レクサスが“DESIGN”を通じて伝えたいこと|LEXUS
LEXUS DESIGN AMAZING 2014 MILAN|レクサス デザイン アメージング 2014 ミラン
あたらしい世界観を醸成する意義とは
レクサスが“DESIGN”を通じて伝えたいこと
昨年に引きつづき、今年もレクサスはミラノ デザインウィークで、「LEXUS DESIGN AMAZING 2014 MILAN」を開催する。クルマとは違う角度から“DESIGN”についてアプローチすることの意味を、Lexus International グローバルブランディング室グループ長である河辺徹也氏に聞いた。
Text by ITO Yuji Photographs by JAMANDFIX
最後のピース
東京でもっとも多くレクサスを目にする街といえば、丸の内が思い浮かぶ。その多くは、ショーファードリブンとして悠然と流れるように走る姿ではないだろうか。しかし河辺氏は「レクサスにはあたらしいカスタマーへのメッセージが必要」だという。
「日本でレクサスの展開がはじまって、9年になります。本来はトヨタのイメージを超えた驚きと感動をもたらすブランドであるべきなのですが、実際には残念ながらクラウンからステップアップした存在と位置づけられていると、私たちは感じています。既存のレクサスのブランドイメージから脱却し、あらたなカスタマーへ浸透させるためには、クルマを軸足としないメッセージ=文化へのアプローチが必要だと判断したのです」
アート、ファッション、デザイン、カルチャーといった領域の中にこそ「未来のレクサスカスタマーが潜んでいる」。それが河辺氏の考えるあたらしいブランディングだ。
「ラグジュアリーということばの意味は時流とともに変わっています。かつては単に贅沢というニュアンスのものでしたが、いまはより本質的な価値観を内包しています。ニューラグジュアリー層に代表されるように、感度や知性、時代性、そして心地よさといった、自分自身を満たしてくれる『本質的な価値』を追い求める動きにシフトしつつある。そうした背景のなかで、“DESIGN, ART & CULTURE”を通じて、私たちの考える豊かなライフスタイルを提示していくことで、レクサスというブランドに気づいてもらうことが必要であると考えています。
クルマがなくても生活できるという方たちにとっても、彼らのライフスタイルにはアート、ファッション、デザインなどがパズルとして存在しています。そして、その最後のピースとしてレクサスがあり、ライフスタイルそのものが豊かになる。そう感じてもらうことが狙いですね」
LEXUS DESIGN AMAZING 2014
http://www.lexus-int.com/jp/design-events/2014.html
LEXUS DESIGN AMAZING 2014 MILAN|レクサス デザイン アメージング 2014 ミラン
あたらしい世界観を醸成する意義とは
レクサスが“DESIGN”を通じて伝えたいこと (2)
若い世代のドア
レクサスは2005年~2009年にも「ミラノ デザインウィーク」に出展していた過去がある。昨年再び出展した理由はなんだろうか。
「かつてはクルマをテーマにレクサスの“L-finesse”というデザイン哲学を表現するというチャレンジをおこない、一定の成果を収めることができたと感じました。そしてその後、レクサスはハイブリッドの技術を確立し、世界に通じる日本発信のグローバルブランドとしてさらなる進化を遂げました。その次なるステップとして若い世代のドアをノックすべく、次世代を担うクリエイターの登竜門であるインターナショナルアワードの設立や、トップクリエイターとの関係を築くことで、レクサスがクリエイターと共にあたらしい価値を育てていくといった方向へとブランディングを転換したのです」
そのため、2013年の展示からは、クルマをいっさい出さず、レクサスの世界観を見せるという大胆な手法が取り入れられた。その斬新な試みは確実に受け入れられ、建築家 平田晃久氏のインスタレーションはミラノ デザインウィークで地元紙の“見逃せないイベントTOP10”に、オランダのデザイン専門誌からはトップ10インスタレーションの第2位に選ばれた。
2013年4月に開催されたミラノ デザインウィークに展示された平田氏の作品「-amazing flow-」
「平田さんとは、とことん話をしました。お互いが考える格好良さの表現やこれからレクサスがなにをしたいのか、といったことを時間をかけて話し合いました。わたしはトップクリエイターが参加してくれることへの感謝にくわえ“これまでできなかったことをしてほしい”という気持ちを伝えました。その結果彼自身も“次の10年、20年をかけてやるべきことを見つけられた”という作品が生み出されたのです」
こうしたクリエイターとの関係性は継続され、今年はイタリア人デザイナーのファビオ・ノヴェンブレ氏、日本人デザイナーの田村奈穂氏、そしてアメリカのデザインチーム、MITメディアラボ※の石井裕教授率いるタンジブル・メディア・グループが“AMAGING IN MOTION”をテーマに作品づくりに挑戦する。
LEXUS DESIGN AMAZING 2014
http://www.lexus-int.com/jp/design-events/2014.html
※:MIT (Massachusetts Institute of Technology) マサチューセッツ工科大学。MIT メディアラボでは、教授、研究スタッフ、学生による30 近い研究グループが、350 以上のプロジェクトに取り組んでいるが、その範囲は、ニューロバイオロジー、バイオメカトロニクス、コンピューテーショナルフォトグラフィー、エレクトリックカー等の先端技術開発を精力的に進めている。
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あたらしい世界観を醸成する意義とは
レクサスが“DESIGN”を通じて伝えたいこと (3)
期待と予感
また、第2回を迎えるLEXUS DESIGN AWARDの入賞作品も発表され、“Curiocity(好奇心)”をテーマに1157点の応募があり、12の作品が選出された。
「LEXUS DESIGN AWARDでは2作品がプロトタイプを制作できるのですが、シャボン玉をモチーフにしたガラス照明『Iris』と、枝などを使って隠れ家づくりを体験できる工作キット『Macian』は、まさに大人の好奇心を刺激してくれるのではないでしょうか」
こうした活動を河辺氏は「AMAZING IN MOTION、つまり驚きと期待を超えた感動を与えることができる絶好の機会」として、これからも「見た人にはあたらしいレクサスの世界観に触れることができ、そしてプロジェクトに参加してくれたクリエイターたちが、あらたたなビジョンを見出せるような仕事として続けていきたい」という。その先にある、未来のレクサスの姿とは、いったいどういったものなのだろう。
「グローバルに活躍する“世界人”たちが驚くようなライフスタイルブランドとしてあるべきだとおもっています。あたらしいluxury/価値観に基づいて生活を豊かにしてくれるライフスタイルを提供するブランドがレクサスである、と認知されることでレクサスのクルマがもっと魅力的に輝けばいい。その価値観を受け入れてくれる人たちに対して、常に期待以上のものを提供していきたいですね」
次世代を担う人たちへ向かった、レクサスのあたらしいブランディングはまだまだはじまったばかりだ。デザイン、アートやファッションといった文化を通じてライフスタイルそのものを豊かにし、クルマがある生活に潜んだ本質とその可能性を提案する姿勢は、きっと未来をより楽しいものにしてくれるだろう。
レクサスというブランドはきっと近いうちに、その名を聞くだけで、胸が躍る期待と予感に満ちた存在へと進化しているはずだ。
KAWABE Tetsuya|河辺徹也
Lexus International グローバルPRコミュニケーション グループ長。1986年トヨタ自動車入社。プロジェクトマネジャーとして海外事業担当を経て、2003年から5年間イタリア駐在。2012年よりLEXUSブランドのグローバルブランディングを担当し、映画・アート・デザイン領域を中心に活動。「LEXUS DESIGN AWARD」の創設、青山のブランド体験スペース「INTERSECT BY LEXUS」の運営など、これらの活動を通じ、日本発のあたらしいグローバルラグジュアリーブランドの構築に挑戦している。
LEXUS DESIGN AMAZING 2014
http://www.lexus-int.com/jp/design-events/2014.html