1951 (C) Werner Bischof Estate / Magnum Photos
LOUNGE /
ART
2025年12月3日
「ワーナー・ビショフの昭和 ~日本が日本でなかったあの頃~」
ART|戦後復興期の時代を切り取った写真展
ライカカメラジャパンは、スイス人写真家ワーナー・ビショフによる写真展「ワーナー・ビショフの昭和 ~日本が日本でなかったあの頃~」を2025年12月5日(金)から2026年3月3日(火)までライカギャラリー表参道で開催。GHQ占領下の日本の風景を切り取った写真が展示される。
Text by YANAKA Tomomi
伝統文化のほか、欧米文化の影響を受けて変化していく人々の暮らしも撮影
ビショフは1951年から52年にかけて占領下の日本を訪れ、約10カ月にわたり取材・撮影を行った報道カメラマン。
1916年にスイス・チューリッヒで生まれたビショフは画家を目指すが、美術学校で写真を学んだことからスタジオやファッション写真を手がけるように。第二次世界大戦の取材を契機に報道写真家に転向し、欧米の雑誌で多くの秀作を発表し、国際的な評価を受けてきた。
1949年には世界的写真家集団「マグナムフォト」に参画。20歳を迎える世界の若者を取材するマグナムフォトの企画「ジェネレーションX」をきっかけに占領下日本に来日した。
GHQ占領下での撮影のほか、日本を拠点に沖縄や朝鮮戦争も取材。1954年にペルー・アンデス山脈で取材中のジープが転落し、若くして亡くなるまで精力的に活動してきたカメラマンだったという。
来日したビショフは、戦後復興期にある日本社会に強い関心を抱き、神社仏閣、茶道、文楽といった伝統文化や芸能、そしてアメリカ文化の影響を受けて変化していく人々の暮らしを丹念に記録してきた。
日本滞在中、ビショフは木村伊兵衛と「兄弟のように親しく」なり、互いの写真哲学を語り合う深い友情を築いたという。木村は著書『僕とライカ』の中で「彼の作品が数多く発表されて、日本の写真界に貢献するところが多かった」と述懐している。
昭和100年、戦後80年を迎える今年、占領下という特異な時代に撮影されたビショフの写真は“日本が日本でなかった”あの頃の記憶を静かに呼び覚ますものとなりそうだ。
戦後日本が再び自らのアイデンティティを取り戻していく瞬間を写し出す、貴重な記録を目の当たりにしてみたい。
「ワーナー・ビショフの昭和 ~日本が日本でなかったあの頃~」
開催期間|2025年12月5日(金)~2026年3月3日(火)
※12月30日(火)~1月3日(土)は休業
定休日|月曜
時間|10:00~19:00
会場|ライカギャラリー表参道(ライカ表参道店2階)
東京都渋谷区神宮前5-16-15 2F
問い合わせ先
ライカギャラリー表参道
Tel.03-6631-9970