ソロアルバム『Page By Page』リリース記念 高橋幸宏インタビュー(前編)
Lounge
2015年3月4日

ソロアルバム『Page By Page』リリース記念 高橋幸宏インタビュー(前編)

ソロアルバム『Page By Page』リリース記念
高橋幸宏インタビュー(前編)

ふるくはサディスティック・ミカ・バンドのドラマーで、細野晴臣氏、坂本龍一氏との音楽ユニットYellow Magic Orchestraのメンバーであり、昨年は原田知世さん、高野寛氏、高田漣氏ら6人の仲間が参加するバンド「pupa」をリード。ソロアーティストとしても精力的に活動し、さらに自らのファッションブランドを運営したことがあるなど、音楽だけではなくファッションにも精通し、いまもなお幅広く活動しているマルチメディアアーティスト、高橋幸宏氏。
先日、エレクトロポップミュージックの最先端を収めた3年ぶりとなるソロ名義のアルバム『Page By Page』をリリース。盟友スティーヴ・ジャンセンやアトム・ハートなどが制作に参加、さらにアートワークを祐真朋樹氏が担当するなど、話題を呼んでいる。

今回は、高橋幸宏さんにアルバム『Page By Page』の制作に関するお話を中心に、ドラムをはじめた理由や細野晴臣さんとの出会いなどのルーツ話まで、前編と後編の2回にわたって、いろいろとお話しいただいた。

文=オウプナーズ写真=中村雅彦撮影協力=ENZO pasteria

『Page By Page』は“現代のページをめくっている”という感じ、しかも淡々とただ一枚ずつ……

──アルバムタイトルの『Page By Page』はどこからとられたのでしょうか?

なんとなくの思いつきなんですよ。英語の語感として好きな感じだったんです。
ベスト盤の『Turning The Pages Of Life THE BEST OF YUKIHIRO TAKAHASHI』とタイトル的に連動ができるかなと思いましてね。
ベスト盤は“過去のページをめくる”という意味だけれど、『Page By Page』は“現代のページをめくっている”という感じ、しかも淡々とただ一枚ずつ。でも、深い意味はないんです。
「blue moon blue」とか「page on page」とか、そういう語感がいいと思って──。

──歌詞はほぼ英語ですが、「マイ・フェイバリット・ハット」だけが日本語の曲ですね

「マイ・フェイバリット・ハット」は、最初から日本語で歌おうと思ってつくったメロディなんです。アルファレコード時代のアルバム『What, Me Worry?』に収録されていた「Flashback」みたいな曲のイメージですね。
情緒的で、ある種おじさんの青春モノというか、“夏の日のおもひで”みたいなもの。女の子に帽子をかぶせてみたときの思い出の断片を切り取って、すこしデフォルメして詩にしてみたんです。詩は、あいかわらず昭和というか、立原道造とか、あの辺の世界なんですけれどね。

──幸宏さんの楽曲は英語のイメージが強いので、なにか思い入れがあったのでしょうか?

このアルバムはたまたま英語の歌詞が多くなってしまったけれど、それはコラボレーションの曲が多かったから。
ちなみにスティーヴ(・ジャンセン)とのコラボは、半分日本語、半分英語にしたのですが、それはスティーヴからの要望もあったんですよ。ボクがつくったメロディに彼が英語詞をつけて、彼がつくったメロディにボクが日本語詞をつけるという作業をしました。

──アルバム全体の音的には、一貫したエレクトロポップの要素が強いですが、そのジャンルに対する魅力はどのようなところですか?

エレクトロニカに関しては7年くらい前から、それこそラリー・ブラッドやレーベルのカラオケ・カーク、そしてアイスランドの“ムーム”とか──、若いひとたちの音を聴いてきたんです。もちろん、いまも聴いていますが、そのシーンに関してはだんだん頭打ちになってきたかなという感じもちょっとしますね。

──制作は、やはりほとんどがPCでの作業だったのでしょうか?

意外かもしれませんが、このアルバムでは、ノイズとかリズム以外は、ほとんどが生楽器の音なんです。自分でスネアドラムを叩こうと思ったら実際に叩いてみて、生ドラムは生ドラムで、弦とかブラスとかも最初は仮にPCで入れておくのですが、あとで生に差し替えたり──。いまは生楽器の音をPCに貼り付けて、なんでもできるんですよね。
あとは、オモチャのアコーディオンの音を入れてみたり、もちろん本物のアコーディオンも堀江(博久)くんに弾いてもらったり、ウクレレの音とか、思いついたらその場で適当にやってみて、それを加工して、貼り付けているという感じで制作してみました。

──「pupa」の流れと少し音楽的に似ているように感じましたが

そうね。
SKETCH SHOW、アルバム『BLUE MOON BLUE』、そしてpupa。
それらは一連の流れで考えています。

今年も8月9日に夏フェス「WORLD HAPPINESS 2009」やります! 誕生日にライブします!

──昨年は、pupaやYMOの海外公演、あとは進藤三雄さんと野外イベント「WORLD HAPPINESS」を開催したりと、かなり活動的でしたね

野外のイベントは今年もやります!
今年は進藤さんとではないのですが、ボクがまたキュレーターでやります、8月9日の日曜日に。昨年は奇跡的に涼しかったけど、今年も涼しいかどうかは保証できないですけれどね(笑)。

──ソロとしてのライブはやられるのですか?

6月6日(土)に『渋谷AX』でやります。その日はボクの誕生日なんですよね。
いつもボウリング大会とかをやっていたんですけど(笑)、「誕生日にコンサートどうですか?」って言われてね、やることになったんです。でも、なかなか小屋がなくて、ポコッと出てきたのがAXだったんですよ。
でも、みんなに文句言われっぱなしですよ。どうしてココだけなんですかって(笑)。

──AXのライブはどのようなカタチで考えているのですか?

バンド編成で考えています。ドラムも入れてです。ボクが叩く曲ももちろんあるのですが、全曲を歌いながらドラムってワケにもいかないのでね。ドラム、ベースにくわえて、レコーディングも一緒にやった(高田)蓮くんは入るかな。権藤(知彦)くん、それからキーボードに、それとゲストっていう感じですかね。
呼べないヒトたちは、ビデオでシンクロさせようかなと思っていますよ。スティーヴ・ジャンセンのライブでそういうカタチをやっていたんですが、すごくよかったですね。そのスティーヴのライブやHASYMO、pupaのライブの映像演出をお願いしている伊勢聖子さんに今回も頼みます。

ニューアルバム『Page By Page』での祐真朋樹氏との仕事

──今回のジャケットなどのアートワークを祐真朋樹さんがやられていますが、どのように話を進めましたか?

アートワーク全体をひとりのヒトに任せたというのははじめてなんですよ。いままでは、服は自分でやったり、TUBEの斉藤(久夫)さんにデザインをお願いしたり、島津(由行)くんにアンティークのものを借りたりとか、というのはあるのですが、写真も祐真くんが撮って、全体をやってもらうというのははじめてでしたね。

『Page By Page』EMI MUSIC JAPAN

──でき上がったモノを見られたときは?

最初のイメージでは、ボータイして、すごいオシャレして、ボクには似合わないちょっとかわいい自転車か原付に乗って、都会を花束かなんか持って走るというイメージがあったのですが、もっと似合わない方がいいということになったんですよ、海に自転車で行くっていうね。そのうちサーフィンをやろうって話にまでなって──、ジャケットのなかの写真はサーフボードをもっていますからね(笑)。
でも、CDのジャケットデザインをやっているデザイナーの話を聞くと、「ジャケットっぽくない」と言われたんですよ。たしかに独特ですよね。

──服はどのように選ばれたのでしょうか?

祐真くんは服をたくさんもって来てくれたんですけれど、結局、ボクの私物がすごく多くなってしまったんですよね(笑)。ネクタイとシャツとベストはランバンのものでボクのもの。パンツもボクのだし。ジャケットと帽子と靴は祐真くんのだね。靴はボクもおなじモノをもっているんですよ。
でも、雑誌のファッションページをつくるワケではないからね。

──すべて祐真さんに任せてという感じでしたか?

基本的にはね。
ただ、祐真くんが選んだものに「こっちのほうがよくない?」とかは言ってました(笑)。このカフスボタンもボクの私物なのですが、よく見ると“YT”って書いてあるんですよ。タイプライターのキーなんです。昔、イギリスで買ったアンティークのものなんだけれど、「これかわいいですね」ってなって──、あのヒト、決めるときはすごく早いんだよね。

ソロアルバム『Page By Page』リリース記念
高橋幸宏インタビュー(後編)
につづく

高橋幸宏ライブ情報!

2009年6月6日(土)
Yukihiro Takahashi Live 2009 “OUT OF HERE”
@SHIBUYA-AX

出演│高橋幸宏
....and more guest

開場/開演|17:00/18:00
料金│前売 7350円/1F立見・2F指定 ドリンク代別

会場│SHIBUYA-AX
http://www.shibuya-ax.com/

主催│J-WAVE/ホットスタッフプロモーション
企画制作│ヒンツ・ミュージック/オフィス・インテンツィオ

問い合わせ│ホットスタッフプロモーション
Tel. 03-5720-9999(月~金16:00-19:00)
http://www.lultimo.jp

備考│未就学児童の入場はできません


2009年8月9日(日)
WORLD HAPPINESS 2009
@夢の島

出演者│
Yellow Magic Orchestra
ムーンライダーズ
スチャダラパー
Chara
LOVE PSYCHEDELICO
ASA-CHANG&巡礼
mi-gu
相対性理論
......and more
(出演者の都合により変更になる場合がございます)

開場/開演|12:00/13:00(終演予定20:00)

会場│江東区夢の島3-2
Tel. 03-3522-0281 Fax. 03-3522-0283
http://www.yumenoshima.jp/

チケット料金 (税込)
ブロック指定 8500円 <レジャーシート付>
(*未就学児童無料小学生¥1,050 <レジャーシート付>)
親子チケット 9000円 <レジャーシート付>
(*大人1名・子供1名)

チケット発売日│5月31日(日)10:00~

お問い合わせ│ホットスタッフ・プロモーション
Tel. 03-5720-9999
http://www.world-happiness.com

備考│レジャーシート持ち込み禁止です。
イス、テント、日傘の使用はご遠慮ください。
火器、危険物、ペット類、自転車などの持ち込みはご遠慮ください。
ゴミは、各自でお持ち帰りください。
イベント専用駐車場はございません。公共の交通機関をご利用ください。

           
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