ART FILE 27|ダミアン・ハースト回顧展「Relics」|連載「世界のアート展から」
ART FILE 27|カタール・ドーハ|「ALRIWAQ DOHAエキシビションスペース」
ピカソを越えた!アーティスト
ダミアン・ハースト回顧展「Relics(残存)」
イギリスを代表する現代美術家 ダミアン・ハースト(Damien Hirst)の、中東初の回顧展が開かれている。カタール・ドーハの「ALRIWAQ DOHAエキシビションスペース」にて、来年の1月26日(日)まで「Relics(残存)」展を開催中。
Text by Winsome Li (OPENERS)
サザビーズで過去最高の総落札額を達成
イギリス・ブリストルで生まれ、1980年代から活躍するコンテンポラリーアーティスト、ダミアン・ハースト。アート学校のゴールドスミス・カレッジに在籍するとき、自ら企画展「Freeze」を開催し、学友達と自分の作品を展示した。その企画展はイギリスのアートシーンにおける新たなアートムーブメントとして、かなりの注目を浴びたという。
ダミアン・ハーストが手掛ける「生と死」のテーマを探究する奇抜なアート作品は、世界中で非常に高く評価されている。オークションハウスのサザビーズでは、これまで実に223点の作品が取引され、およそ211億円の総落札額を記録している(2008年時点)。一人のアーティストの総落札額としてパブロ・ピカソの記録を超えており、現在、最も影響力のある現代美術家と言って間違いないだろう。
本展は、いままで開催したダミアン・ハーストの回顧展のなかでも最大規模といわれ、彼の25年にわたる業績を振り返ることができる。死んだ動物をホルマリンで保存するシリーズ「Natural History」をはじめ、薬箱のインスタレーション、ドットのペイティング、8601個のダイヤモンドを嵌めこんだスカル「For the Love of God」(2007)など、数々の代表作が一挙に展示される。また、「Leviathan」(2006-2013)という作品に注目。10メートルのガラスケースに、ホルマリンで漬けた重さ76トン、長さ6.8メートルのウバサメの作品。本物の動物を使った“大きさ”で、見る者を圧倒するのが、ダミアン・ハーストの魅力だ。
作品を通じて、アート、愛、生と死を問いかけているダミアン・ハースト。「“死”はつねに生活と隣り合わせで、私たちの体は日々衰えていています。しかし、人間は医療・医薬に疑いのない信頼を持ち続けている。僕は“死”に対して深い執念を持っています。病的な意味ではなく、“死”は命を祝うことだ思います」と語った。
「Relics」
会場|ALRIWAQ DOHA エキシビションスペース
会期|2013年9月28日(土)~2014年1月26日(日)
開場時間|10:00~17:30(日、月、水)、12:00~20:00(木、土)、14:00~20:00(金)
※定休日は火曜日。
入場料|無料
住所|Corniche, 2777 Ad Dawha, Ad Hawhah, Qatar
Tel. +974 4402 4849