このスイートの広大なバルコニーからはプールサイドのラウンジエリア、きらきらと水面が輝くプールを真正面に臨む。広すぎるリビングルームは、本来くつろぐためのソファもダイニングも、一見すると豪華さに圧倒されそうだが、妙に居心地がよく、まさにラグジュアリーな別荘の感覚だ。
カップルに人気のワケ
プライベート・ビーチヴィラはシーズンによって3泊または4泊から宿泊できるが、実際には2週間から3週間というロングステイのゲストが多いらしい。姉妹リゾートのワン&オンリー・ロイヤルミラージュに比べて、ファミリーよりカップルの利用率が高いのもワン&オンリー・ザ・パームの特徴だ。
スイミングプールの両サイドはパームツリーが連なりデイベッドが配され、終日のんびりと過ごすヨーロッパ人の姿を多く見かける。ユニークなのはプールサイドに点在するプライベートカバナだ。カバナというよりは小型のヴィラサイズの独立した建物にはエアコン、テレビ、ソファ、飲み物がぎっしり詰まった冷蔵庫も完備されていて、もちろん大型デイベッドが置かれたポーチ部分もある。ただし、早い者順ではなく有料だ。2名使用で、平日なら日本円で5万円弱、週末は7万円弱と決して安いとは言えないが、予約困難とのこと。ラグジュアリーを求めるゲストが多い証拠だろう。
さらに特別な空間として、ワン&オンリー・プライベートスパ、ビューティースタジオ、フィットネスがある。ほかのワン&オンリー同様、世界的なポディアトリスト(足病治療士)、バスチャン・ゴンザレスの「Pedi:Mani:Cure Studio(ペディ・マニ・キュア・スタジオ)」が人気を博している。プールを独り占めしたい人には、スパとフィットネスの間にあるスイミングプールがお勧めだ。デイベッドがないから、ここは本気で泳ぎたい人のためのラッププールということになるだろう。Espaがプロデュースするスパには5つのトリートメントルームがあり、ウエルネスに重きを置いた3日間や5日間のプログラムも用意している。
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Chapter 3|ドバイ一“美味い”ホテル(2)
三ツ星シェフが手がける3つの極上レストラン
ワン&オンリー・ザ・パームの醍醐味である「食」も見逃せない。ここには若き天才シェフ、ヤニッック・アレノがプロデュースした3つのレストラン「101」「STAY」「ZEST」がある。アレノは2009年、30代前半でパリの「ホテル・ムーリス」をミシュラン三ツ星に導き、世界にその名を知らしめた新鋭シェフだ。ひとつずつ順を追って紹介したい。
シャトルボートで乗り付けるジェッティに併設されているのが「101」。水上に浮かぶこのレストランは、オープンエアのアルフレスコ・ダイニングが心地よい。ここでのオススメは生ハムを乗せたカラマリのサラダ。シェフのスペシャリティーだ。デザートの盛り合わせも試してほしい。ランチとディナーのメニューに加え、タパスメニューがあるのも泡好きにはたまらないチョイスだ。アルフレスコ席でタパス&泡を楽しんでいるとき、ちょうどすぐ横に小型のクルーザーが停泊していた。聞くとワン&オンリー・ザ・パームのプライベートボートで、1時間4万7000円ほどでチャーターができるそうだ。
メイン棟にあるオールデイ・ダイニングの「ZEST」は、アジア、アラビア、ヨーロッパのメニューを用意しており、アジアの前菜、アラビアのメイン、ヨーロッパのデザートなどの組み合わせでバラエティーに富む食事を楽しめる。メニューに“Udon”という文字を見つけたのでオーダーしてみたら、洋風のスープにポーチドエッグと確かにうどんヌードルが入っていた(おだしのスープはなし)。朝食のビュッフェは彩りも美しく、種類も豊富でヘルシーな朝食からボリュームたっぷりの朝食までお好み次第だ。
なんと言ってもハイライトは「STAY」 by Yannick Allenoだろう。ディナーのみ利用できるこのシグニチャー・ダイニングは、アースストーンを基調とした重厚な大理石の床など、細部へのこだわりが見て取れる。クリスタルの天井が洗練されたダイニングシーンを演出し、伝統的な料理法をコンテンポラリーなスタイルで表現。総
料理長のデヴィッド・エメルルは和食への造詣も深く、メニューに柚や榎茸など和の食材を用いたものが複数見られ、なんとなくうれしい気分になる。ちなみに彼はモスクワでは名の知れたセレブリティーシェフ。「なぜドバイに?」と聞いたところ、尊敬するヤニック・アレノからワン&オンリー・ザ・パームのレストランを任せたいと言われ、ほかのワン&オンリーの評判も知っていたから、断ることはありえなかったと言っていた。
このレストランのDNAとも言えるユニークなコンセプトは、若きペストリーシェフ、ジェミー・ジェイソンがプロデュースする“ペストリー・ライブラリー”でも見事に体現されている。ペストリー・ライブラリーとは、オープンキッチンのデザート版で、究極のカスタムメイド・デザートを提供。ゲストは好みのスイーツを何種類か選び、パティシエが選ばれたスイーツの素材にスタイリッシュなトッピングでデザートのひと皿を完成させる。通常のオープンキッチンは調理の様子を眺めるだけだが、ペストリー・ライブラリーでは、デザートを一緒に作り上げていく楽しみがたまらない。張り切ってお洒落をして食事を楽しむ、アニバーサリーのディナーに最適だろう。アニバーサリーにワン&オンリー・ザ・パームに宿泊し、STAY by Yannick Allenoで食事をする、というのは理想的な記念日の祝杯と言えるだろう。
One&Only The Palm|ワン&オンリー・ザ・パーム
PO Box 114843, Dubai, UAE
Tel. +971-4-440 1010
http://thepalm.ooresorts.com/ja/
問い合わせ
ドバイ政府 観光・商務局
www.myfavoritedubai.com
dubai.japan@aviareps.com