角田陽太|東京浪漫酒場|第九回 たぐい食堂
LOUNGE / FEATURES
2016年1月15日

角田陽太|東京浪漫酒場|第九回 たぐい食堂

デザイナー・角田陽太の酩酊銘店案内

東京浪漫酒場 第九回 大森町「たぐい食堂」

東京の酒場をデザイナー・角田陽太が案内する連載「東京浪漫酒場」。第九回は大森町「たぐい食堂」を訪ねる。昨夏開店したばかり、比較的新しい今回の銘店は、蒲田からほど近い大森町駅から北に3分ほど歩いたところにある。

Photographs by SHIRAISHI KazuhiroText by KAKUDA Yota

懐かしさを覚える小さな食堂

「たぐい食堂」は、大森ロッヂというエリアの一角に位置する。店が入る建物は、「たぐい食堂」の店主の奥さんが働く建築事務所の設計で、2015年のグッドデザイン賞を受賞している。扉を開けるとカウンター2席、テーブル8席のこじんまりとした空間が広がる。

しかしながら天井の高さが店内に圧迫感を感じさせず、無垢の木の質感があたたかい雰囲気をつくっていて、女性にもうけそうなデザインの店だ。

デザイナー・角田陽太の酩酊銘店案内|「東京浪漫酒場」第九回 たぐい食堂tagui_01

まずは赤星の中瓶(サッポロラガービール)をいただきながら、ぬかづけ、小あじの南蛮漬け、卵黄醤油漬けの漬物三銃士をいただく。

デザイナー・角田陽太の酩酊銘店案内|「東京浪漫酒場」第九回 たぐい食堂

料理が供されるうつわはすべて小久慈焼。手作りだが過剰に手の跡を残さない焼き物と薄いグレーの釉薬は、主役である食べ物の美しさを邪魔しないのでとてもいいチョイスだ。

小鉢が充実していて、切り干し大根、ひじき煮、れんこんのきんぴらなど、日本酒に合うものが揃っているので、お酒に移行する。

銘柄は、店主の出身地である岐阜の地酒「小左衛門」「三千盛」「久寿玉」の純米系が揃う。日本酒の2杯目、3杯目に合わせ、さばの塩焼き、銀だら西京焼をつまむ。

また、店主の前職が代々木に本店がある「おひつ膳 田んぼ」ということもあり、ごはんにとても強いこだわりがある。定食はもとより、茶漬けやおにぎりも人気メニューだという。

デザイナー・角田陽太の酩酊銘店案内|「東京浪漫酒場」第九回 たぐい食堂

デザイナー・角田陽太の酩酊銘店案内|「東京浪漫酒場」第九回 たぐい食堂

この食堂には店主が選んだセンスの良い、古いプロダクトがちりばめられている。例えば、年季がかかった予約札やキャッシャーは、時代を感じさせながらも状態が良いものを使用している。なかでもセンスの良さを感じたのが化粧室のドアに付いている真鍮製の鍵。半円状の小窓に円グラフのように情報が現れる明快なデザインだ。

デザイナー・角田陽太の酩酊銘店案内|「東京浪漫酒場」第九回 たぐい食堂

デザイナー・角田陽太の酩酊銘店案内|「東京浪漫酒場」第九回 たぐい食堂

日本酒でいい気持ちになっていると、とても明るい奥さんが仕事から帰ってきて食堂を手伝い始めた。

新しい店ながら懐かしい家庭的な料理が味わえる「たぐい食堂」。品川から少し足を伸ばしてぜひ行ってみて欲しい。もしくは羽田からの出張帰りなどもいいかもしれない。

デザイナー・角田陽太の酩酊銘店案内|「東京浪漫酒場」第九回 たぐい食堂

たぐい食堂
東京都大田区大森西3-21-5

Tel. 03-6356-5939

営業時間|昼:11:00〜15:00(LO 14:30)、

夜:17:00〜22:00(LO 21:00)

定休日|日曜・月曜・祝日
http://www.omori-lodge.net/shops/taguishokudo/

角田陽太|KAKUDA Yota
デザイナー。仙台生まれ。2003年渡英し、さまざまな事務所で経験を積む。2007年ロイヤル・カレッジ・オブ・アート(RCA)を修了。2008年に帰国後、無印良品のプロダクトデザイナーを経て、2011年、YOTA KAKUDA DESIGNを設立。
http://www.yotakakuda.com/

白石和弘|SHIRAISHI Kazuhiro
1980年千葉県生まれ。2007年より写真家 上田義彦氏に師事。2011年独立、以後フリーランスフォトグラファーとして活躍中。

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