特集|真の避暑地を求めて~長野の至宝、信濃町へ~|第2回「自然の恵みを享受する野菜キュイジーヌ」
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2015年4月7日

特集|真の避暑地を求めて~長野の至宝、信濃町へ~|第2回「自然の恵みを享受する野菜キュイジーヌ」

特集|真の避暑地を求めて
大正時代からつづく“癒しの町”――長野・信濃町

第2回|自然の恵みを享受する野菜キュイジーヌ

さまざまな自然との関わり方

四方を森と湖に囲まれたエルボスコ。ホテルにいながらにして、まるで森林浴をしているような気持ちになるのは、自然を巧みに取り入れたデザインのおかげだろう。唯一「室内にいる」ことを実感するのは、日が落ちて外が見えなくなってから。その時間を除けば、ロビーから客室、レストランに至るまで、ずっと自然を身近に感じながら滞在することになる。

そんな環境に身を置いていると、エルボスコの掲げる「自然との共生」というサービスコンセプトもすっと頭に入ってくる。それは、たとえば季節による環境の変化をありのまま受け入れること。豪雪地帯として知られる信濃町に建つエルボスコが、冬のあいだ“冬眠期間”を設けているのも、自然の流れに逆らわない姿勢の表れだ。

「冬になる直前までやっているので、運がいいと、うっすら白くなった景色を見届けてから、シーズンを終えることになります。ちがう季節の景色を見たくなって、一年のうちに何度も訪れるというリピーターの方が多いんです。自然の力ですよね。実際、季節によってガラッと景色は変わりますから。オープンして5年。自然のなかでの過ごし方や愛で方というのを、私たちの方がお客様に教えていただいている気がします」

エルボスコを手がけるアゴーラ・ホスピタリティーズの代表取締役、浅生亜也さんがそう語るように、エルボスコではゲストの意見も取り入れながら、シーズンごとにテーマを設けて、さまざまな自然との関わり方を提案している。この夏のテーマは「戯れる」。専門のメディカルトレーナーと一緒に森のなかを歩く「森林セラピー」、森のなかで見つけた落ち葉や枯れ枝などを使ってオブジェを制作する「ネイチャースタディー」、野尻湖で楽しむ「カヌー体験」、ロープやサドルを使って木に登る「ツリークライミング体験」など、信濃町ならではのプログラムは、普段の生活を離れて心身を解放するための道しるべになってくれることだろう。

食材の“旬”を五感で楽しむ

「自然の恵みを享受する野菜キュイジーヌ」 24

自然と関わることが、外からパワーを充電する手段なら、内からパワーを充電する手段のひとつが食である。エルボスコのダイニング「moment」でエグゼクティブ・シェフを務める尾澤真さんは、「生命力の強い、旬の食材を食することが、一番のエネルギーチャージになるのでは」と話す。

尾澤さんは長野市のレストラン「サクラメント」で修行を積んだあと、県内のリゾートホテルで料理長を務めるなど、フレンチの道を順調に歩んでいたが、エルボスコが目指すカリフォルニア・キュイジーヌの、スタイルにとらわれない考え方や、食材にほどよく手を加える調理方法に共感。2010年、現職に就任した。

「もともとフレンチをやっていたので、やはり戸惑いはありました。ですが、次第にフレンチでもイタリアンでも和食でも、美味しければいいと思うようになったんです。ジャンルはなんであれ、一番美味しいのは食材を生かした料理だということも。仔羊を使うときには、肉の油をあえて掃除しなかったり、新鮮なサーモンをミディアムレアに仕上げて、生温かい状態で出したり……。フレンチではタブーとされていることも、いまは積極的にチャレンジしています。うま味が100%引き出された食材を味わっていただきたいんです」

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「moment」では、サービスコンセプトの「自然との共生」に基づき、地元の食材を旬の季節に食する地産地消、素材にほどよく手を加える調理方法を実践している(写真は夏のメニュー「仔羊のグリル」(左)と「信濃ファーマーズ」)

「食材を生かす」。尾澤さんの口から何度も飛び出た言葉だ。それは野菜の調理方法においてもしかり。特に長野県生まれの尾澤さんは、地元の農家に対する思い入れも人一倍強い。信濃町の高原野菜を主役にした“野菜キュイジーヌ”は、いまや彼の代名詞となっている。

「信濃町には素晴らしい野菜を育てている農家がたくさんあるんです。なかでもトマトとトウモロコシは、日本一と胸を張れるほどの美味しさ。トマトは、素材本来の酸味と甘みを感じていただくために、ナスやじゃがいも、ズッキーニなど、そのとき入った旬の野菜と合わせて、水だけで煮込んだ濃厚なスープに仕立てたり。トウモロコシは、そのままグリルしても十分美味しいのですが、この夏のメニューとして、エビや鴨と一緒にサラダ仕立てにしてお出ししています。野菜は農家の方が大切に育て上げたひとつの“作品”。どうすればそれぞれが持つうま味を引き出せるか、毎日試行錯誤しています」

食材の“旬”を五感で楽しむ――地元で採れた旬の野菜は鮮やかな色で私たちの目を魅了し、口のなかで力強い味と香りを放った。尾澤さんの言う「エネルギーチャージ」とはまさにこういうことなのだろう。

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夏の旬感プラン
日程|7月11日~9月30日
時間|朝食 7:00~9:30、ランチ 11:30~14:00、ディナー 18:00~22:00
会場|ダイニング「moment」
料金|スタンダードツイン 1名2万2000円~
スーペリアツイン 1名2万4100円~
※1室2名利用時、1泊2食付、税・サービス料込
内容|夏の「旬感」momentコースディナー(長野県産のグラスワイン付き)
身体に優しい健康的な朝食

野尻湖ホテル エルボスコ
長野県上水内郡信濃町大字古海4847
Tel. 026-258-2111
客室|50室(ツイン、メゾネット、メゾネットスイート)
チェックイン 15:00、チェックアウト 11:00
会議室|1室
レストラン|3店舗(ダイニング「moment」、ラウンジ、バー「SOBAバー」)
www.nojirikohotel-elbosco.com

           
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