ART|現代美術アーティスト黒田アキ個展開催
ART|パリ在住の現代美術アーティスト黒田アキが日本で20年ぶりに本格展開催
黒田アキ『宇宙庭園=コスモガーデン』+小篠弘子
1993年に東京国立近代美術館で開催された個展以来、日本では20年振りとなる、黒田アキ『宇宙庭園=コスモガーデン』+小篠弘子が、銀座・KHギャラリー銀座で開催されている。
Text by KAJII Makoto (OPENERS)
1年前にオープンした小篠弘子(コシノヒロコ)さんのギャラリーで開催中
ファッションデザイナーとして第一線で活躍するかたわら、水墨画や絵画の制作に取り組んでいる小篠弘子さん。小篠さんはアーティストとしての活動も活発におこなっていて、1年前にギャラリー「KHギャラリー銀座」をオープンした。また、今年の5月には、安藤忠雄氏の初期の作品である自宅を「KHギャラリー芦屋」として一新している。
小篠さんは数カ月ごとにパリを訪れるが、ある日、黒田アキ(本名・黒田明比古)という人物と出合う。小篠さんは以前よりその名を耳にしていたが、黒田氏のアトリエを訪問し、その仕事の幅広さや奥深さ、多彩な交友関係に驚いたという。
黒田氏のアトリエは、エコール・ド・パリの芸術家たちが集ったモンパルナス界隈にある。仕事の合間に通うカフェは彼の創作の原点であり、彼が長年取り組んできた「宇宙庭園=コスモガーデン」という概念はカフェから生まれたといっても過言ではない。
黒田氏は、広大な宇宙のなかでは小さな存在に過ぎない人間が出合い、思考し、行動し、互いに共生的な庭をつくっている――ひととひとが出合う場はとても重要であり、それが「宇宙庭園=コスモガーデン」だと考える。
これまで数多くの出合いを経験し、そのたびにあらたな世界を切り開いてきた小篠弘子さんにとって、黒田氏の思考は共感できるもので、すっかり意気投合したふたりは、一緒に展覧会を開こうと思い立つ。
黒田アキというアーティストが、小篠弘子という個性溢れるパートナーを迎えて、いったいどのような「宇宙庭園=コスモガーデン」を創出するのか。ふたりの出合いが生み出す鮮烈なスパークを目撃したい。
黒田アキ|KURODA Aki
1944年、京都生まれ。1980年にパリ国際ビエンナーレに出品し、間もなくマチスやミロ、ジャコメッティを世に送り出したマーグ・ギャラリーと専属契約を交わした。ヨーロッパ各国で数々の個展を開催し、日本では1993年に東京国立近代美術館において、当時最年少で個展を開催。また翌年にはサンパウロ・ビエンナーレに参加し世界的な評価を受けた。安藤忠雄やリチャード・ロジャースといった建築家とのコラボレーションなど、他分野との交流も多い。