LOUNGE /
ART
2015年4月8日
ART|フランス人写真家ヴァネッサ・フランクリンによる個展『Bleu』
ART|テーマはお花見や建設現場で大活躍の、あのブルーシート!
日本で活動するフランス人写真家ヴァネッサ・フランクリンによる個展『Bleu』
日本を拠点に活動しているフランス人写真家ヴァネッサ・フランクリン(Vanessa Franklin)が日本ではおなじみのブルーのビニール・シートを取り上げた個展『Bleu』。4月12日(土)から5月2日(金)まで、イムラアートギャラリー京都で開催される。
Text by YANAKA Tomomi
ブルーシートをドレスのようにして身にまとった友人たちを撮影
2011年1月から日本に在住しているヴァネッサ・フランクリン。日本で出合った数々のオブジェクトのなかで、特に彼女が注目したのが、日常生活のいたるところにある、ブルーのビニール・シートだった。花火大会から、建設現場、そして非常用品に至るまで、日常の重要な瞬間にもちいられるブルーシートを現代日本文化の具象化として捉えたという。
ブルーシートの持つ多種多様な変異性に魅了された彼女は、スタイリストの松田晃斉の協力を得て、空色のシートをまるでドレスのようにしてにくるまれた友人たちを撮影。さまざまなスタイリングによって、ブルーシートの異なるアイデンティティを探索した作品群が展示される。
普段はまったく見栄えのしない1枚のプラスチック生地。これをファッションアイテムとしてリサイクルすることで、ごくありふれた平凡な物のなかに“美”が存在することを提示するなど、ファッションや広告写真家としても活躍するヴァネッサ・フランクリンならではの視点も生かされた。
また会場には、日本の都市の地味な色彩や宗教建築に用いられる典型的朱色と四季折々の柔らな自然風景とは対照的に、ブルー・シートなどで刺激的なコントラストを描き出すような作品も紹介。自然で抑制されたエレガンスを染み込ませ、穏やかで誘惑的であり、風刺的な意思表示でもある作品で、“美しい国日本”とそこに住むひとびとの心の真髄に迫っている。