JOHN LOBB|クリエイティブディレクターを現地で直撃!(後編)
JOHN LOBB|ジョンロブ
ジョンロブを率いるクリエイティブディレクター
アンドレス・ヘルナンデスが大いに語る(後編)
「愛と情熱を靴に捧げることが大事なのです」と熱く語るジョンロブのクリエイティブディレクター、アンドレス・ヘルナンデス氏。インタビュー後編では、「ジョンロブはなぜデザインの進化を止めないのか」についてさらに訊いた。
Text by KAJII Makoto (OPENERS)Photographs by ARAKI Ryuji
未来のためには、過去をよく理解することが大切
話がデザインにおよぶと、ヘルナンデス氏は手もとにあった紙と鉛筆を持ち出してラインを描きはじめた。「私が考えるデザインとは、モノの“ラフなアウトライン”です。デザインの最初は完璧なものではありません。デザインとは商品になる第一歩で、ぼんやりと見えるスケッチ。シンプルな線から生まれるものもあります」と、ジョンロブの靴の特徴的な流線型のラインを、勢いよく一気に描く。
「こうやってラインを引いてみたらキレイだなと感じて、それが靴になった一つが、モデル『BECKETTS(ベケッツ)』。きれいなカーブを描く美しいオックスフォードですが、縫製の接点部分が重なり合っているのがフォーカルポイント(視点が集まる箇所)になっています。ジョンロブのニュークラシックと呼ぶにふさわしいデザインです」と語る。このベケッツは、ヒールカップ(かかと部)がステッチの入っていないシームレス仕上げになっているので、後ろから見ても美しい。
インスピレーションはいろいろな経験から得るもの
さらに、多くのジョンロブの靴からヘルナンデス氏のお気に入りを訊くと、「それは難しい問題ですが、もう一足挙げるとすると、 『2009年イヤーモデル』ですね。これは型紙がスパイラルになっている一枚革仕立てで、流れる線がずっとつづいているのが好きです。赤みがかった黒など、色が独特なのも特徴で、高度な技を使っています」
「もう一足は、2004年のイヤーモデル。この靴に採用しているラインは、 モデル『ウィナー』や、 アストンマーチンとの『ウィナースポーツ』などに受け継がれています。この力強いラインも好きですね」とヘルナンデス氏。
また、今年10月25日に発売された 「2013年イヤーモデル」について尋ねると、「20年ほど前に、白いレザーにクリームで色をつけたことがあり、それをヒントにしました。今年のイヤーモデルは色が大きな特徴です。インスピレーションはいろいろな経験から得られるものです」とリコメンド。
入荷するたび注目される日本限定モデルについては、「この秋もモデル 『ロペス』や 『モールトン』などを展開しました。世界のそれぞれのマーケットには好みがありますが、日本はお客さまが良いモノをよくご存知なので、ジョンロブ ジャパンのリクエストも聞いて限定モデルを決めています。考え方の基本は“THINK GLOBAL ACT LOCAL”ですね」
人生には「誰かの夢を満たしてあげる瞬間(とき)」がくる
さて、いよいよ12月6日(金)に六本木ミッドタウン1階にジョンロブの新ショップがオープンするが、新ショップでも、人気のフェア「BY REQUEST(バイリクエスト)」が来年開催される予定だ。
「ファクトリーの製造ラインを見ていただくと、バイリクエストの靴は、オレンジの指示書が付いています。その指示書を見ると、スタッフ全員がバイリクエストの靴だとわかります。丹念に仕上げた一足が、靴に夢を見ていただいている一人のお客さまの手に渡っていく――人生のなかには『誰かの夢を満たしてあげる瞬間(とき)がある』と、まるでその指示書が語りかけてくるように感じるのです」
ジョン ロブ ジャパン
Tel. 03-6267-6010
http://www.johnlobb.com/jp