ミュージシャン、俳優、ファッションアイコン──三位一体の伝説

1947年、ロンドンのブリクストン生まれたデヴィッド・ロバート・ジョーンズ（David Robert Jones）。10代から本格的に音楽活動をはじめ、1965年から正式に「デヴィッド・ボウイ（David Bowie）」と名乗るようになる。今年66歳になったデヴィッド・ボウイは50年のキャリアを経てなお、音楽、ファッション、文化において最も影響力のあるアイコニックな先駆者といえる。

ファッションブランド グッチが主催する彼の初回顧展では、デヴィッド・ボウイのステージ衣裳、直筆歌詞、楽器、写真、映像、PV、舞台デザインなど300点以上の展示品が公開される。個人表現の自由を追求してきた彼は、アート、デザイン、ポップカルチャーなど多分野に革命的な影響を与えた。

ポップカルチャーの永遠のアイコン

1970年代のファッションアイコンであるデヴィッド・ボウイは、つねに奇抜な衣裳とメイクで唯一無二のスタイルを求めてきた。60点以上のステージ衣裳の中には、“ジギー・スターダスト”のボディースーツ（1972）、日本デザイナー 山本寛斎が「アラジン・セイン」ツアー（1973）のために作った派手なコスチューム、さらに、デヴィッド・ボウイがアレキサンダー・マックイーンと共同にデザインし、「アースリング」（1997）のアルバムカバーに登場したユニオンジャックのコートなど、一堂に並ぶ。

さらに、本展は溢れる才能をもつデヴィッド・ボウイのクリエイティブの過程を探る。音楽家としての彼は、自ら作曲、レコーディング、プロダクションまで担当し、数多くの名盤を製作した。それ以外にも、ステージの衣裳、舞台、アルバムカバーまで、あらゆる面でデザイナーの役割も担っている。彼のクリエションは独創性に富み、そのインスピレーションは多岐に渡り、シュールレアリスム、ミュージカル、日本の歌舞伎などあらゆる文化から影響を受けている。

宇宙人のロックスターを演じる

もう1つの見どころは、デヴィッド・ボウイが先駆したといえる、非現実的なエンタテイメントの作品が、年代順で展示される。その斬新なアプローチとは、フィクション化した人物や物語をアルバムやツアーに登場させるというものだった。彼の名盤『ジギー・スターダスト』（1972年）に登場した架空のキャラクター“ジギー・スターダスト”は、宇宙からやって来たロックスターというコンセプトで、“ジギー”の両性具有なスタイルが当時大きく話題となった。

また、V&Aは本展のため、デヴィッド・ボウイの影響力について、ほかのアーティストと彼のファンにインタビューもおこなっている。インタビュービデオに登場したアーティストはジェレミー・ティラー、ダフネ・ギネス、サーストン・ムーアなど。彼らはデヴィッド・ボウイの音楽、スタイル、演出について、それぞれの思いを語った。映像「David Bowie is: blowing our minds」はV&Aのvimeo（http://vimeo.com/63249824）で公開中。

デビューしてから半世紀を経ても、彼の影響力と人気は不滅。ぜひ今回の個展でスーパースター、デヴィッド・ボウイの魅力を堪能してほしい。

「David Bowie is」

会場｜ヴィクトリア・アンド・アルバート 博物館

会期｜3月23日（土）～8月11日（日）

開場時間｜10：00～17：45（日～木）　10:00～22:00（金）

入場料｜15.5ポンド

住所｜Cromwell Road, London SW7 2RL

Tel. +44 (0)20-7942-2000
www.vam.ac.uk/content/exhibitions/david-bowie-is/