ルイ13世 Chapter 15 アンバサダー 木村英智
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2015年1月8日

ルイ13世 Chapter 15 アンバサダー 木村英智

LOUIS XIII|ルイ 13世

アンバサダーインタビュー12

木村英智(アートアクアリウムプロデューサー)

途方もない年月と妥協を許さない酒づくりによって生み出される唯一無二のブランデー、ルイ13世。その魅力を広く伝えるべく選ばれた13人のアンバサダーたちが、グランド ハイアット 東京の「メゾン ルイ13世」(バー「マデュロ」内に展開する期間限定スペース)からお届けするインタビュー。第12回目はアクアリウムとアート、デザインなどを融合させた「アートアクアリウム」というジャンルを確立した存在として、国内外から高い評価を受ける木村英智さん。

Text by MONZEN NaokoPhotographs by IGARASHI Takahiro

歴史あるものへの憧憬

私は常づね、歴史あるもの、伝統あるものへの憧れを強く抱いてきました。建築やアートをはじめ、クルマや洋服などについても、たくさんの人の手と時間を介して古くから受け継がれてきたものに興味を持ちますし、理屈抜きで反応してしまうところがある。たとえば身のまわりの買い物ひとつとっても、最新の技術を駆使したものと長い年月を経たものの二者択一であれば、迷わず後者を選んでしまうような……。

約100年という樹齢のオークから作られた樽に、50年から100年の時を刻んだいくつかの原酒をブレンドするというルイ13世にも、強く惹かれる部分があります。昨年は日本橋の架橋“100周年”を記念したアートアクアリウムのプロジェクトをプロデュースしたんですが、アンバサダーのお話をいただいたときにもまた、“100”という歴史の一単位とも言える数字に出合いまして。歴史や伝統への憧れという要素のほかに、そういった“ご縁”も感じましたね。

ぶれないことへの共感と敬意

歴史あるものに惹かれるという話と矛盾するようですが、私の仕事はそれまでになかったまったくあたらしいジャンル……「アートアクアリウム」という表現方法を自分でつくって切り開いてきたこと、と言えます。そのなかでルイ13世の酒づくりや精神に共通するものを感じるのは“ぶれない”点。前例のないあたらしいものにはさまざまな誘惑があります。お手本がないからこそ、また自分の一挙手一投足がその分野をつくっていくと考えればこそ、慎重に強く軸をもって、好奇の誘いに乗ったり安請け合いをしないようにしなければならない。

通常から考えればありえないほどの手間と年月をかけたルイ13世の酒づくりも、ぶれない確固たる信念のもとつづけられてきたものでしょう。歴史ある存在も、みな最初は“あたらしいもの”だったはず。そこから時を重ねて受け継がれ、長く受け入れられるものこそが真の価値を得る。規模や年月は及びませんが、ルイ13世のぶれのない姿勢には共感と敬意を抱きますし、自分の仕事もかくありたい、その域に近づいていきたいとおもいますね。

“中心”に据えたくなる存在感

ブランデーは自分の身体に一番合う酒だと思っています。じつはそんなに強いほうではないのですが、一番よく飲むうえに決して悪酔いしないのがブランデー。最初に覚えた酒でもあります。飲むのは圧倒的に外。例えば大勢で食事をしたあと、店を移るごとに徐じょに気の合う仲間数人になって……最終的に行き着いたバーなどでゆっくりと味わうことが多い。

なかでもルイ13世は“大切な人”に薦めたい酒。豊かな香りを湛えながら、喉の奥にすっと染みこんでいく。絶妙なバランスをもつすばらしい酒だと感じます。理屈抜きで美味しく、人に薦めたくなる酒。自分がお世話になっている方には本質を見極める眼に優れた方が多い。高価というだけに踊らされず、質に見合う対価かどうかを見極めることに長けた方がたとこそ、一緒に味わいたい酒ですね。この「マデュロ」での期間限定メゾンが終わる前に、自分にとって大切な方をたくさんお連れしたいとおもっています。

デザインに携わる身としては、ボトルの造形もルイ13世に触れるうえで外せないファクター。どの角度から見ても、神々しいまでの存在感がある。価値観を同じくする人たちと杯を重ねるとき、傍らではなく中心に置きたくなるような……力ある個性を感じますね。自分が仕事としている“水”と“空間”、“アート”という観点からも、ぜひコラボレーションをしてみたい存在。ボトルを模した造形のなかに魚を放つ、ボトルで壁面を埋め尽くす……水=ブルーというイメージが強いかとおもいますが、この琥珀色を活かして既成の概念にとらわれない空間を作ってみたい。

ここ数年、夏に六本木ヒルズの展望台・東京シティビューで「スカイ アクアリウム」というイベントをプロデュースしています。アクアリウムをアートとして展示したあたらしい試みでした。そして去年の夏に日本橋三井ホールで開催しました「アートアクアリウム展」では、昼はアクアリウムを活かしたアートエキシビション、夜はミュージアムラウンジとしてお酒を片手に楽しんでいただけるイベントとして、楽しみを追加させました。今年の開催期間は日本橋では8月17日から9月26日。冬のクリスマスから正月シーズンには、大阪での開催も予定しています。世界に唯一の空間をつくって夏は東京、冬は大阪を盛り上げたいと思っているのですが、今後そのような機会に、無二の酒であるルイ13世との取り組みを実現できたら、どんなに楽しいことでしょうか。

木村英智|KIMURA Hidetomo
アクアリウムクリエイターズオフィスSrl. CEO、株式会社エイチアイディー・インターアクティカ代表取締役。1972年東京生まれ。アクアリウムとアート、デザイン、インテリアを融合させた「アートアクアリウム」という独自の分野を確立。水槽のデザインから水質調整、生体管理までを手がけ、“アクアリウムを用いたアート”として有料の展覧会を開催する唯一の存在として、国内外からの注目を集める。展覧会ではインテリア、照明、音楽、空間構成も自らデザインと監修を担当。現在はアートクリエイターズオフィスの本拠地をイタリア・ミラノに移し、自身がつくった「アートアクアリウム」というジャンルを世界に向けて発信すべく活動中。また、海洋環境保全活動も精力的におこなっている。

           
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