ART FILE 36|『Alexander McQueen: Savage Beauty(野生の美しさ)』|連載「世界のアート展から」
ART FILE 36|イギリス・ロンドン|ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館
鬼才マックイーンの回顧展
『Alexander McQueen: Savage Beauty(野生の美しさ)』(1)
昨年、ニューヨーク・メトロポリタン博物館で開催したファッションデザイナー アレキサンダー・マックイーンの回顧展『Alexander McQueen: Savage Beauty(野生の美しさ)』が現在、ロンドンに回旋中。ヴィクトリア&アルバート博物館で8月2日(日)まで開催されている。
Text by Winsome Li(OPENERS)
デヴィッド・ボウイからレディ・ガガまで、スターたちに愛されたマックイーン
20世紀のファッション界を震撼された、イギリス生まれのファッションデザイナー リー・アレキサンダー・マックイーン。著名なデザイナーを輩出しているセントラル・セント・マーチンズを卒業し、本格的にコレクションデビューした。1996年から5年間ジバンシーのヘッドデザイナーを務めながら、自分の名前を冠するブランドをスタート。デヴィッド・ボウイのツアー衣裳を手がけたほか、ビョークやレディ・ガガなど多くのアーティストが彼のアイコニックなピースを着用していた。さらに、2003年に大英帝国勲章を受賞されるほど、ファッション界に対する貢献が高く評価されている。
“ショーマン”とも呼ばれるマックイーンが構想するファッションショーは、前衛的な演出を通じてユニークなデザインを発表し、見るひとに強烈な印象を与える。奇想天外なテーマで展開するコレクションは、テーラリング術や職人技、最新のテクノロジーを用いて、ファッションとアートの限界を容赦なく突破しようとしていた。
ART FILE 36|イギリス・ロンドン|ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館
鬼才マックイーンの回顧展
『Alexander McQueen: Savage Beauty(野生の美しさ)』(2)
Text by Winsome Li(OPENERS)
“従来的な美に該当しないものを捕捉し、それらの美しさを引き出したい”
わずか40歳の若さで自ら命を絶ったマックイーンは、ファッション界に大きな衝撃を与えたが、いまなお彼のクリエーションはマックイーンの代わりに生きつづけている。今回のエキシビションは、彼が手がけた240点以上の洋服やアクセサリー、コレクターのケイティ・イングランドや、マックイーンの初コレクションをすべて購入したイザベラ・ブロウによって珍蔵されていたピースが展示されるほか、数々のファッションショー映像が会場内に流れる。ブランドのエレメントである破壊的なテーラリングやゴシックスタイル、自然の美しさなど、マックイーンのマインドに潜在していたロマンチックな感性を問いただす展示となる。美に対する従来的な概念をひっくり返し、彼しか表現できない生々しい、野生の“美”を今回の展示で存分に体感できる。
マックイーンの死後、ブランドのクリエイティブデレクターを継承したサラ・バートンは「今回はわれらの時代のもっとも想像力と才能を富んだデザイナーを称える展示となります。リー・アレキサンダー・マックイーンは本物の天才、ビジョナリーなんです。つねに限界を挑戦しながら、ファッションを創造し、彼は自分の無限なクリエティビーティやイノベーション、才能を信じていた。」とマックイーンについて語った。
セレブたちが駆けつけた、記念のファッションガラも開催
エキシビションの開幕を記念し、ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館でファッションガラが開催された。デヴィッド&ヴィクトリア・ベッカム夫妻、ケイト・モス、ナオミ・キャンベルなど、マックイーンのドレスを着用した数々のセレブたちが会場に駆けつけた。ケイト・モスがダンス・パフォーマンスをおこない、歌手のFKA twigsはマックイーンが手がけた話題の「Bird of Paradise」のドレスをまとい歌を披露した。
Alexander McQueen: Savage Beauty
期間|3月14日(土)~8月2日(日)
会場|ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館
開場時間|10:00~17:45(土~木) 10:00~22:00(金)
入場料|17.60ポンド
住所|Cromwell Road, London SW7 2RL
Tel. +44 (0)20-7942-2000
http://www.vam.ac.uk/