海底にシャンパーニュを貯蔵するプロジェクト「セラー・イン・ザ・シー」|Veuve Clicquot
Veuve Clicquot|ヴーヴ・クリコ
2014年に開始された実験的プロジェクト
シャンパーニュメゾン「Veuve Clicquot」(ヴーヴ・クリコ)が行っている実験的プロジェクト「Cellar in the Sea」。海底でシャンパーニュを貯蔵し、その効果を確かめる、というものだが、プロジェクト開始から3年経った今年にそのテイスティングが行われた。その味とは。
Text by WASEDA Kosaku(OPENERS)
プロジェクト開始以来初のテイスティングを実施
シャンパーニュブランド、Veuve Clicquot(ヴーヴ・クリコ)は、深海にシャンパーニュの貯蔵庫を建造し、熟成プロセスのさらなる解明を目的とする研究プロジェクト「Cellar in the Sea」(セラー・イン・ザ・シー)を2014年より行っている。
2014年から2054年までの40年間、北欧・バルト海の水深40メートルに最高品質のシャンパーニュを貯蔵し、フランス・ランスのメゾンセラーで熟成されたものと同じ名側のものと比較を行なうことで熟成のメカニズムを富徳、画期的なプロジェクトなのだ。
実験のきっかけとなったのは2010年に、あるダイバーチームが北欧・オーランド諸島海底に200年以上眠っていた沈没船から、マダム・クリコの存命中に瓶詰された47本のヴーヴ・クリコを発見したことに起因する。
海底の保存状態がシャンパーニュにとって理想的な環境であったことが功を奏し、200年以上たっても品質が損なわれていないことに驚愕したメゾンが、さらに熟成プロセスに関する専門的な理解を深めることを目的とし、沈没船が発見された地点近くに「オーランド・ヴォールト」と名付けた海底貯蔵庫を建造した。
プロジェクト開始から3年経過した今年、現在の熟成状態をチェックするため初めてシャンパーニュを引き揚げ、比較テイスティングが行なわれた。
海底で貯蔵されているのはイエローラベル(750mlおよびマグナムボトル)、ヴィンテージ・ロゼ2004、ドゥミ・セック。さてその味はいかがなものだったのか。
引き揚げられた海底セラーとメゾンセラーで貯蔵された両方のシャンパーニュをテイスティングした専門家は、海底で管理されたもののほうが色あざやかで熟成度も高く、味わいはよりフレッシュで若々しいことを見出したという。
どちらの貯蔵方法も優れた成熟環境が確保されているものの、長い熟成期間が想定されるシャンパーニュは光が届かず、常に低い温度に保された静穏な深い海の方が、より貯蔵に適していると結論づけている。
ボルドー大学では海底から引き揚げられたサンプルが科学的に解析され、2017年度中には今回のテイスティング結果を裏付けるための新たな分析が加えられる。この引き揚げは今後も3年ごとに行われる予定だ。
「品質はただひとつ、最高級だけ」という信念に忠実に、ひたすら最高品質のシャンパーニュを追い求めるヴーヴ・クリコの探求心を具現したプロジェクトだ。
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