シャンパーニュ・メゾン「テタンジェ」が誘った、一夜限りのおもてなし|TAITTINGER
TAITTINGER|テタンジェ
一流シェフによる特別なマリアージュ。それは
「テタンジェ」が育んできた“伝統と革新”の証明
シャンパーニュ・メゾン「テタンジェ」が、一流シェフによる特別なマリアージュフードを提供する一夜限りのパーティ『TAITTINGER CHAJI~Cérémonie du Champagne 』を開催。2018年4月9日(月)に、東京国立博物館法隆寺宝物館を会場にして行なわれた。
Text by TSUCHIDA Takashi(OPENERS)
文化、風土を背景にした料理への飽くなき探究
ガストロノミーである。古来から人生の楽しみとは、すなわちガストロノミーに尽きるのである。
この素晴らしい機会を提供してくれたのはシャンパーニュ・メゾン「テタンジェ」。世界最高峰レストランの完璧なランキングとされる「LA LISTE 2018」にて、世界ベストレストラン1000に選出された、浅草駒形の「Nabeno-Ism」とのコラボレーションである。4種のテタンジェラベルに合わせて、それぞれにマリアージュフードを合わせるという嗜好だ。
開会のあいさつは、テタンジェ社取締役輸出部長のクロヴィス・テタンジェ氏。
284年の歴史のなかで、創業家が今もなおブランドの舵をにぎっているとは素晴らしい。
彼が語ったのは、客人を全身全霊でもてなそうとするテタンジェの心であり、それは日本の茶の湯にもつながる、と話してくれた。
なるほど、イベントのタイトルにCHAJI(茶
事)とあるのは、彼らのその心持ちを示すものだった。
では早速、一品目。芳醇なフレッシュ香を感じさせる「テタンジェ ブリュット レゼルブ」に合わせるのは、「真鯛の昆布締め、グレープフルーツの香りを添えて アントナン風グリーンオリーヴのマリネ、雷おこし」だ。地元・浅草の銘菓を使用したチャーミングさに惹かれつつ、フィンガーフードはすすっと口のなかに入っていく。
昆布締めに西海岸育ちの柑橘という不思議な取り合わせも、何のことはない、舌の上ではいともカンタンに国境を超えていく。うーむ、旨い。
二品目。セカンドピークを迎えた「テタンジェ ブリュット ミレジメ2012」はほどよい感じに雑味が落ちて、口に含んだ先から旨味に変わる。この深みのある味わいに合わせる料理は「ホワイトアスパラガスのムース、純米吟醸酒を振りかけたカニの身を合わせて」。
旨味には旨味を、という足し算である。もちろん、1+1=2ではない。その倍、倍となって広がりを見せる。カニの身が軽さを生み出し、くどくなっていないのもいい。
早くも、皆、マリアージュにくびったけである。立席の自由さから、何度もおかわりをしている人がいた。私である。
三品目。「コント・ド・シャンパーニュ ブラン・ド・ブラン」という非常に貴重なシャンパーニュの登場だ。先ほどのミレジメが深みを表すとしたら、こちらはさらに別軸の広がりがあるというか、もう旨味の洪水だ。味わいがどんどん舌の上で変化していく。その味わいひとつひとつが滋味深いのだ。派手すぎず、存在感を出す。さすがシャンパーニュの公爵である。
そしてこの貴重なプレステージ・キュヴェに合わせる料理が「柔らかく蒸し上げた鶏胸肉にシャンパーニュ地方産のチーズの香りを重ね、柚子の清涼感ある香りをアクセントに」。特別なシャンパンを引き立てる、それでいて複雑味を感じさせるソースである。
四品目。「ノクターン スリーヴァーロゼ」は、深遠なるマリアージュの旅からやさしく現実に戻してくれるような、そんな飲み口だった。料理の方は「ブランマンジェにベリーと葡萄のニュアンスを添えて、甘酒のソースとビスキュイ・ローズのイメージ」。雪山に春の訪れを知らせる、そんなデザートだったと記憶している。
さて、終始なごやかなムードで進んだ4つのマリアージュの間、会場はジャポネスクな音楽で満たされていた。DJ沖野修也氏によるプレイである。加えて野宮真貴さんのLIVE。まるで90年代の渋谷〜恵比寿にタイムスリップした気分だ。
冒頭の登壇で、創業家の末裔にしてテタンジェ社取締役輸出部長のクロヴィス・テタンジェ氏は、「シャンパン作りはアートのひとつ」と語った。ゆえに、泡ひとつひとつの瞬間にこだわる、とも。たしかに一夜限りとして企画された『TAITTINGER CHAJI~Cérémonie du Champagne 』は、シャンパンの泡と同じく、まるで何事もなかったかのように、跡形を残さず消え去っていった。
しかし、だからこそ貴重なのである。決して二度と戻らない大切な瞬間のひとつひとつを、泡になぞらえ、アートの観点で語る。テタンジェ家に伝わる、一瞬にかける情熱である。そうしてアートを追求するように育まれ、大切に作られた「テタンジェ」。なるほど、その哲学を体現しているからこそ、このラベルは味わい深いのだ。