般若心経をモチーフとする荒木経惟「淫秋―般若心經惟」|ART
ART|“書”と“写真”を組み合わせたパワフルな展示
「淫夏」「淫冬」に連なる展覧会『淫秋』
アラーキーこと荒木経惟氏の展覧会「淫秋―般若心經惟」が、神宮前アートスペースAMで開催中。古典に感応した作品を作り出してきた彼の最新作を堪能できる。
Text by WASEDA Kosaku(OPENERS)
最新インスタントフィルム作品も合わせて展示
教典『般若心経』は、「西遊記」の基となる「大唐西域記」を書した僧、玄奘(げんじょう)が訳した全巻600から成る「大般若経」のエッセンスが、約260文字にまとめられ、大乗仏教の根本として普及している。「般若」は智慧を、「波羅蜜多」は「悟りを開く」ことを意味しており、この世に存在するすべてが「無」であり、真理は「空」にあると説いている。
今回、その般若心経をモチーフにした荒木経惟氏の展覧会『淫秋』が開催される。「淫夏」(2015)、「淫冬」(2016)の二つに連なり命名された本展は、和紙にプリントされた写真に、書で「般若心經」をしたためたパワフルな初展観となる。
荒木氏の書は、本場・中国でも高く評価され、またパリにあるギメ美術館での個展や書によるNHK特集番組のタイトル文字など、国内外でアクティブに展開されている。
以前より、荒木氏は永井荷風、種田山頭火、北斎ら先人による作品や、「往生要集」、「万葉集」、「梁塵秘抄」といった古典に感応し、自らの心境を重ね合わせた数々の作品を制作してきた。
また、本展では、インスタントフィルム作品2点をカットしてダイレクトに接ぎ合わせた最新作も同時に発表した。コラージュ作品によるシリーズ「結界」(2014)「半夏性」(2015)に続く作家の緻密な手作業から生まれた貴重な作品群だ。
荒木経惟「淫秋―般若心經惟」
会期|2016年11月11日まで
定休日|月曜、火曜
時間|13:00~19:00
場所|アートスペースAM
東京都渋谷区神宮前6-33-14 神宮ハイツ302号
アートスペースAM
Tel. 03-5778-3913
http://am-project.jp/