more trees|コスメキッチンとの森を潤すプロジェクト
Cosme Kitchen × more trees|コスメキッチン×モア・トゥリーズ
ナチュラル&オーガニックなビジネスで取り組む森林保全活動(1)
森のめぐみを活用した新ライフスタイルショップ
コスメセレクトショップ「Cosme Kitchen(コスメキッチン)」は、チャリティープロダクト開発や、売り上げの寄付など、数かずの社会貢献を担ってきた。なかでも、国内外で森林保全活動を展開する「more trees(モア・トゥリーズ)」とのつながりは深く、被災地支援を目的としたチャリティー活動や、間伐材の利用を通じた森林保全活動を進めている。この夏、コスメキッチンは雑貨や食品を扱うオーガニック ライフスタイルショップ「Biople by Cosme Kitchen」をオープンした。そこで今回は、コスメキッチンを運営する、マッシュビューティーラボの取締役副社長を務める小木充氏に話を聞く機会を得た。
Photographs by Shinya HiroseText by HIKITA Sachiyo(Fukairi)
オーガニックなライフスタイルを
2004年、代官山からスタートしたコスメキッチンは、いまや全国主要都市24か所に出店する、オーガニックセレクトショップのパイオニアだ。60ブランド、200アイテムという充実したラインナップと、スタッフの丁寧なカウンセリング、そしてパリの女の子の部屋をイメージさせる心地よい空間は、多くの女性に支持されている。
このコスメキッチンが8月に、あらたなライフスタイルショップ「Biople by Cosme Kitchen 小田原ラスカ店」をオープンした。つづけて9月20日、福岡天神地下街に出店するなど、着実に歩みを進めている。
コスメキッチンには「オーガニックなライフスタイル伝える」という企業理念がある。オーガニックには、「有機的な」という意味に加えて、「本質的な」という意味も込められている。自然に身をゆだねたナチュラルで心地よい暮らしの提案はもちろん、女性の本質的な美しさ、輝くエネルギーをひきだし、さらにハッピーな毎日を提供していきたい、と小木氏は語る。
「私たちが何よりも大切にしているのは、お客様とのコニュニケーションです。店頭に立つスタッフは、豊富な知識をもち、お客様ひとりひとりのコンディションに合わせた丁寧なカウンセリングをおこなっています。
また、4月のアースデイ、11月の文化の日にあわせて年に2回、女性のライフスタイルをテーマにスクールを開催しています。店頭とイベントと組み合わせて“オーガニックなライフスタイルを伝える”という企業理念を実現していきたいと考えています」
「Biople by Cosme Kitchen」の誕生
コスメキッチンのメイン商品はもちろんコスメだが、食品や雑貨などを扱ってほしいというリクエストも多かった。そうした背景のもとに誕生したのが、ライフスタイル全体をプロデュースするオーガニックライフスタイルショップ「Biople by Cosme Kitchen」だ。小木氏にその概要と、モア・トゥリーズとの取り組みについて聞いた。
「名前の由来は『bio+People』。つまり、自然に囲まれてオーガニックライフを楽しむ人という意味です。私たちは、ビープルな人が増えてほしいという願いから、コスメや食品はオーガニックのものを、雑貨はフェアトレードやサステナブルな活動にコミットできるものをセレクトしています。
特に、近年ではオーガニックフードに注目が集まっています。より健康的に、美しくなるためには、人をかたちづくる食から変えていくことが大切ですから。
私たちの伝えたいオーガニックな生き方、そこには、自分たちの暮らす地球環境や、将来の自然環境についてキチンと向き合う姿勢も含まれています。ですから、持続可能な森づくりをおこなっているモア・トゥリーズの活動理念と共鳴する点はたくさんあります。
そこで、店内のディスプレイにモア・トゥリーズの森から切り出された丸太を什器として使用したり、国産材ヒノキから生まれたサッシェを開発したりと、数かずの協働プロジェクトを進めてきました。
もちろん、スタッフはモア・トゥリーズの什器を使用していることも認識しています。しかし、私たちはあえて“モア・トゥリーズの間伐材ですよ”とクローズアップしていません。
丸太がさりげなく置いてあって、商品を引き立てている。そして、接客のなかでちょっとした話のネタになる。お客さんがふと気づいて口コミで広がっていく――そんな自然なかたちを目指しているのです。それが本物のグローバルスタンダードだと考えています」
コスメキッチンのこれから
「来年でコスメキッチンは10周年を迎えます。知識の豊富なベテランのスタッフも増えました。仕事にやりがいをもち、自分を振り返り、変えていく力をもっているスタッフを誇りにおもっています。
実は、コスメキッチンには売上ノルマがありません。化粧品業界でも大変めずらしいことですが、お客様に本当に納得してお買い上げいただきたいという信念があるからです。私たちが本気で向き合えば、信頼関係が生まれ、お客様はまた戻ってきてくださるのです。そのためにもスタッフは、自ら商品を試し、効果を実感したうえで、それをお伝えしていく必要があります。
これは、モア・トゥリーズの活動を熟知し、木を使う心地よさを実感して、その喜びを伝えていきたいという想いにも通じるところがあります。私たちはお客様にたいしても、将来の地球にたいしても、いつまでも美しくあってほしい。これからも、そのお手伝いをつづけていけたらと考えています」
Cosme Kitchen × more trees|コスメキッチン×モア・トゥリーズ
ナチュラル&オーガニックなビジネスで取り組む森林保全活動(2)
「サステナブルな社会を目指して」
コスメキッチンを立ち上げる以前から、モア・トゥリーズとの関わりがあり、その取り組みに共感していたという小木氏。モア・トゥリーズ事務局長の水谷伸吉氏と、これまでの協働プロジェクトの裏話、そして、未来への展望について語り合ってもらった。
Photographs by Shinya HiroseText by HIKITA Sachiyo(Fukairi)
コスメキッチンとモア・トゥリーズの出会い
小木 私は以前、三越伊勢丹の宣伝部に所属していました。そこでモア・トゥリーズとの協働プロジェクトに携わっていたため、水谷さんたちの取り組みについてはよく知っていたんです。そうした背景もあって、独立してチャリティープログラムを企画する際にモア・トゥリーズへの寄付を提案したのが僕たちの出会いですね。
水谷 そうでしたね。小木さんはコスメキッチンに移られたあとも、引きつづき何かやろうよ、という声をかけて下さいました。そうして、お互いのコンテンツを共有し合いブレストを重ねるごとに「オーガニックでサステナブルな社会を作りたい」という僕たちの接点が見えてきました。そこからスタートしたのが、東北の被災地支援であり、森のめぐみを活かしたブランディングでした。
小木 昨年12月、モア・トゥリーズの代表を務める坂本龍一さんが「被災者の方々と寄り添う」をテーマに被災地でチャリティーコンサートを開催しました。
このとき、僕たちは「アロマ」という得意分野を活かし、世界でたったひとつのヒノキのフレグランスを作りました。そして、五感で癒され、元気になってほしいという想いを込めて、来場者ひとりひとりにフレグランスをつけた「しおり」をお配りしました。
こうしたコラボレーションができたことは大きな喜びでした。その後、宮崎県諸塚村にある“more treesの森”を訪問する機会もあり、さらに関係性が深まりましたね。
仲間がつながる瞬間
水谷 僕も小木さんも同世代で、周りにはさまざまなフィールドで活躍している仲間がたくさんいます。そして、各自が本当にいいとおもうことを本気で追求しています。逆にいうと、僕たちは本当にいいとおもうことしかやっていない。そういう者同士だから、隠すものもないし、本当の信頼関係が生まれます。そしてそれを共鳴させていくと、期待以上のものが出来上がることもありますよね。
小木 やはり、餅は餅屋で自分たちには専門分野があり、限界もあります。だからこそ、自分のフィールドではプロフェッショナルであり、フィールド外のことにたいしては、専門とされている方々にお願いする柔軟性も必要だとおもいます。モア・トゥリーズは、都市と森をつなぐプラットフォームとして、森づくりのプロとして頑張っている。そして、コスメキッチンはオーガニックセレクトショップとして、ナチュラルで美しい女性を応援している。このふたつが協力し、つながりあうことで、あたらしいサステナブルなオーガニックライフの幅広い提案が可能になります。
水谷 そうですね。森との距離が近い我々モア・トゥリーズと、都会のコンシャスな女性に距離の近いコスメキッチンが協力すれば、お互いにリーチできない層を組み合わせることができる。森のコンテンツは多岐に及びますから、今後、どのようなコラボレーションができるのか楽しみです。例えば、諸塚村にはブルーベリーの畑があり、養蜂も盛んです。ブルーベリーをスムージーにしてもいいし、蜂蜜の収穫が間に合えば、年末のイベントで使ってもいいかもしれません。保湿力の高いミツロウのバームからは、口紅やリップクリームも作れます。それに「more treesの森」がある四万十では、柚子やポンカンなど柑橘系のオイルやジンジャーなど、“素材”がたくさんあるんですよ。
小木 それはおもしろい! どんどんコラボレーションしていきたいですね。
水谷 ただ、同時にコストや時期的な問題をクリアすることも大きな課題だと感じています。
例えば、ロット数が増えれば、製品の単価が低くなるのですが、いまはまだ需要と供給のバランスが整っておらず、それが難しい状況です。今後は、市場とのバランスをきちんと整えて、生産者が安定的に供給でき、お求めやすい価格で消費者の需要にも応えることのできるシステムを構築していきたいと考えています。
小木 なによりも大切なことは、生産者側と消費者側のハッピーな関係を築くことですね。フェアトレードとおなじく、きちんと生産者さんの生活が保証され、収益があがることでビジネス感覚が生まれれば、彼らのモチベーションもさらに高まるでしょう。利益が得られれば、サステナブルな森づくりにも繋がりますから。
水谷 おっしゃるとおりです。丁寧な作業にはそれなりのコストもかかりますが、本物の価値があり、経験を積み上げることでバランスのとれたビジネスが成立します。ですから我々は、ステークホルダーの意識の共有、そして継続的な事業展開を目指していくつもりです。
小木 僕は、現地の人々との関係を丁寧に築き上げてきた水谷さんたちを心から信頼していますし、これからも協力していきたいと考えています。
アイデアを実現することは容易ではありませんが、お互いに提案をつづけ、熟成させて、プロジェクトに繋げていきたいですね。そして最終的には、衣食住すべてをオーガニックでプロデュースできたらとおもっています。
来年、コスメキッチンは10周年を向かえます。そして私たちはこれからも、オーガニックライフの提案を通じて、コンプレックスを隠すのではなく、生まれもったそれぞれの本当の美しさ、みずみずしい魅力を内側から引き出し、世界中の女性に輝いてほしいと願っています。
水谷 10年間、こうしてオーガニックにこだわり、メッセージを発信しつづけているコスメキッチンさんは、本当にすごい。我々も継続して国産材プロダクトや、木材を利用した空間設計など、企業価値が高まるようなコンテンツを提供していきたいとおもっています。20周年、30周年と、二人三脚で頑張っていきましょう!
more trees
Tel. 03-5770-3969
新月の日にちなんだワークショップ&ナチュラルフードセミナーを開催
11月3日(日・祝)、ナチュラル&オーガニックに寄り添ったライフスタイルの提案を目的とする「Cosme Kitchen School Vol. 4 ~New Moon New Culture~」が開催される。あたらしいスタートを切るのに良いとされている新月の日に、ハーブを使ったクリスマスリース作りのワークショップ、ナチュラルフードセミナーを実施。お土産には新月コスメキットも用意される。
「Cosme Kitchen School Vol. 4 ~New Moon New Culture~」
日程|11月3日(日・祝)
時間|14:00~16:00
場所|マッシュビューティーラボ 本社12F
東京都渋谷区渋谷1-2-5 アライブ美竹
参加料|4500円(オリジナル新月キット付) ※キャンセル不可
定員|20名
対象|18歳以上の女性
応募方法|コスメキッチン各店舗、電話、メール(info@cosmekitchen.jp)にて受付
Cosme kitchen
Tel. 03-5774-5565
http://cosmekitchen.jp/index.html