人生を祝うシャンパーニュ「G.H.マム」|G.H.MUMM
G.H.MUMM|G.H.マム
セラーマスター(最高醸造責任者)ディディエ・マリオッティが語る魅力(1)
今日を祝い、明日の喜びを誓うシャンパーニュ「G.H.マム」
フランスの勲章レジオン・ドヌールを模した“赤いリボン(コルドン・ルージュ)”で有名なフランスのシャンパーニュメゾン「G.H.MUMM(G.H.マム)」のセラーマスター(最高醸造責任者)であるディディエ・マリオッティ氏が来日。「G.H.マムを知らないひとにブランドをアピールすると?」との問いに、「フランス語に“グルマンディーズ(Gourmandise)”という言葉があり、これは食いしん坊、食道楽、ごちそうという意味です。G.H.マムはそんなイメージのシャンパーニュで、一杯飲んだら、もっともっと飲みたくなるワイン。その魅力は、フレッシュな果実のセンセーション(衝撃)にあります」と答えた。
Photographs by SUZUKI Shimpei Text by KAJII Makoto (OPENERS)
フランスでナンバーワンのシャンパーニュメゾン
「G.H.マムは、1827年にフランス・シャンパーニュ地方ランスでドイツ系一族によって創業したシャンパーニュメゾンで、長い歴史を誇ります。ヨーロッパでは英国王室をはじめ、オーストリア、ハンガリー、ベルギー、オランダなどヨーロッパ各国の王室御用達シャンパーニュであり、日本でも1911年(明治44年)に日本皇室御用達シャンパーニュの称号をいただいています」とディディエ・マリオッティ氏。
長年、シャンパーニュの売り上げで、世界ナンバーワンのシャンパーニュメゾンの座を保ちつづけてきたが、「ふたつの世界大戦のあいだには、ドイツ系ということでフランスで苦労した歴史もあり、現在は世界で第3位、フランスではナンバーワンの売り上げとなっています」という。
毎日が冒険、毎日が勝利の人生のためのお酒
G.H.マムを代表するシャンパーニュ「G.H.マム コルドン ルージュ(G.H.MUMM Cordon Rouge)」は、ご存知のようにF1の公式シャンパーニュで、表彰台でのシャンパーニュファイトをおもいだすひとは多いはず。また、1904年には、フランス人極地探検家のシャルコーが南極大陸到達の祝杯にコルドン ルージュを開けるなど、シャンパーニュファンのあいだでは、人びとの勇気と成功のシンボルとなり、“冒険、勝利のシャンパーニュ”として愛されている。
マリオッティ氏は「勝利のシャンパーニュというイメージはとてもうれしいですが、コルドン ルージュは、ジェットセット向けのエリート主義なお酒ではなく、だれもが大切な家族や友人とちょっとしたお祝いごとのときにシェアするもの。私にとってシャンパーニュは人生を祝う、生きていることを祝うお酒です」と語る。
マリオッティ氏に、いまなにかに挑戦していますかと問うと「仕事ではブランドの象徴であるコルドン ルージュを毎年おなじクオリティにキープしつつ、さらに改良していきたいというおもいがあること。プライベートでは4年前にはじめたゴルフをもっと上手になりたい」と意気込む。
フレッシュな酸味、熟れた果汁味が同時に広がる
「G.H.マムのシャンパーニュのスタイルは、218ヘクタールある自社畑に関係します」とマリオッティ氏。自社畑で栽培されているのはほとんどピノ・ノワール種で、G.H.マムのシャンパーニュはすべてピノ・ノワール種が優勢種のため、果実の存在感が重要なアイデンティティとなる。
ブランドを代表する「G.H.マム コルドン ルージュ」について、「45パーセントがピノ・ノワール、30パーセントがシャルドネ、25パーセントがピノ・ムニエという構成で、フレッシュな果実感、摘み立ての果物のような酸味を感じると同時に、白い果物の梨やりんご、黄色の果物の桃やアプリコットなど熟れた果汁味も感じます。また、ノン・ヴィンテージでも2年半という長い熟成期間と、リザーブワインが20~25パーセント使われていることから、シロップ漬けにした果物のようなノートや、フルーツタルトにしたようなノートも感じられます」と説明する。
コルドン ルージュは、メゾンの卓越した技術とノウハウを象徴するキュベとして認められるシャンパーニュで、現在、世界150カ国で愛飲されているという。
G.H.MUMM|G.H.マム
セラーマスター(最高醸造責任者)ディディエ・マリオッティが語る魅力(2)
仲間や家族と開ける瞬間が特別なシャンパーニュ「G.H.マム」
ピノ・ノワール種ならではのフルーツ感が楽しめるG.H.マムのシャンパーニュは、「ちょっと気分のいい日にマム! という感じで飲んでほしい」と、セラーマスターのディディエ・マリオッティ氏。「シャンパーニュ地方のひとは、ひとと会ったり、友人が家に来たときなど、よい理由さえ見つかればシャンパーニュを開け、開ければその瞬間が特別なものになります」と薦める。
一年でもっとも忙しい、9月の収穫期
フレッシュさと力強さの完ぺきなバランスを求めるシャンパーニュメゾンのセラーマスターとして、一番心がけていることを尋ねると「妥協しないこと、そしてブランドにたいして誠実であること、敬意を払うこと」とマリオッティ氏。「この仕事は自然が相手なので、深く考えはじめると解決法は見つかりませんが(笑)、すべては収穫したワインをテイスティングするのみです」とつづける。
毎年9月がブドウの収穫期だ。「収穫期の3週間は無休で、朝7時から夜22時ごろまで働きます。ブドウ畑での収穫を手伝ったり、畑の近くにある圧搾所を見たりして、その年のできの善し悪しの印象を見極めます」
テイスティングに集中する2カ月間
この「収穫の喜びを味わう、特別な3週間」を経て、11月からはワインのテイスティングになる。「11月、12月の2カ月に、私のチームでは約300種のワインをひとり2回ずつテイスティングします。これによってその年のでき具合を確認します」と言う。
この2カ月は、朝7時半に始業し、チームでミーティングをしたあと、朝11時からの1時間と、夕方16時からテイスティングに集中するそうで、「ここでワインの味を確かめて、チームのそれぞれが記憶して、アッサンブラージュ(ブレンド)に移行していきます」
2014年のできは「素晴らしくよい収穫年」
テイスティングからアッサンブラージュへの移行の難しさを問うと、「物事は自然に運びます」とマリオッティ氏。「テイスティングからアッサンブラージュへの流れはごく自然で、それは感覚的には音楽家や画家のようなもの。ワインのプロポーション(比率)は書面にして考えますが、ブレンドは楽譜に書くよりも感覚的に運んだほうがうまくいきます」と答える。
11月、12月の2カ月にテイスティングを終え、昨年の秋に収穫されたブドウは、今年の1月、2月にアッサンブラージュされ、3月にはすべての作業が終了している。2014年のできは「素晴らしくよい収穫年」で、「ブドウがよいクオリティだったので、ヴィンテージもつくりました。どう熟成してくれるかは天のみぞ知るですが」と笑う。
ワインのように気軽に開けて、食事とのマリアージュを
和洋中、多様な食事を楽しむ日本人にシャンパーニュのお薦めの飲み方を、とアドバイスを求めると「私からルールを言わないほうがいいでしょう。日本のみなさんには、いろんな料理とシャンパーニュのマリアージュをトライしていただきたい。シャンパーニュは“特別なときに開ける泡のお酒”というイメージがありますが、ぜひワインのように考えてみてほしい。レストランでは、シェフの料理をよく知っているソムリエに相談して、料理との相性をトライしてほしいですね。日本には優秀なソムリエがたくさんいます」とマリオッティ氏。
マリオッティ氏の自宅での楽しみ方は? 「最近、シャンパーニュを飲むときは、メッツェというレバノン料理のスタイルを楽しんでいます。メッツェは大きなお皿に前菜を何種類も盛り合わせたもので、フランスのトラディショナルなディナーにくらべてカジュアルで、好きなモノを取って、シャンパーニュも自由にサーブできるのが魅力です。みなさんもぜひ調べてトライしてください」と薦める。